亀井静香金融相のモラトリアム発言はただの人気取りに見える
鳩山内閣で新郵政・金融相になった亀井静香大臣の発言が、金融市場にちょっとした衝撃を与えています。中小企業が銀行による貸し剝がしによって黒字倒産が起きていて、個人もローンに苦しんでいるから、三年くらいの返済猶予をするモラトリアムを実施する、という意向を示しました。
私はこれには反対です。こんなことをすれば、銀行は貸した金が暫く返ってこないのですから、大きな損害を受ける。そうなると金融機関の収支は悪化し、より保守的な経営方針となるでしょう。そうなれば新規の貸し出しにも慎重にならざるを得ず、銀行本来の役割である融資が少なくなれば、結局困るのは中小企業ということになる。経済全体も停滞し縮小することになる可能性があります。
また、そもそも本当に中小企業の黒字倒産がそれほどにまで多いのか、モラトリアムを実施して得られる中小企業の利益と、銀行の損害+新規融資を得られない中小企業の損害を比較したのか、一時的とはいえ貸した金を返さなくてもいいという超法規的措置によって日本の経済システムに対する信頼が揺らぐのではないか、そのような疑問がまず浮かぶ。
実際、この発言を受けて金融機関の株式は下落している。株式が下落すれば時価評価によって企業の資産価値も下落し、またそれにより銀行はコール市場で短期の資金調達に苦労することになるかもしれません。既に経済に対する悪影響が出ています。
さらに、彼が党首(2009年9月現在)を務める国民新党の2008年の緊急金融安定化対策では
大阪証券取引所における「日経225先物取引」は、投機マネーとして、現下の株乱高下の一因となっており、早急に廃止する。
http://www.kokumin.or.jp/seisaku/20081017.shtml
としています。先物取引は確かに投機に使われることがありますが、リスクヘッジへの使用や金融商品取引の簡略化といった役割があり、経済に貢献しています。例えばあなたが日経平均が上がるから買いたいと思ったとき、日経225を現物株で売買する手間を考えてみてください。また株価の乱高下を先物の責任だけにするのはおかしな話です。日経225先物がなくなれば、昨年のリーマンショック後の株価暴落は避けられたのでしょうか。私はそうは思えません。先物がなくてもやはり現物は売られていたでしょう。
このようなことから、亀井静香金融相が、経済や金融のことをよく知っていて、適切な対応が出来る適任者であるとは思えません。むしろ私には、亀井金融相はまともに政治をするというよりも、何か目立つことをしたり受けの良さそうなことを言ったりして目立つことにより、人気を得て政治をしているように見せているだけのような気がするのです。
1995年、フランスはムルロア環礁で核実験を行いました。そのとき亀井議員はわざわざ現地の近くまで船に乗り繰り出し、反対のパフォーマンスをしていました。しかし日本国内の選挙が終わると、まだ核実験が続く現地をさっさと離れて日本に帰国しました。また、諫早湾干拓事業が無駄であると話題になったとき、彼はやはり現地まで飛び、繰り返しテレビに大きく写っていました。というよりもテレビによく映ることだけを意識しているように思えました。
私は、彼が核実験に反対したことや干拓事業に反対したことを責めてはいません。核実験反対は被爆国の日本人として当然のことです。米余りの日本でさらに農地を増やす意味のない干拓事業に反対するのもいいことだと思います。しかし私には、亀井議員は人気取りになること、選挙の票につながることを何よりも優先しているだけの役者というかパフォーマーのように思えて仕方がない。中小企業の支払い猶予をすれば、弱い立場の人に優しいというイメージを作れる。日経225先物が株価の暴落の原因だと決め付けて廃止を唱えれば、経済への不安を持つ人々から支持を得られる。核実験反対・公共事業反対をアピールするのも、国民の味方であるような印象をつけられる。実際に亀井議員は昔から核には反対の立場を取っていたようです。しかし本当に優先しているのは良い政策を通すことではなく、国民に自分を印象づけることであったり良い評価を得ることであるような感じをどうしても受けてしまいます。
