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シャープ没落の原因を作った犯人 佐々木正元副社長

 経営危機のシャープが台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の支援を受け入れることになりました。数々の技術開発で一時は好調だったシャープですが、競争激化や巨額の投資が足枷になり経営は行き詰まり、自力の再建は難しいとされていました。

 今後のシャープはどうなるのかはわかりませんが、今回の原因の一つとして面白い話があります。それは常識では考えられないほど愚かな経営者が、自ら自社の中核技術を積極的に流出していたということです。以下はそのことについてその経営者自らが語っている週間東洋経済の記事です。

出典: http://toyokeizai.net/articles/-/9665


シャープ元副社長・佐々木正氏③

 

 

 

 

 

ささき・ただし 1915年生まれ。京都大学工学部卒。神戸工業(現・富士通)取締役を経て、シャープ副社長、顧問。電卓の生みの親。シャープを日本有数の家電メーカーに育て、日本の半導体産業の礎を築いた。現在はNPO法人・新共創産業技術支援機構の理事長を務める。

 

九十にして今度は恩に報いる

 

シャープと韓国サムスンの関係は長きにわたります。サムスンは商社から始まって、電器産業に進出したが、半導体の開発で行き詰まった。それで、李健熙さん(現会長)がわざわざ訪ねてこられた。1970年ごろのことです。

 

当時、日韓定期閣僚会議が始まり、両国間で提携の機運が高まっていました。ところが、日本電気の小林(宏治・元会長)は、「韓国は技術を盗んでい く」と警戒感をあらわにしていた。困った李さんが、「何とか小林さんを納得させてほしい」と。そこで駐日韓国大使と小林さん、李さん、私とで食事する機会 を作ったんです。その後、私以外の3人でゴルフに行ったら、小林さん機嫌直しちゃったらしいんだ(笑)。

 

それ以降、李さんが頼りにしてこられるんです。半導体の開発にしても、「佐々木さん、辞めてこっちへ来ませんか。韓国籍にならんか」とまで言う (笑)。じゃあ、僕がシャープを説得するから、頭を下げて技術を教えてくださいと言ってくれ、と。数年間、4ビットマイコンの製造技術の提携をしました。

 

サムスンが何かの記念式をするときは軍隊式でしたね。社員が第1連隊、第2連隊……の順で並ぶ。第1連隊って、第1工場のことですよ。その根性で成果を上げていった。

 

そうなると欲が出る。「今度は液晶を教えてくれ」と言ってきた。僕は断った。「依頼心はサムスンを殺す」と。李さんは納得してくれたが、その部下になると、そうはいかない。盗んででもやるんだ。フライデーフライトでうちのキーマンを韓国に連れていく。連中は土日に働いて日曜夜、サンデーフライトで 帰ってくる。シャープは最後には技術幹部のパスポートを全部預かっちゃった。

 

そのときも、私個人は、「与えられるものどんどん与えて、感謝してくれればいい」と思っていた。少なくともシャープの味方にはなるだろうとね。ところが、李さんがトップを離れた時期に、サムスンがシャープを相手に特許訴訟を起こしたんです。あれはサムスンが情けなかった。

 

李さんは、シャープに感謝しとるからね。李さんがトップに復帰した後、直接話をして、和解しました。

 

孔子は73歳で死んでいますから、『論語』に「七十にして矩(のり)をこえず」の次はありません。97歳の私が言うならば、「八十にして恩を知る」 でしょうか。人間は自分一人でなく、いろんな人のおかげで生きとるんです。そして、「九十にして今度は恩に報いる」。そうすれば百で人生を終えるとき、幸福でいられるはずです。

 一体いくらで技術を提供したのかわかりません。しかし上記の記事を読む限り、個人的利益を求めて会社を裏切ったというものではないようです。あるいは会社の利益を求めて戦略的にビジネスとして技術を売ったというものでもないようです。記事の中には次のような一節があります。

