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2009年6月の3件の記事

遂にアメリカでも車買い替え補助金か

 まず欧州で導入されて大きな効果をあげ、日本でも徐々に認識されて効果をあげつつある車の買い替え補助金ですが、遂にアメリカでも検討され始めたようです。

 もっとも法案自体はまだ検討段階ですので、これが通過して実施されるかどうかはまだわかりません。また内容は今のところ燃費が28マイル/1ガロンの新車に買い替えで1000ドル、32マイル/1ガロンで2500ドルの補助金が出るというものです。1マイルは約1.6km, 1ガロンは約3.8リットルですので、だいたい12km/1リッターの燃費の車を買えば補助金が出ることになり、大型のSUVやピックアップを除く多くの日本車はこれに該当するでしょう。
 この記事によると、9年落ちや13年落ちの古い車を買い替える必要は無くただ燃費のいい車を買えばいいのですから、欧州や日本よりも条件が緩いのも魅力です。去年からアメリカの自動車販売は非常に悪いので、補助金が出るとなれば買い替えする人は出てくると思います。
 しかし燃費のよい車は日本や韓国の会社が得意とする分野なので、アメリカの会社に対する効果は思ったほど大きくないかもしれません。またアメリカでは2004年からの原油高の時点で多くの燃費の悪い車が中古車市場に流れ、中古車価格が落ちました。それに2008年の金融危機によりローンの支払いができなくなった人が車を手放し、大量の車が中古車市場に流れ込んでこの流れを加速しました。このうえ新車価格が実質的に下がると、中古車市場の価格がさらに崩壊しかねません。それは自動車販売業者を圧迫するだけでなく、自動車会社のブランド価値を落として将来の収益性を下げます。特に破綻が続いてブランド価値の落ちているアメリカの自動車会社は厳しいでしょう。結局法案通過したときに一番喜ぶのは日本と韓国の会社かもしれません。

H.R. 1808, The Clean Car Rebate Act of 2009

H.R. 1808 would amend the Internal Revenue Code of 1986 to provide for consumer rebates for purchases of certain new passenger motor vehicles.

http://www.washingtonwatch.com/bills/show/111_HR_1808.html

Detailed Summary

Clean Car Rebate Act of 2009 - Amends the Internal Revenue Code to allow a refundable tax credit for the purchase of new fuel-efficient passenger motor vehicles. Allows a $1,000 tax credit for vehicles purchased in 2009 that achieve a mile per gallon (mpg) rating of 28, and increases such credit amount to $2,500 for an mpg rating of more than 32. Increases required mpg ratings in 2010 and directs the Secretary of the Treasury, in consultation with the Administrator of the Environmental Protection Agency (EPA), to prescribe mpg ratings for such credit for taxable years beginning after 2010 to achieve specified fuel economy goals by 2015. Terminates such credit after December 31, 2014.

Directs the Secretary to establish a program for making advance payments of credit amounts to individuals who purchase vehicles that meet the mpg ratings established by this Act.

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UAWの負の貢献

 クライスラーに続いてやはりGMも破綻してしまいましたが、その破綻に大きな貢献をしたと評判なのがUAW - 全米自動車労働組合(United Auto Workers)です。自動車産業に昔から興味のあった私は、学部生だったころからUAWについて少々興味をもって調べてました。その記憶をたどりながらUAWのアメリカ自動車産業に果たした貢献について書いてみます。

 かつてあるUAWの幹部が言ったそうです。組合にとって労働者の雇い主である自動車会社とは戦うべき敵であり、協調するなど考えもしなかったと。アメリカでは自動車会社は不況時に簡単に従業員のレイオフ(一時解雇)をします。仕事がないのに従業員を雇うのは、経費を無駄に払い会社の利益を減らすからです。そのようなレイオフをすることは会社に認められた権利であり、会社の利益のために従業員の生活や立場を考えている場合ではないからです。
 当然のことながら従業員の立場は正社員と言えども不安定であるので、組合を組織して立場を強化します。組合はストライキをちらつかせながら或いは実行しながら、会社側から昇給や年金や医療費を出来るだけ取ろうとします。組合の代表は会社側からいくら有利な条件を組合員のためにもぎ取ってくるかによって評価されます。労使関係は常に敵対的であり、利益をいかに自分に有利に分配するかが焦点となります。
 このような組合の姿勢は会社の利益を減少させることになり、それによって会社は将来の成長のための開発といった投資額を減らすだけでなく、生産コストを上昇させ商品の競争力を減らすことになります。組合の敵対的姿勢は、短期的には従業員の条件を良くする事になりましたが、長期的には会社の競争力を弱め、日本の自動車会社のような競合を相手にする力が削減されることになりました。
 日本の自動車産業はまさにその反対です。日本では不況でも会社側は正社員の解雇はしない。不況時の従業員のコストは期間工を雇うことによって調整します。その代わりに労働組合側も会社側に対してあまり敵対的な行動をとったり無茶な要求をしない。それによって会社側は競争力を高めつつ将来の成長に向けての投資を行うことが出来、その競争力上昇や投資による会社の成長に伴い労働者も賃金や労働条件が良くなっていくことを期待出来る。