海外勢が「亀井発言」嫌気、閣内の影響力は限定的の見方も
9月17日19時34分配信 ロイター
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090917-00000557-reu-bus_all
[東京 17日 ロイター] 亀井静香郵政・金融担当相の発言が金融市場に波紋を広げている。17日の東京株式市場では、中小企業による借入金や個人の住宅ローンなど銀行への返済にモラトリアムを設けるとのコメントが海外勢に嫌気され、金融株が売られた。
市場関係者は金融行政の運営に対して懸念を強めている。ただ、先の総選挙で300議席超を獲得した民主党主体の政権にあって、少数政党の国民新党の代表として影響力は限定的との指摘もある。
17日の東京株式市場は、みずほフィナンシャルグループ<8411.T>、三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>、三菱UFJフィナンシャ
ル・グループ<8306.T>など大手銀行株が続落。中でもみずほの下げが目立った。大手証券の株式トレーダーは、前場では米系投資家が売り、後場に入っ
てからはアジア勢が追随し、金融株の下げ幅が拡大したという。
亀井担当相は就任後の記者会見で、中小零細の企業・商店が日本の経済の基になっており「貸しはがしによって黒字倒産がドンドン起きている」のが実態と指
摘。個人も住宅ローンの返済で苦労しているとして「3年ぐらいは借入金の返済を猶予する措置をとるべきだと考えている」と語った。
ただ、具体的な制度の詳細は「まだきちんと決めているわけではない」としつつ、郵政民営化凍結法案と合わせて、モラトリアムを法案として整備し、10月に召集予定の臨時国会に法案を提出するとの考えを示した。
日本全国に新幹線を建設する――。1993年8月に発足した細川政権が整備新幹線の凍結を決めていたが、94年に政権を奪還した自民・社会・さきがけの
村山内閣で運輸相に就任した亀井氏は、初閣議の後の記者会見でいきなり凍結解除を打ち出した。亀井担当相の豪腕ぶりが分かるが、その当時は自民党が第1党
として強力な政権基盤が背景にあった。
8月30日に実施された総選挙に向けて策定された国民新党のマニフェストは、第1章の「国家の姿」のなかで「郵政民営化を見直すことが日本のやさしい社
会を取り戻すことにつながる」とし、7項目の政策提言のうち、冒頭が「郵政民営化・4分社化を抜本的に直す」となっている。
欧州系証券のシニアストラテジストは、郵政民営化の巻き戻しについて海外からみれば「3公社5現業」という非効率な運営がイメージされるので政権にはネ
ガティブなイメージを与えると指摘する。その上で鳩山政権が「人為的に誤った政策運営をするとの懸念を持たれる恐れがある」との見方を示す。
同時に「亀井氏の大臣就任は小泉純一郎元首相への恨みを抱いてきた亀井氏へのはなむけの人事だ」と指摘する。というのは「今や大政党となった民主党主体
の政権内で、議席が過半数に届かない参院での国会対策としての連携であって、来年の参院選で民主党が過半数を獲得すれば、亀井氏は自然と不要になる」と説明する。
先のシニアストラテジストは、衆院で民主党が結成した会派は311議席なのに対し、国民新党は3議席に過ぎず「最終的にバランスのとれた政策が期待できる」とし、亀井氏の影響力は限定的との見方を示す。
ただ、金融担当相は、メガバンクをはじめ国内で営業する銀行、証券を監督する巨大な権限を持つ。亀井担当相の発言で早くも大揺れの金融界は、強い風圧にさらされることになった。
(ロイター日本語ニュース 吉池 威記者)
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コメント
早いとこ更迭しないと大変なことになるで、このおっさん。
投稿: 冷静 | 2009年9月25日 (金) 18時04分