カテゴリー「経済・政治・国際」の69件の記事

2009年11月10日 (火)

国会議員の給与は安すぎる

 2009年11月7日放送の「世界一受けたい授業」というテレビ番組を見ました。その中で国会議員の待遇について言及していました。番組によると、議員の給与は年間約2100万円。それに加えて秘書を3人まで雇え、それに2000万円。文書通信交通滞在費というのが100万円出るそうです。

 これってどう思いますか。この不景気に庶民感覚を超える厚遇だという人もいるかもしれません。その他にも議員には一等地の事務所や住居を格安で借りられたり飛行機に乗り放題というような特典もありますから、実質的にはさらに貰っていることになる。しかし私は、これは信じられないくらいの低すぎる待遇だと思います。

 日経ビジネスのある記事によると、ウォール街のエリート金融会社員は年収5000万円では馬鹿馬鹿しくて働く気にならないそうです(下記記事参照)。日本においても、一部エリート外資系金融に勤務するような人は多額の給与をもらっています。入社数年で1億円以上の年収というのも十分ありえることです。私もこれは直接・間接に聞いています。また国内系の企業を見ると、例えば日産の役員の一人当たりの平均給与も1億円を超えています。たかだか民間企業の役員が1億円をもらうのに、日本と日本国民1億3000万人の利益を代表し国政を左右する国会議員の年収がわずか2100万円とは、勤労意欲をなくさせるくらいの低所得です。
 勿論国に尽くすのが政治家だから、給与だけで仕事を評価すべきではないという声もあるでしょう。仕事のやりがいや名誉といった、お金だけで測ることが出来ない部分もあるでしょう。しかしこの給与と待遇で、本当に能力のある人を政治の世界に引き付けることは出来そうもありません。多くの優れた才能が、政治家以外の道を選ぶことは止められない。今の国会議員の低い待遇は、給与を払っている日本政府の財政をこれ以上悪化させないための短期的なわずかな効果はあるでしょう。しかしそうなれば優れた人が政治の世界に集まらず、結局日本という国を正しく効率的に運営出来ることが出来ないという負の部分が出てくる。それは国会議員の待遇を低いままにして日本政府の財政をほんの少しだけ悪化させないというわずかなプラス面と引き換えにするには、あまりに大きな代償となっている。

 政治家がもっと良い待遇を得るべきだと思う理由は他にもあります。それは、例えば国会議員というビジネスはこの給与では実は赤字なのです。いつの放送だったか忘れましたが、たしか今年の放送だったと思いますが、「太田光の私が総理大臣になったら・・・秘書田中」という番組の中である国会議員が、普通は一度選挙に出ると1億円近い費用がかかるということを言っていました。事務所を借り、人を雇い、ポスターを印刷し・・・と選挙には多額の費用がかかるものです。タレントとか有名スポーツ選手とかでない限り、費用をかけなければ自分の名前や政策を有権者に覚えてもらうことすら難しい。そのための選挙費用1億円ですが、例えば衆議院の4年の任期で2100万円ずつ毎年もらっても、合計で8400万円にしかなりません。これではたとえ当選したとしても、完全な赤字です。まして落選という危険を抱えていることを考えれば猶更でしょう。立候補者は政党からの助成金などで選挙費用の不足分を何とかするみたいですが、よほどの金持ちや有名人でない限り政治家というのは元がとれない職業です。
 金がかかるのは選挙だけではない。政治家は政策を立案しそれを実行しようと真面目に努力をすればするほど金がかかります。例えば今後のために何か良い政策を考えるとき、経済学者や法学者や実業界の人物と議論をし、何をどうすれば良いかを考えます。そのようなときに一人ではどうすることも出来ないので、有能な秘書や部下を雇い計画を詰めていくわけですが、政治家には3人の秘書を雇うお金しか支給されない。秘書といっても政治家の秘書は、スケジュール管理や電話の取次ぎだけをすればよいのではない。政治家として活動し良い政策を立案するには法律や経済等について高度な知識・経験のある政策秘書としてのスタッフが多数必要だが、現在の待遇では政治家としてまともな活動など出来るわけもない。結局真面目に政治家として活動するためには、政治家は自腹を切ってさらに人を雇うしかない。ちなみにアメリカでは、下院議員は18名の常勤と4名の非常勤のスタッフを公費で雇うことが出来るそうです。(出典 財団法人 世界平和研究所 http://www.iips.org/bp301j.pdf)

 結局今の政治化の待遇は、政治家になったり真面目な活動をさせたりという待遇ではない。選挙に落選するという大きな危険を冒して立候補し、仮に政治家になっても多額の赤字が続く。一度政治家になったならば、真面目に政策を考えるよりも自分の利益になるための活動に力を入れたほうが良いと考えさせてしまうような待遇でしかない。それは国民にとって大変不幸なことになっているのは言うまでもない。政治家は金を貰いすぎているとか待遇が良すぎるとかという批判がマスコミでもよくされていますが、とてもそうは思えない。政治家に正当な待遇を与えるのは、国家と国民による一種の投資です。政治活動に取り組めるだけの待遇は与えるべきです。



