インサイトに試乗してきました
売上好調のホンダのインサイトにディーラーで試乗してきました。
1999年に登場した初期型のインサイトは、燃費を稼ぐための二人乗りの車でした。実用的な売るための量産車というよりも、ホンダの技術力を宣伝するための実験的少量生産車という印象を受けました。しかし今回は本気で大量に売るための車で、ハイブリッドなのに189万円からという価格もあって世界で年間20万台の販売を見込んでいるそうです。プリウスは燃費が良くても車体価格が高いために、元を取るのがほぼ無理だと言われていますが、インサイトのこの価格ならば支出総額を抑えることも出来そうです。
見た目ですが、前面は最近のホンダらしいデザインです。何よりシビックのハイブリッドなどと異なりハイブリッド専用車としてのデザインになったのは、ハイブリッド車に乗るということに満足感を持つ人に大きく訴えます。しかし全体のシルエットはプリウスに似ています。内装ですが、メーターやセンターコンソールはかなりごてごてとしていて派手です。悪く言えば、安っぽいディスコかSF映画をイメージしたようなものだとも思えますが、ハイブリッド専用車を意識した車としてこういうものもありかなと思います。
気になったのは後ろのシート。後ろのドアからの出入りは楽とは言い難い。リアシートの広さも十分とは言えず、居住性もよくない。日本人の平均的な身長の私が座っても、天井に髪の毛がついてしまう。家族で使うファーストカーとして考えると、大人を3-4人長時間乗せるのならば快適ではない。リアシートには子供しか乗らないというのならばいいだろうけど、友人連れて遊びに行くという人にはつらい。インサイトはハイブリッドなので、エンジン自体は小型で1.3リッターエンジン、それにモーターとの組み合わせです。しかし車体は普通の1.8リッター・クラスのセダン並みの車として設計されているそうです。でも他の1.8リッター・クラスのセダンと比べて、正直居住性は劣ります。またハイブリッド用の大きなバッテリーが搭載されているため、リアシートの後ろにある荷物置き場も深さがあまりなく、車の大きさの割にはたいしたことがありません。
さて試乗です。でも短い試乗コースで普通に乗っている限り、すごく普通の車です。プリウスと異なりホンダのハイブリッドは元々モーターだけで動くことがあまりないようで、私の乗っているときにモーターだけで動いたことはなかったと思います。しかもモーターのアシスト量が少ないため、ハイブリッド車であることを意識することはないです。エンジンとモーターのスペックは下に書いておいたので参考にしてみてください。でも日常の使用に特に不具合は感じません。ただしアイドリング・ストップ機能はあるので、信号待ちのときなどはよくエンジンが停止します。
それとブレーキのときは回生ブレーキですので、少し違和感があります。普通の車のブレーキは、車を動かしている運動エネルギーをブレーキをかけることにより、ブレーキバッドとブレーキディスクの摩擦によって熱エネルギーに変換し大気中に熱を放散して減速します。しかし回生ブレーキとは、その運動エネルギーを電気に変換して蓄える装置です。そのため、運転者がブレーキを一定の力でかけていても、回生ブレーキが機能すると車を減速させている速度が変わってくるのです。それでもこれも運転していると慣れてくるのでしょう。
一番面白かったのは、車に備わっているエコアシストという機能。その中のコーチング機能では、スピードメーターの一部の色が、運転の状況によって色が変化する。低燃費の運転をしていると緑となり、燃費の良くない運転をすると青になる。これによって自分の運転が燃費に良いかどうかを意識することになるため、自然に燃費の良い運転を心がけるようになる。またティーチング機能は、運転をコンピューターが採点し、その成績が良いとディスプレーに表示される葉っぱが増えていく。さらにはネット上で燃費のランキングに参加できる。
これはいい。ハンドリングの良さとか加速力とかだけでなく、全く違った視点で運転をすることが出来る。まるでロールプレイング・ゲームに参加しているように、レベルアップを目指して燃費の良い運転をすることを楽しみながら出来るのです。
気にかかった点はバッテリーです。ハイブリッド車は通常のバッテリーの他に、ハイブリッドシステム用の大きなバッテリーを搭載していますが、バッテリーは使っているとだんだんと劣化していくため、蓄電能力は落ちてきます。そのためにバッテリーが劣化すると、お金を払ってバッテリーを交換しなければなりません。携帯電話でもそれは一緒ですね。ディーラーで聞いた情報だと、だいたい10年くらいでバッテリーの寿命が来るかもしれないということでした。そしてバッテリーは自費での交換となり、記憶が曖昧なのですが確か25万円くらいかかるとのことでした。ちなみにトヨタの初代プリウスは無償交換です。恐らくトヨタは赤字でしょう。
さてインサイトに10年以上乗って、バッテリーが劣化してきたとします。しかし10年乗った車にわざわざそんな金を払おうとは普通の人は思わないのではないでしょうか。そうなると買い替えを考えますが、バッテリーの機能しない車の下取り価格は期待出来そうもありません。となると、10年くらいで車を廃車にしなければならない可能性があります。
昨今の車の使用年数が増加している状況で、そのまま乗るにしても売るにしても、10年くらいで実質的に車の寿命が来てしまうかもしれないというのは問題です。それに10年たつころには、高いお金を払って古いバッテリーを交換するよりも魅力的な、もっと色んな環境対応車が登場していることでしょう。車内も広いとは言い難く、同じホンダでも似たような出力で居住性も良くバッテリー交換の心配もないフィットはインサイトよりずっと安く買えます。インサイトの燃費が良いとは言えども、フィットの車体価格との差額を取り戻すのは簡単ではなさそうです。しかもフィットにハイブリッド・バージョンが登場するという噂もあります。
また最大のライバルであるトヨタのプリウスがもうすぐ登場します。ホンダがインサイトの価格をあまりにも早く発表したためか、プリウスの価格も先代よりも大幅に引き下げられ、インサイトにもろにぶつける競争的な価格となっているようです。まだ確認していませんが、プリウスのバッテリー交換代金はインサイトよりも安いという噂もあります。まずはプリウスのほうも見てみたい。というわけで、インサイトは今のところ好調な売上を示していますしエコカー減税の対象車ですがが、私は思ったよりも魅力的だとは思いませんでした。
1.3ℓ i-VTECエンジン+
IMA
■最高出力
エンジン(
NET
)
65kW[88PS]/5,800rpm
モーター
10kW[14PS]/1,500rpm
■最大トルク
エンジン(
NET
)
121N・m[12.3kg・m]/4,500rpm
モーター
78N・m[8.0kg・m]/1,000rpm※
※エンジン始動時:92N・m[9.4kg・m]/500rpm
車重 1190-1200kg
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