 アメリカの敵対的労使関係は、会社側による労働者のマネジメントにも大きな負の影響を与えることになりました。組合側は会社側に有利な人事政策がされることを恐れ、会社側に労働者の昇進や配置転換を自由にさせることを認めませんでした。
 それではどのように従業員は昇進していったのか。実は実力主義と言われるアメリカにおいて、完全年功昇給制度が採用されたのです。例えば製造ラインのリーダーが定年で引退したとき、その後を引き継ぐのは残った労働者の中から最も長く雇用されていたものがなります。その人が仕事が出来るかどうか、或いはその地位にふさわしい能力や資質があるかどうかは全く考慮されません。また不況時にレイオフされるのは、最も雇用期間が短かったものからリストアップされることになります。ここでも仕事が出来る人かどうかなどは関係ないのです。
 従業員の昇進や解雇に仕事が出来るかどうかや能力が高いかということが関係ないとなると、当然の帰結として従業員の仕事ぶりに極めて大きな影響を与えます。何せどんなに真面目に働いたとしても、不真面目だけど自分よりも前に会社に入社したものよりも絶対に昇進することが出来ないことが決まっているのですから。これは従業員の動機付けや士気を削ぐ制度です。
 UAWのいるアメリカの自動車工場では、遅刻するもの、酔っ払って仕事をするもの、工場内で喧嘩をするものが続出していたそうです。全て会議室で意思決定をして製造現場を訪問する必要性を感じることなどないスーツ姿の会社のエリートたちが、生産性向上のために導入した最新の製造ラインのロボットたちも、現場では正しく操作されたりメンテナンスされることがなく不良品を作り続けました。自分の製造した車に自分の名前を勝手に掘り込む者、フライドチキンを食べながら車の組み立てを行い食べ残しまで一緒に組み立ててしまう者、ホイールにタイヤを付けるときに他の部品をタイヤの中にいれたまま一緒に付けてしまう者。そのような事例が本やドキュメンタリー番組で紹介されていました。
 このような行為の結果としてアメリカ車の品質は極めて悪く、新車時点で正常とは言えないものが続出したのです。アメリカ車は小型の燃費のいい車を作らなかったことが敗因と言われていますが、もう一つの敗因としてよく言われる品質の面ではこのようなことがあったのです。日本車との競争に勝てなかったのは当然です。

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プリウスに試乗してきました

 この大不況下でも発売前から予約が殺到している、今話題の新型プリウスに試乗してきました。新聞では既に10万台受注とか、今注文しても納車が年内になるかぎりぎりだとか、信じられないくらいに景気のいい話が飛び交っています。政府の販売奨励策で実質的な支払額が減るのも魅力でしょう。私の行ったディーラーでもすでに数百台の注文を取ったと言っていましたので、発売したばかりの車としては空前絶後の受注ではないでしょうか。