「年収5000万円じゃやってられない」

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090212/185835/?P=1

「そんな端金(はしたがね)で働けるわけがないだろう」

 年間報酬50万ドル(約5000万円)――。バラク・オバマ大統領が金融機関の巨額報酬を批判し、幹部にこうした上限を設ける意向を発表した。

 その翌日の2月5日夜、ウォール街の男たちは憤懣やるかたない様子だった。午後7時過ぎ、金融街のバーは高級スーツを身にまとった白人男性で埋め尽くされていた。男はたばこを吸うために、店のドアを開けた。零下10度の冷気が高層ビルの間を吹き抜ける。

「要するにさ、そんな金額では、ここで働く意味がないってことだよ」

 そう吐き捨てると、吸い殻を靴底でもみ消し、店内の喧噪の中に消えていった。

「安すぎる」「バカげた給与だ」

 ウォール街の男たちは口々にそう叫んだ。オレンジ色のセーターを着た恰幅のいい金融マンは、皮肉な笑みを浮かべた。

「いいかい。俺たちは零細企業のヒラ社員じゃないんだ」

 常人には理解しがたいが、彼らにとって年収50万ドルは「しがないサラリーマン」の給与水準らしい。それもそのはずだ。2007年、米投資銀行の CEO(最高経営責任者)はケタが2つ大きい年収を受け取っていた。ロイター通信によるとその額はゴールドマン・サックス6850万ドル、リーマン・ブラ ザーズ2200万ドル…。こうした巨額報酬に引っ張り上げられるかのように、末端の社員まで高給を手にしてきた。全社員平均でゴールドマン60万ドル台、 破綻したリーマンでも30万ドル台という破格の給与水準となっていたのだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月27日 (日)

亀井金融相の経済音痴ぶり

 「わたしが言ったからといって、株が下がるほど脆弱(ぜいじゃく)な銀行は、銀行業を営む資格はない」

 亀井金融・郵政改革担当相の発言です。期間限定とはいえ、貸した金が返さなくていい・利子の支払いもしなくていいというのは、銀行の本業を否定することであり経済の原則を否定することです。金融政策を実行する立場にある人がそんな発言をしたとき、株価が下がるのは当然のことであり、下がらないと考える人がいたならばそちらのほうが余程どうかしています。銀行が脆弱だから株価が下がるのではなく、銀行の利益の源泉である融資を実行してその元本と利子の返済を受けるという本業を否定されたから株価が下がるのです。政府から突然に本業を否定されて、株価に影響のないまともな企業が果たして存在するのか。このような大原則すらわからないほどの人物がこのような責任のある地位についたことは、日本の経済に対して非常に危険なことです。
 中小企業は今後の支払いは猶予されたとしても、今後の融資を受けられる可能性は低くなるだろうし、そうなったときに困るのは中小企業である。少なくとも銀行は間違いなく直接の損害を受けるし、そうなれば経済全体にとっての損害となる。これも民主党の掲げる「友愛」だと彼は言うが、少なくとも彼の友愛は中小企業向けのみであり、金融機関や経済全体には向けられないようです。

 亀井金融相のこのような発言に対し、鳩山首相は「与党3党、政府内で議論して、できるだけ早く結論を出したい」としています。一方で「鳩山由紀夫首相は(反対なら)わたしを更迭すればいい。できっこない。最初から合意している話だ」と亀山金融相は述べています。しかし首相は彼のこのような動きを支持している態度を明確にもしていません。まだ内閣が出来たばかりですので、いきなりの分裂はまずいと思っての沈黙ではないかと思われますが、首相は本当にこのまま亀井金融相を野放しにしてこの政策を実行させる気なのか。それとも本当に最初から合意している話なのか。それは日本経済・鳩山政権自体の危機ともなりえます。このまま次の参院選で民主党が人気を維持できるとも思えません。水面下で説得をし、それが駄目ならばまだ傷の広がらないうちに更迭もやむをえない。そんな態度を見せて欲しいものです。

「首相は更迭できっこない」=返済猶予対象、利払いも-亀井金融相

9月27日14時39分配信 時事通信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090927-00000027-jij-pol

 亀井静香金融・郵政改革担当相は27日のテレビ朝日の番組で、中小企業などの融資返済を猶予する制度の導入について、「鳩山由紀夫首相は(反対なら)わ たしを更迭すればいい。できっこない。最初から合意している話だ」と強気な発言を繰り返し、実現に自信を見せた。亀井氏は出演後、記者団に「首相とは価値 観を共有している。『友愛』を返済猶予の形で実現していく。首相も喜んでいると思う」とも語った。
 また、亀井氏は同番組で、借り入れ元本の返済に加えて金利支払いの猶予も視野に検討する考えを表明。亀井氏は28日にも直嶋正行経済産業相と会談し、中小企業の経営実態について意見を聞く。
 一方、亀井氏の返済猶予方針が銀行株下落の一因になっているとの指摘に対しては、「わたしが言ったからといって、株が下がるほど脆弱(ぜいじゃく)な銀行は、銀行業を営む資格はない」と強調した。

首相「モラトリアム法案、早期に結論」

9月26日8時16分配信 フジサンケイ ビジネスアイ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090925-00000011-fsi-bus_all

