F1の新ポイント制度について
ホンダが去年秋にF1から緊急撤退しましたが、その後売却されて残ったチームが絶好調です。開幕戦ではポールボジションを獲得、そして決勝でも優勝。第二戦でも再びポールポジションからの優勝です。そもそも去年のチームの方針は、フェラーリを率いて黄金時代を築いたロス・ブラウンを迎えて、競争力の劣る2008年のマシンに力を注ぐことをあまりしない代わりに、2009年のための開発を優先するということだったようです。そして今年、見事にその方針が花開いたようです。金のかかるといわれるF1のなかでも有数の豊富な資金力を持つホンダがチームを売却した途端に、残された弱小チームが圧倒的戦闘力を発揮とは、とんだ恥をさらしました。
ホンダが2000年にエンジンサプライヤーとして再参戦する前の記者会見で、その気になれば全部勝てるけどそうしないだけだ、と大口叩いてました。しかしホンダのエンジンは出力に劣り、直線で他のチームに容易にかわされていく姿が度々放送されました。戦績の上がらないホンダはその後チームそのものを買い取り、シャーシの開発とチーム運営をすることで競争力の向上を図りましたが、それでもかろうじて一勝を上げるにとどまりました。それで今年のこの結果ですから、ホンダの関係者はさぞ忸怩たる思いをしていることでしょう。
ところでF1の年間チャンピオンを決めるポイント制度の変更についての議論が話題になっています。去年までは1位10点、2位8点、3位6点、4位5点、5位4点、6位3点、7位2点、8位1点で、一年間18レースを終えた時点で最も総得点の多いものがチャンピオンとなります。それが新しいポイント制度では、ポイントに関係なく優勝数の多いドライバーがチャンピオンになるというものです。これによってより多くのドライバーが着実にポイントを盗るりも危険を犯して優勝を狙うため、よりエキサイティングなレースになると主張しています。かつてもこのポイント制度は何度か変更されてきました。
しかしこれには多くの反対意見が出て、レースに参加しているドライバーたちも猛反対。優勝だけがチャンピオンを決めるのならば、それ以外の結果は意味があまりなくなります。また優勝回数が多くなくても着実にポイントをとるというのも、偉大なレーサーです。
またこれは違った議論も呼んでいます。この新ポイント制度を過去の結果に適用したならば、かつてチャンピオンを獲ったドライバーがチャンピオンでなくなったり、チャンピオンを獲れなかった者がチャンピオンになったりするということです。これによってかつてのチャンピオンドライバーの資質が問われることになるということです。例えば80年代に三度の世界チャンピオンになったネルソン・ピケは、新ポイント制度の下で再計算すると、一度もチャンピオンを取れなかったことになるというものです。
しかしこの議論は全く的外れの馬鹿げたものです。かつてチャンピオンをとったドライバーは、その当時のポイント制度の下で、ポイント制度を熟知してレースをしていたのです。ドライバーは、常にチャンピオンを獲るにはどうすればいいかを考えながらレースに挑みます。ポイントが多ければチャンピオンを獲れるのならば、ポイントを稼ぐことを優先してレースをします。もし優勝回数が多ければチャンピオンを獲れるというポイント制度の下でレースをしたならば、彼らは間違いなくよりリスクを取った異なるレース戦略を採用して、かつてとは違うレース結果を目指したことでしょう。ネルソン・ピケも着実にポイントを獲得するよりも、リタイアの危険を冒してより多い優勝回数を目指してレースをしたことは間違いありません。過去のポイント制度の下でのレースの結果を、新ポイント制度をそのまま適用して新しい結果を判断するなど、まともなジャーナリストのやることではありません。
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