 さて試乗前に車をまずゆっくりと見ました。先代の外見を大きく変えることのない、誰が見てもすぐにそれとわかるいかにもプリウスといったデザインです。フロントシートはゆったりとした感じで、特にホールド性が良さそうにも思えません。このあたりはやはりハイブリッド車、燃費走行中心でゆったりと走ることが前提なのでしょう。内装に特に高級感はありませんが、センターコンソール付近のボタンは見やすい位置に配置されていて、使い勝手もいいです。リアシートは頭が天井に当たらない程度の空間は確保されていて、インサイトよりは確実に広い。だけどリアシートは背もたれの角度が直立に近くて姿勢としては楽ではないのに、リクライニング機能はない。長距離だとリアシートはちょっと辛いかも。
 操作系ですが、シフトレバーやパーキング・ブレーキはポジションが検知式になっていて、いわゆるドライブ・バイ・ワイヤというものです。だから手動でシフトレバーの位置を動かすと、車がその位置を感知して車の設定を変えてくれます。これが意外といい。パーキング・ブレーキをかけるのも解除するのもボタン一つ。例えばシフトレバー横のパーキング・ボタンを押せばそれだけで車がギヤをニュートラルに入れたうえにパーキング・ブレーキをかけてくれるし、走り出せば勝手にコンピューターが自動でパーキング・ブレーキを解除する。これは便利です。

 さていよいよ試乗。発進はエンジンを使わず基本的にモーターですので、車を始動しても極めて静か。電池が減ったりより強い加速が必要なときはいつの間にかエンジンがかかっていて、両方使って走行します。このエンジンの始動が実に静かで、いつエンジンがかかったのかわからないうちにエンジンの排気音がします。基本的に快適性は高い。
 新型プリウスは99馬力の1.8リッターエンジンにモーターがついて、最高システム出力136馬力。トヨタによると2.4リッターエンジンなみの出力だそうです。しかしアクセルをベタ踏みしてもあまり加速感がない。思ったよりも遅い。ディーラーの営業員にそう言ったら、省エネモードに設定されているので、パワー・モードにすれば良いとのこと。パワー・モードにして走ってみましたが、多少は速くなったものの、1.3トン超えの重量のせいかやはりそれほど機敏な車だとは思いませんでした。ハンドリングはインサイトほどきびきびとしたものではないものの、かつてのトヨタ車のようなフニャフニャなサスペンションでコーナーが全く安定しないということもありませんでした。

 試乗後、営業員と色々と話をしてみました。とりあえず納車のことを聞いて見ると、やはり年内ぎりぎりくらいだろうとのことでした。先週注文すれば11月納車くらいだったので、一週間で納車が一ヶ月ずれたそうです。政府の新車購入の補助金も今ならば多分受けられるだろうが、それも保証は出来ないとのことでした。
 気になるバッテリーについても質問してみました。本社での試験だと、30万キロ走っても問題はなかったとのことでした。恐らく50-60万キロでも大丈夫なのではないかということです。これは安心出来る話です。でも逆に一ヶ月に一度しか乗らないような滅多に走らない使い方だとバッテリーの寿命はもっと短くなるかもしれないのではないかと聞いたら、それはそうだろうと言っていました。しかし普通に使っていれば10年たってもそれ以上たっても恐らく大丈夫なのではないかと言っていました。ちなみに保証は5年か10万キロかどちらか早いほうが適用されます。もしバッテリー交換するとなると、恐らく20万円くらいかかるのではないだろうかとのことです。まだ技術の低かった初代プリウスはメーカー保証で無償でバッテリー交換がされますが、2代目は技術の進歩でバッテリーを交換する必要のある車が出てきたことがないので、そのあたりはまだよくわからない、でも2代目の今までの信頼性を考えると、3代目も期待出来るかもしれないとのことでした。こればっかりは実際に年数を経過してみないとわかりませんが、技術の蓄積があるから大丈夫かもしれません。

 その間にもひっきりなしにお客がきます。数ヶ月もたつと、道路には異常繁殖した新型プリウスが溢れ出している事間違いなしです。

 さてプリウスの動力ですが、トヨタでは2.4リッター級といっています。しかし実際にはシステム出力は136馬力に過ぎず、低速域でのトルクの供給を得意とするモーターがあるとはいえ、普通のガソリン車の1.8-2.0リッター級といったところではないでしょうか。例えば同じトヨタのアリオンは1.8リッター・エンジンで136馬力です。アリオンの全幅はプリウスの1745ミリよりも少し狭い5ナンバーサイズの1695ミリですが、全長はプリウスの4460ミリよりも少し長い4565ミリ。車格的にはこのあたりと同格といったところ。アリオンの価格設定が168万円-233.1万円に対して、プリウスは205万円-327万円。燃費だけで価格差を埋めるのは簡単ではなさそうです。政府の補助金と中古車になったときのリセール・バリューを含めればプリウスの勝ち、ハイブリッド車に乗っているという満足感も足せばプリウスの圧勝でしょうか。

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