 訪米中の鳩山由紀夫首相は25日、亀井静香金融担当相が主張している、中小企業の借入金や個人の住宅ローンの返済を3年程度猶予する「モラトリアム法案」について、「与党3党、政府内で議論して、できるだけ早く結論を出したい」と語った。これを受け、金融庁は週明けから大塚耕平副大臣を中心に与党3党 との調整を本格化させる。

 一方、亀井担当相は同法案に政府内や金融界から異論が出ていることについて、「(平野博文)官房長官がああだこうだとコメントする立場にない」と不快感を示した。

 このほか、日本航空の再建問題で25日に再生タスクフォースが設置されたことに関連し、「金融庁として助けるときは助けないといけない」と述べ、政府が一体となって支援していく意向を示した。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009年9月24日 (木)

日本航空の危機は、GMの破綻を思い出させる

 日本航空(JAL)の経営が揺れています。元々国策会社であった日本航空は、政府の方針の影響を大きく受けていました。またかつては日本唯一の国際線を展開する独占会社でした。いい意味でも悪い意味でも、政府に守られてきた会社でした。
 そのために激しい競争にさらされることもなく、高コスト体質が身につきながらそれを修正することが出来ていません。いち早く航空の自由化をしたアメリカでは、航空会社同士の熾烈な競争が起こり、そのため人件費の抑制や不採算路線の撤退といった効率的な経営が不可欠となりました。世界の航空業界が自由化で大胆な経営見直しをしたなか、その対応が最後まで遅れているのが日本航空といえるでしょう。例えば高度な能力を必要とするパイロットはともかく、CA(いわゆるスチュワーデス)にまで信じがたいほどの好待遇を続けていました。最近はだいぶん見直されているとはいえ、まだまだ日本航空の人件費は高いといわれています。
 かつて航空産業が花形であったころの高給・好待遇が忘れられない従業員は、産業構造が変化して産業全体の利益が減少しているにも関わらず、自分たちの待遇を譲歩して悪化させることに非常に消極的です。日本航空の企業年金は、経営上の大きな負担となっているといいます。現社長の西松社長自ら自分の給与を減額したりして経費削減を掲げていますが、残念ながら労働組合や退職者の理解を得られているようには見られない。元国策会社ですから、いよいよとなったら政府がなんとかしてくれるという読みも恐らく従業員側にはあるのでしょう。しかしこれは、会社が倒産しそうなのに従業員のために高額の医療費や年金を払い続けてさらに競争力を失い赤字を積み重ね、遂に今年破綻したアメリカのゼネラル・モータース(GM)のことを思い出させます。
 日本では、電力・水道といったインフラ関係の産業や、鉄道といった会社にはあまり競合がいません。例えば東京電力や新幹線と競合するための電力設備や新鉄道の整備には、あまりに膨大な投資が必要となるからです。ですからある意味独占的に市場を抑えることができ、比較的楽な経営をすることが出来る。しかし航空はそうはいかない。空港の発着枠や路線の認可といった問題があるものの、基本的に飛行機がありさえすれば、膨大な投資がなくても他の会社の持っている市場に容易に参入が可能です。もし成田-ニューヨーク間の路線が儲かるのならば、アメリカの航空会社はこぞってこの路線に飛行機を投入して市場に参入し、顧客を奪い取っていく。しかもこれらは、早くから競争にさらされて価格競争力の高い体質になっている会社である。それらを相手に、高コスト体質の日本航空は不利な競争を強いられていた。
 実際、日本航空は赤字を垂れ流し続けています。もともと産業内での競争が厳しくなっているのに加え、原油高・テロの恐怖・インフルエンザ・景気後退といったことが追い討ちをかけている。採算の取れない路線でも政府とのしがらみのせいか、運行を継続していました。これでは何度銀行が融資をしても、その融資額は日々の赤字によってあっという間に食いつぶされてしまう。このような高コスト体質を根本的に直さない限り、日本航空に融資をすることは借金を増やすだけの時間稼ぎであり、無駄でしかない。残念ながら、社長自らが節約をして手本を見せるくらいでは抜本的な解決は出来なかったし、これからも出来ないでしょう。
 今回追い込まれた日本航空は、単に企業内部が中心になっての経営改善をしていくのではなく、政府・銀行といった外部からも経営改善に対する強い圧力がかかっている。またデルタ航空やアメリカン航空による資本参加といった、具体的な策が出てきたのも経営改善を進める上で有利になります。これを機会に、中途半端な延命策ではなく、たとえ一時的な出血を伴ったとしても根本的な経営の見直しが進められることになればいいのですが、やはり反対勢力の力もまだまだ強そうです。どうなるのか予断を許しません。

 私は高コスト体質を直せないのならば、破綻もやむなしといった強い態度を政府がとるべきだと思っています。銀行の融資の一部には政府が保証をつけていますからそれが可能なはずですし、そのような姿勢を示すことは経営改善の大きな追い風となるでしょう。また公的資金注入とか一時国有化という話も出ているようですが、それも抜本的改革をするいい機会であると思います。実際にそうするかどうかは別としても、それを交渉材料として経営改革実行への圧力とすることは出来ます。

 