私個人は、「与えられるものどんどん与えて、感謝してくれればいい」と思っていた。少なくともシャープの味方にはなるだろうとね。

  この一節が本当であるならば、どうもこの佐々木という人、困っている人を助けたいというような義侠心的な思いで技術を積極的に流出させていたようです。自分は困っている人を助けてやった器の大きな人物だぞ、それでその困っている人は助かったぞ、そんな自己満足に浸っていたのではないでしょうか。だからこ そ、このような恥さらしな記事を堂々と公開しているのでしょう。しかしその結果、サムソンは世界有数の液晶製造会社になり莫大な利益を上げ、反対にシャー プは液晶で巨額の赤字を計上して自力再建が不可能になりました。

 この人が根本的に間違っているのは、他人や他の会社を助けたいならば個人で助ければ良いのに、会社という組織のものを私物扱いして個人の考えで流出させたことです。会社を離れて完全に個人で開発した技術を他に譲るのは自由です。しかしたくさんの人が日夜努力して開発した会社の技術を流出させてはならない。会社の技術は個人のものではないので当たり前のことです。経営者はまず自社の利益を優先して経営をする必要があり、たかだか相手からの感謝を得るために自社を犠牲にして他社を助けるなどというのはあまりに愚かです。味方になってくれると思ったと書いていますが、サムソンが味方になると一体何をシャープにしてくれるとこの人は思ったのでしょうか。恐らく何も考えていなかったのでしょう。しかもサムソンがシャープを訴えた・シャープの従業員を週末に韓国に連れて行って技術を盗むという、この人にしてみれば恩を仇で返されたという裏切り行為をされても、なお自分のやったことを間違ったとは思っていない。

 愚かなのはこの佐々木副社長だけではないでしょう。いくら副社長でも、個人でこれだけの技術提携は出来ない。シャープの他の役員もこのような計画を進めたり賛成した人がいるはずです。しかしこのようななことは、シャープという会社の経営をするに当たり裏切り行為といえます。実際、シャープの株価は暴落しました。経営陣は会社のためになるような経営をするということに対して、善管注意義務というものがあります。もし私がシャープの大株主ならば、私はこの人を含む経営陣に株主代表訴訟をおこしています。これだけの不幸を起こした人に対して、百歳で幸福な時を過ごしてもらいたくはありません。

シャープ、鴻海傘下に 臨時取締役会で決議…国内大手家電の一角が外資へ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160225-00000506-san-bus_all

  産経新聞 2月25日(木)11時17分配信

 経営再建中のシャープは25日の臨時取締役会で、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業による支援を受け入れることを決議した。鴻海が7千億円規模を投じて シャープを買収する内容で、月内の合意を目指して最終調整を進める。官民ファンドの産業革新機構もシャープに3千億円規模を出資する支援案を提示していた が、拠出額の多さなど条件面で鴻海の提案が上回ると判断した。国内大手家電の一角を占めるシャープが外資傘下に入ることになった。

 鴻海は、シャープ株の過半数を取得、主力取引銀行の優先株を買い取る。現経営陣の続投や40歳以下の従業員の雇用維持を約束しており、太陽電池事業以外の売却を否定するなど好条件を提示した。

 シャープをめぐっては、最先端の液晶技術の海外流出を懸念する政府の意向を踏まえ、革新機構も支援案を提案。3千億円規模の出資で経営権を取得し、不振 の液晶事業を分社化して、同じ革新機構が出資する中小型液晶大手ジャパンディスプレイ(JDI)との統合を目指していた。

 革新機構の支援案は、シャープの主力取引銀行の三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行に対しては1500億円の債務を株式に振り替えたり、2行が保有する優先株2千億円を実質放棄させるなど、最大3500億円の金融支援を求めることも含まれていた。