「年収960万円」「都バスで出勤」 西松社長「倹約動画」アクセス急増

http://www.j-cast.com/2008/12/03031438.html

経営再建中の日本航空(JAL)が、思わぬ形で海外からの注目を集めている。米CNNがJALの西松遙社長兼CEOの「倹約ぶり」を取材、その 様子が放送されて、反響を呼んでいる。レポートでは、西松社長が報酬をパイロット以下にカットしたことや、都営バスで通勤している様子が紹介され、「ユー チューブ」に転載された動画のコメント欄に「米国のCEOはJALを見習うべきだ」との声が相次いでいるのだ。

社員食堂の列に並んで会計し、昼食

CNNが東京発でJALについてのレポートを放送したのは2008年11月。西松社長が都バスで出勤したり、社員食堂の列に並んで会計し、昼食を とったりする様子が映し出されている。さらに、ナレーションでは、人件費削減の取り組みを説明する際に、「07年には、西松社長は自分の年収を9万ドルま で減らした。これは、パイロットの稼ぎよりも少ない額だ」などと紹介。

   これは、JALが07年2月、07年度から4年間の中期経営計画を発表したのと同時に「社長の年収は960万円(08年3月まで)」「社長室 の廃止」「社長は電車通勤」といった取り組みが始まったのを受けてのもの。JAL広報部によると、スケジュール上無理がある時や来客時以外は、原則「電車 通勤と社食での昼食」なのだという。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月19日 (土)

亀井静香金融相のモラトリアム発言はただの人気取りに見える

 鳩山内閣で新郵政・金融相になった亀井静香大臣の発言が、金融市場にちょっとした衝撃を与えています。中小企業が銀行による貸し剝がしによって黒字倒産が起きていて、個人もローンに苦しんでいるから、三年くらいの返済猶予をするモラトリアムを実施する、という意向を示しました。

 私はこれには反対です。こんなことをすれば、銀行は貸した金が暫く返ってこないのですから、大きな損害を受ける。そうなると金融機関の収支は悪化し、より保守的な経営方針となるでしょう。そうなれば新規の貸し出しにも慎重にならざるを得ず、銀行本来の役割である融資が少なくなれば、結局困るのは中小企業ということになる。経済全体も停滞し縮小することになる可能性があります。
 また、そもそも本当に中小企業の黒字倒産がそれほどにまで多いのか、モラトリアムを実施して得られる中小企業の利益と、銀行の損害+新規融資を得られない中小企業の損害を比較したのか、一時的とはいえ貸した金を返さなくてもいいという超法規的措置によって日本の経済システムに対する信頼が揺らぐのではないか、そのような疑問がまず浮かぶ。
 実際、この発言を受けて金融機関の株式は下落している。株式が下落すれば時価評価によって企業の資産価値も下落し、またそれにより銀行はコール市場で短期の資金調達に苦労することになるかもしれません。既に経済に対する悪影響が出ています。

 さらに、彼が党首(2009年9月現在)を務める国民新党の2008年の緊急金融安定化対策では

大阪証券取引所における「日経225先物取引」は、投機マネーとして、現下の株乱高下の一因となっており、早急に廃止する。

http://www.kokumin.or.jp/seisaku/20081017.shtml

 としています。先物取引は確かに投機に使われることがありますが、リスクヘッジへの使用や金融商品取引の簡略化といった役割があり、経済に貢献しています。例えばあなたが日経平均が上がるから買いたいと思ったとき、日経225を現物株で売買する手間を考えてみてください。また株価の乱高下を先物の責任だけにするのはおかしな話です。日経225先物がなくなれば、昨年のリーマンショック後の株価暴落は避けられたのでしょうか。私はそうは思えません。先物がなくてもやはり現物は売られていたでしょう。

 このようなことから、亀井静香金融相が、経済や金融のことをよく知っていて、適切な対応が出来る適任者であるとは思えません。むしろ私には、亀井金融相はまともに政治をするというよりも、何か目立つことをしたり受けの良さそうなことを言ったりして目立つことにより、人気を得て政治をしているように見せているだけのような気がするのです。
 1995年、フランスはムルロア環礁で核実験を行いました。そのとき亀井議員はわざわざ現地の近くまで船に乗り繰り出し、反対のパフォーマンスをしていました。しかし日本国内の選挙が終わると、まだ核実験が続く現地をさっさと離れて日本に帰国しました。また、諫早湾干拓事業が無駄であると話題になったとき、彼はやはり現地まで飛び、繰り返しテレビに大きく写っていました。というよりもテレビによく映ることだけを意識しているように思えました。
 私は、彼が核実験に反対したことや干拓事業に反対したことを責めてはいません。核実験反対は被爆国の日本人として当然のことです。米余りの日本でさらに農地を増やす意味のない干拓事業に反対するのもいいことだと思います。しかし私には、亀井議員は人気取りになること、選挙の票につながることを何よりも優先しているだけの役者というかパフォーマーのように思えて仕方がない。中小企業の支払い猶予をすれば、弱い立場の人に優しいというイメージを作れる。日経225先物が株価の暴落の原因だと決め付けて廃止を唱えれば、経済への不安を持つ人々から支持を得られる。核実験反対・公共事業反対をアピールするのも、国民の味方であるような印象をつけられる。実際に亀井議員は昔から核には反対の立場を取っていたようです。しかし本当に優先しているのは良い政策を通すことではなく、国民に自分を印象づけることであったり良い評価を得ることであるような感じをどうしても受けてしまいます。

海外勢が「亀井発言」嫌気、閣内の影響力は限定的の見方も

9月17日19時34分配信 ロイター

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090917-00000557-reu-bus_all

[東京 17日 ロイター] 亀井静香郵政・金融担当相の発言が金融市場に波紋を広げている。17日の東京株式市場では、中小企業による借入金や個人の住宅ローンなど銀行への返済にモラトリアムを設けるとのコメントが海外勢に嫌気され、金融株が売られた。
 市場関係者は金融行政の運営に対して懸念を強めている。ただ、先の総選挙で300議席超を獲得した民主党主体の政権にあって、少数政党の国民新党の代表として影響力は限定的との指摘もある。
 17日の東京株式市場は、みずほフィナンシャルグループ<8411.T>、三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>、三菱UFJフィナンシャ ル・グループ<8306.T>など大手銀行株が続落。中でもみずほの下げが目立った。大手証券の株式トレーダーは、前場では米系投資家が売り、後場に入っ てからはアジア勢が追随し、金融株の下げ幅が拡大したという。
 亀井担当相は就任後の記者会見で、中小零細の企業・商店が日本の経済の基になっており「貸しはがしによって黒字倒産がドンドン起きている」のが実態と指 摘。個人も住宅ローンの返済で苦労しているとして「3年ぐらいは借入金の返済を猶予する措置をとるべきだと考えている」と語った。
 ただ、具体的な制度の詳細は「まだきちんと決めているわけではない」としつつ、郵政民営化凍結法案と合わせて、モラトリアムを法案として整備し、10月に召集予定の臨時国会に法案を提出するとの考えを示した。
 日本全国に新幹線を建設する――。1993年8月に発足した細川政権が整備新幹線の凍結を決めていたが、94年に政権を奪還した自民・社会・さきがけの 村山内閣で運輸相に就任した亀井氏は、初閣議の後の記者会見でいきなり凍結解除を打ち出した。亀井担当相の豪腕ぶりが分かるが、その当時は自民党が第1党 として強力な政権基盤が背景にあった。 
 8月30日に実施された総選挙に向けて策定された国民新党のマニフェストは、第1章の「国家の姿」のなかで「郵政民営化を見直すことが日本のやさしい社 会を取り戻すことにつながる」とし、7項目の政策提言のうち、冒頭が「郵政民営化・4分社化を抜本的に直す」となっている。
 欧州系証券のシニアストラテジストは、郵政民営化の巻き戻しについて海外からみれば「3公社5現業」という非効率な運営がイメージされるので政権にはネ ガティブなイメージを与えると指摘する。その上で鳩山政権が「人為的に誤った政策運営をするとの懸念を持たれる恐れがある」との見方を示す。
 同時に「亀井氏の大臣就任は小泉純一郎元首相への恨みを抱いてきた亀井氏へのはなむけの人事だ」と指摘する。というのは「今や大政党となった民主党主体 の政権内で、議席が過半数に届かない参院での国会対策としての連携であって、来年の参院選で民主党が過半数を獲得すれば、亀井氏は自然と不要になる」と説明する。
 先のシニアストラテジストは、衆院で民主党が結成した会派は311議席なのに対し、国民新党は3議席に過ぎず「最終的にバランスのとれた政策が期待できる」とし、亀井氏の影響力は限定的との見方を示す。
 ただ、金融担当相は、メガバンクをはじめ国内で営業する銀行、証券を監督する巨大な権限を持つ。亀井担当相の発言で早くも大揺れの金融界は、強い風圧にさらされることになった。
 (ロイター日本語ニュース 吉池 威記者)

| | コメント (1) | トラックバック (3)

2009年9月15日 (火)

使われていない高速道路は有効使用するべき

 民主党の掲げる高速道路の無料化ですが、まず北海道と九州から始められるようです。

 都市圏と異なり、地方には作ってはみたもののあまり交通量の多くない高速道路があります。昔雑誌である記事を読んだのですが、北海道には国道に沿って作られた高速道路があり、もともと通行料の少ない無料の国道を走れば、高速道路を使用しなくてもあまり目的地への到着時間の差はないというものでした。わざわざ通行料を払って高速道路に乗らなくてもいいわけです。当然高速道路を使用する車は殆どありません。そしてそのような場所に巨額の費用をかけて高速道路を建設して、それが無駄になっていることを批判していました。
 都市圏の高速道路はかなり通行料が多く、渋滞も頻繁に起きています。ここを無料にするとさらに渋滞が発生するというのは、ありうる仮説です。もっとも高速道路が渋滞することが時間と共に知られると、一般道に車が流れて分散されるのでそれほど渋滞が激しくはならないという意見もある。また渋滞の最大の原因である料金所を撤去すれば、渋滞は著しく減るという意見もあるので、これもやってみなければわかりません。
 しかしはっきりと言えるのは、通行料の少ない高速道路は無料化によってその地方に貢献出来るだろうということです。何故このような通行量の少ない高速道路を巨費を投じて作ったのかという批判をするのは簡単ですが、もう完成しているものは今更どうしようもありません。このような地方の高速道路は、もともとその許容量以下の通行量しかないのですから、無料化してそれを最大限に使用してやったほうがいい。九州と北海道に限ったことではなく、通行量の少ない高速道路は他にも多く存在する。既にあるものは最大限使用しないと、逆に損です。