 これに対し鴻海は優先株を簿価での買い取りを提案しており、主力行も鴻海支持に傾いた。

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コメント

モノづくりで過剰重視(今もそうですが)で電機業界だめになったのですよ。
その旧弊を打破するためあえてハードはほかに任せようと佐々木さんは考えたのかと思います。
これからはソフトやシステムそしてユーザー視点が重要になるというまさに先見の明、卓見だと思います。
自社で秘匿する技術よりもあえて与えて味方につけて、プラットフォームを構築するのを優位に運ぶというのがその当時でも十分通用する戦略でした。
これが今に至るも日本電機業界(IT業界)が分からないまま衰退しているのが実情ではないですか?
後は自分が偉く、ユーザーは従えみたいな安部首相のような政治経営者が闊歩しているが日本の衰退原因です。

投稿: たけ | 2017年10月10日 (火) 13時46分

たけ様

 コメント有難うございます。

 しかしその意見には到底賛成できません。シャープはサムソンに技術を与えて一体その味方からどのような支援を受けたのでしょうか。そもそも多少でもサムソンは味方になったのでしょうか、シャープは味方になるような計画の下に技術を与えていたのでしょうか。シャープは半導体の技術を他社に与えることによりどのようなプラットフォームを造る計画があったのでしょうか。
 そしてソフトやシステムが重要になるという先見の明があったから、わざわざ貴重な自社技術を流出させるというのは全く意味不明です。そもそもシャープはハードを作るメーカーであり、ソフト企業になるべく舵をきっていたわけではありません。また電機業界のハードの製造会社でも利益を上げている企業はいくらでもあり、シャープから技術を獲得したサムソンはその代表です。

 日本の電機業界衰退の大きな理由はいくつもありますが、少なくともシャープが技術をこのように与えさえしなければここまでひどくはならなかったのは間違いありません。半導体のスーパーサイクルに入っている現在、その恩恵を受けているのは日本からの半導体の技術流出によって繁栄している韓国企業であり、韓国に追われて壊滅した日本はそれを黙ってみているだけの状況です。佐々木副社長の罪は極めて重いと言わざる得ません。
 

投稿: 著者 | 2017年10月16日 (月) 03時07分

そうなると欲が出る。「今度は液晶を教えてくれ」と言ってきた。僕は断った。「依頼心はサムスンを殺す」と。李さんは納得してくれたが、その部下になると、そうはいかない。盗んででもやるんだ。フライデーフライトでうちのキーマンを韓国に連れていく。連中は土日に働いて日曜夜、サンデーフライトで 帰ってくる。シャープは最後には技術幹部のパスポートを全部預かっちゃった。

これが流出させたに読めるのですか?断ってらっしゃると思いますが。

投稿: コメント | 2017年12月22日 (金) 21時45分

コメント様

 コメント有難うございます。

 まず私は佐々木元副社長が液晶をわざと技術流出させたとは書いていません。この記事は半導体とビットマイコンの技術を流したことを書いており、私のほうもその技術流出の責任が佐々木元副社長にあるという意味で書いています。

 それから液晶のことですが、やはり佐々木元副社長が消極的にとはいえ技術流出をさせたと言えます。何故ならば佐々木元副社長はサムソンがシャープの技術者を韓国に連れて行き働かせた産業スパイ行為をしたことを知りながら、即時にその行為を停止させるように警告したり訴訟を起こしたりはしなかったわけです。最終的に技術者幹部のパスポートを預かってそう出来ないようにしたが、それまではサムソンに産業スパイを好き勝手にさせ放題にし、しかも流出した技術にサムソンが「感謝してくれればいい」とまで言っているわけです。
 これは産業スパイ行為が行われていることを知りながらわざと見過ごし技術流出を黙認した重大な裏切り行為です。それでもコメント様には佐々木元副社長は液晶の技術流出の責任がないと読めるのでしょうか? 
 ちなみに韓国の鉄鋼大手ポスコが新日鉄住金への産業スパイで技術流出があった件では、2012年に新日鉄住金が訴訟を起こして2015年にポスコからの賠償金支払いで和解しています。

投稿: 著者 | 2017年12月30日 (土) 00時41分

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