高速無料化 まず北海道・九州で 来年度、ダメージ最小限と判断

9月15日7時56分配信 産経新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090915-00000060-san-pol

 民主党は、衆院選マニフェスト(政権公約)で明記した「高速道路の無料化」を、北海道と九州で来年度から先行実施する方針を固めた。複数の関係筋が14 日、明らかにした。利用状況や経済効果をにらみながら無料化路線を段階的に拡大していく考えだ。ただ、これまでの道路建設に伴う約30兆円の有利子負債や 道路の維持管理コストをどう捻出(ねんしゅつ)するかはいまだに示されていない。民主党の鳩山由紀夫代表が掲げる「温室効果ガス25%削減」方針にも矛盾 するとの指摘もある。

                   ◇

 無料化を先行実施するのは、供用されている高速道路約7678キロのうち、北海道エリアの581キロ、九州エリアの794キロ。東名高速など大都市圏をつなぐ主要路線と比べると、交通量が少ない路線だ。

 高速道路を無料化すれば、交通渋滞、排ガスによる環境悪化、料金所廃止による雇用問題、他の交通機関への影響-など数々の問題が起きるといわれる。

 このため、民主党では、交通量が少なく、限定された地域で先行実施すれば、無料化に伴う悪影響を最小限にとどめることができる上、対策を講じやすいと判 断した。加えて地域経済に与える効果などを把握でき、このデータを基に複合的な地域活性化策を策定できるメリットもある。

 民主党は、マニフェスト工程表で、平成24年度には首都高速、阪神高速を除くすべての高速道路を「原則無料開放」する方針を示した。これに伴い、民主党 は23年度の通常国会で、高速道路を保有する独立行政法人「日本高速道路保有・債務返済機構」を国有化するため法改正する方針。無料化後の高速道路は一般 国道の「自動車専用道路」とする方向で検討している。

 民主党は経済効果を3年間で2兆円、国内総生産(GDP)を0・41%押し上げると試算している。国交省も20年、首都高速と阪神高速を除く無料化による経済効果を2兆7千億円とする試算をまとめた。

 一方、国有化すれば、返済機構が抱える約30兆円の有利子負債は国の債務として計上され、道路の維持管理費や新規建設費は税金で負担することになる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月11日 (金)

高速道路無料化論争

 民主党の公約の一つである高速道路の無料化ですが、賛否両論あるようです。無料化によって、道路の建設・維持に関わる財源をどうするのか、道路公団の借金をどう返済するのか、渋滞が増えるだけではないのか、使用者負担の原則に沿っているのか、環境の悪化につながるのではないか、その他いろいろな疑問が提示されています。
 しかし高速道路は完成して30年後に無料化するといって建設しておきながら、その約束が反故にされています。また高速道路ではないですが、本来道路建設等に使われるべき自動車にかかわる税金(ガソリンにかかる揮発油税、自動車重量税、自動車取得税)が二重取りになっていたり、それがさらに一般財源化されるなど、自動車に関するお金の流れが政策として筋の通っていない部分があり、どうも道路行政全体に違和感を感じてしまう。
 例え約束違反や税金の二重取りや使用者負担の原則に反することになっても、それで国が良くなるのならばまだ納得も出来る。しかしそうであるかどうか、私個人はまだその詳細について詳しく検討していないので、はっきりと結論が出ていません。そうなると今の時点で感情的には、約束違反や二重取りといった今まで当たり前のようにやってこられた、ある意味で国民を馬鹿にしているお金の流れや政策に反感を覚えてしまいます。他に費用がいるのならば、政府は新たに財源を作ってそれに当てるのが筋であって、約束を反故にして勝手にお金の流れを変えるのはおかしいだろうと思うのです。自民党の独裁であったがゆえに、このような無茶ぶりがまかり通っていた部分は否定できないでしょうし、自民独裁が続いていたら見直し論など出てこなかったのではないかと思います。
 もちろん、高速道路の無料化には、批判だけでなく想定される優位点がいくつもある。高速道路に車を誘導することにより一般道路の渋滞が少なくなる、高速道路の渋滞の最大の原因である料金所を廃止することにより、高速道路の渋滞も少なくなる、建設しても高い通行料金ゆえに使われない地方の高速道路が有効利用される、都市間の交通にかかる金銭的・時間的余裕が生まれ、物流も盛んになり、ドイツやアメリカでそうなったように経済の活性化が生じ、それにより税収も増える、といったものです。

 どちらがいいのかはまだ誰にもわかりません。まして私は詳しく調べてもいません。ただし上記理由によって感情的には無料化賛成です。しかしこの問題は単に高速道路としての問題だけでなく、経済効果・財政問題・社会問題・政治問題を総合的に見て判断する必要があります。とりあえず民主党の高速道路無料化を引っ張っているらしい山崎養世氏の主張と、それに反論している道路公団民営化を手がけた猪瀬直樹氏の主張のウエブサイトを紹介してみます。

山崎養世氏
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2009/08/post_351.html

日経ビジネスにも高速道路問題を何度も寄稿しています。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20071009/137073/

猪瀬直樹氏
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090825/176220/?P=1

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年8月31日 (月)

二大政党時代の到来か

 480議席中308議席獲得と民主党の圧勝と自民党の惨敗で終わった昨日の選挙ですが、ある意味では事前の調査結果に基づく予想通りでした。自民党は新生党などの連立政権に政権を明け渡したことはありますが、第一党から滑り落ちたのは結成以来初めてだそうです。衆議院だけとはいえ、民主党は一党で政権を担えるだけの十分な議席数を確保しました。

 長い間第二政党であったことが多い社会党の村山さんが首相になった94年には、それまで主張してきた最初から実現不可能な理想論と、政権奪取後に行った現実路線の実際の政策があまりに異なったため、国民からの信用を著しく落として衰弱していきました。自衛隊廃止からいきなり自衛隊や日米安保容認といったことです。では民主党はどうでしょうか。ガソリン税廃止、高速無料化、子供のいる家庭への補助などを実行するのに必要な財源を本当に確保できるのかという疑問の声が選挙前から上がっています。また国防や日米の軍事的協力関係に関しても、少々理想論に走った政策を打ち出しています。
 もっともインド洋の補給打ち切りといった民主党の打ち出した日米の軍事的協力の方針変更は、自民党との違いを出すために無理矢理作ったと思われる部分があるように見えます。恐らく民主党はこの点に関して、政権奪取後はより現実路線に沿った政策をとってくるだろう。財源の問題は今後の状況を見守りたいが、あまりに実現不可能なことばかりを主張してこないと思いたい。

 まだ政権運営をしたことがない民主党の手腕を今判定することは出来ないが、私が期待することは、自民党がいなくても民主党が日本を運営していくだけの現実路線をとっていくことである。結局のところ、戦後の日本は自民党以外に政権を担えるだけの政党が存在しなかった。自民党に問題があることがわかっている人や好きではない人でさえも、現実路線を考えると自民党を支持せざるえないというのが実態であった。そのために事実上の自民党一党独裁による腐敗や権力争いによる停滞を許してしまった。
 もし今後の民主党が日本を現実的に運営する力を示したならばどうであろうか。自民党が国や国民のためではない動きを示したならば、国民は次の選挙で民主党に投票し政権交代が起きることを意味する。その逆もまたしかりである。そうなると二党の間に競争原理が働き、国民から見て他の政党の選択肢がないことによる、自民党一党独裁による自分勝手な動きが制約されることになる。昨日の選挙で、戦後日本の政治の枠組みが初めて変わった可能性が出てきた。長く続いた一党独裁の時代から二大政党の時代の誕生、かもしれない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月28日 (金)

ジーンズの価格競争

 イオンが今月発売した880円のジーンズの売上が非常に好調だそうです。8月26日の日経の記事によると、昨年の販売額の4割を既に販売してしまい、一部で品不足が出ているとのことでした。西友、ユニクロなども低価格のジーンズを手がけていて、どこも好調だと報道がされている中、価格競争が激化しているようです。イオンのジーンズは業界最安値に加え、股下も含めた多くのサイズを揃えて裾上げの手間を省いたお手軽なところが評価されているとされています。
 近くのジャスコに商品を見に行ってきました。なるほど、一部サイズで品切れが出ていると表示が売り場でされていました。本当に人気のようです。実物を見た私個人の感想ですが、生地も薄いしパッチと呼ばれる右後ろポケット上部につくブランド名などを入れる皮などで出来たラベルもない。安い価格で頑張っているのはわかるけどやはり値段相応のもので、あまり欲しいと思わないというのが正直なところでした。ユニクロ系の低価格店のジーユーにも行ってみましたが、やはり似たようなものでした。この値段だとこの程度が限界なのでしょう。
 それでもこれらの低価格ジーンズが売れているということは、ブランドや品質以上に価格に敏感な消費者が多いということを示している。実際、ジーンズ以外でもファッションでは価格破壊が進んでいます。かつてはリーバイス・リー・ラングレー・エドウィンといったものから二万円くらいのブランド物などが人気を博しており、ブランド力のないものや明らかな安物では多少負い目を感じる時代もありましたが、ジーンズだけが低価格化の例外ではいられなくなっているのでしょう。私は価格が安くてもこの品質で今のような人気が長続きするかどうかに少々疑問を持っていますが、少なくとも暫くは話題が続くことになるでしょう。またジーンズのブランドや品質にこだわりがない層の需要は今後もつかむと思います。

 そのような中、国内ジーンズ大手のボブソンは売上低迷でジーンズのブランドを手放すことになりました。低価格商品との競争に押されているようです。未だに圧倒的ブランド力を持つリーバイスなども、今後は影響は避けられないでしょう。

 ジーンズの生まれたアメリカでも、リーバイスなどのブランド物のジーンズはまだ人気です。カルバンクライン、ポロといった高めのものから、GAPのようなちょっと低価格ものまで幅広く売れています。また、日本に先駆けて小売業発のプライベートブランドものやノーブランドの低価格ものも広く売られていて、それらはある程度定着しています。
 そのような中、小売業の力は着実に増えていき、メーカーはその力を無視出来なくなりました。結果としてラングレーはディスカウント店のターゲットで15-20ドルくらいの安めの商品を供給しています。これはおそらくディスカウント店用に開発された安めの専用商品だと思われます。ちなみに私も買ってみましたが、特に品質に問題は感じません。さらにリーバイスは、世界最大の小売ウォルマートに、値段と品質を落とした専用商品を開発・供給しています。これらの行為によって自社の安い商品によって本来の主力商品の売上が減少することになりますが、このまま座視して他のメーカーにシェアを奪われるよりもましと考えた結果といえます。

 価格が1万円を超えるハイエンドの高級ジーンズは、ファッションに興味がある層と富裕層からの支持を得られます。しかしアメリカの先例を見る限り、日本においてもハイエンド品と2-3000円以下のローエンド品との中間にあるジーンズは、今後はさらなる価格競争や売上減は覚悟しなければならない。1000円程度のジーンズが今後も好調な売上を定着させられるかどうかはわかりませんが、2-3000円程度のジーンズならば品質もデザインもそれなりにいいものがあります。PB以外でも、ファッションブランドでもこの分野に参入が増えています。かつてのジーンズの有力ブランドメーカーがそれらと競争するのは厳しいことになるでしょう。日本でもそれらのメーカーがヨーカドーやイオンに対して供給する、安めの専用商品が出現するかもしれません。



ユニクロより110円安い!!イオン880円ジーンズ

http://news.nifty.com/cs/headline/detail/fuji-320090813204/1.htm

2009年8月13日(木)17時0分配信 夕刊フジ

ジーンズの安売り戦争が激化してきた。スーパー大手のイオンが14日以降、880円(税込み)の独自ブランドのジーンズを全国のグループ店舗で発売するの だ。中国の工場で生産し、製造コストを削減。シンプルなデザインが特徴という。西友もこの秋に1000円を切るジーンズの販売を計画しており、価格破壊が 一気に進みそうな感じだ。

 880円という価格設定は、カジュアル衣料店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが、傘下の「ジーユー」で展開する990円ジーンズを110円も下回っている。イオンは「業界最安値の独自ブランドジーンズ」と強調、節約志向の消費者の心をつかむ考えだ。

 ジーンズは、イオンの独自ブランド「トップバリュ」として販売。紳士用、婦人用ともに紺と青の2色で、主なターゲットは30~50代。9月からの半年間で計100万本の販売を目指す。

 紳士用はウエストを73~97センチまで9サイズとし、それぞれに股下の長さを66~85センチまで7サイズを設定。計63種類のサイズ展開ですそ直しの費用や手間を省く。婦人用は生地の伸縮性を重視し、足が長く見えるブーツカット仕立て。

 イオンは、ファーストリテイリングの手法を意識し、商品企画から製造販売までを手掛ける「製造小売り」に力を入れる。イオントップバリュの堀井健治取締役は「切磋琢磨しながら、お客さまに喜んでもらえる商品を作りたい」と説明している。

 25日からは、880円の紳士用ドレスシャツとネクタイも発売する。

 格安ジーンズをめぐっては、西友もこの秋、1000円を切るジーンズを投入する予定。親会社である米ウォルマート・ストアーズの生産拠点を活用し、提供 する。「西友では3月に投入した1470円のジーンズの売れ行きが好調」(証券アナリスト)といい、さらなる低価格化で消費者の心をつかみたい考えだ。

 格安ジーンズの火付け役となったファーストリテイリングでは、高機能商品の開発に力を入れており、今冬は高機能下着が大ヒットした。これに追随するように、イオンや西友もこの夏、吸汗・放熱性に優れた「涼しい高機能下着」を相次いで発売している。

 下着といい、ジーンズといい、ファーストリテイリングの商品展開をスーパー大手がマネをするという動きがこのところ目立っている。


ボブソン:ジーンズ大手がブランド譲渡

http://mainichi.jp/select/biz/news/20090808k0000m020143000c.html

 ジーンズ大手のボブソン(岡山市)が「BOBSON」ブランド名の製造・販売事業を譲渡することが7日、分かった。譲渡先は、企業再建などを手が ける投資会社マイルストーンターンアラウンドマネジメント(東京都)が9月に設立する新会社で、社名も「ボブソン」となる予定。現ボブソンは社名を変更す る。

 「ボブソン」ブランドのジーンズは1971年に誕生。約40年親しまれてきたが、ユニクロなどの低価格帯ジーンズに押されて苦戦し低迷していた。同社は今後、子供服ブランド「オシュコシュ ビゴッシュ」のライセンス生産、販売を中心に事業を継続する。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月 5日 (水)

自動車販売奨励金の効果

 ドイツで始まった自動車買い替え補助金が今や世界に広まり、一般の人にもその存在が認識されるにつれて、新車販売が回復しています。景気刺激策でいち早く回復した欧州や中国に加え、アメリカでも新車買い替え補助金の申し込みが殺到、一週間ほどで早くも予算を使い切って追加予算が審議されているようです。日本では当初は静かな滑り出しとなりましたが、現在では消費者の認知度は高いようです。これに合わせて自動車株も回復しており、トヨタやホンダが年初来高値を更新するなど活況です。家電業界も同様で、エコポイント制度によってデジタルテレビなどの販売も好調です。これらの会社も決算を上方修正する会社が相次いでいます。
  このようなばら撒きによる景気刺激策に否定的意見をいう人もいますが、このような政策の実行はいい傾向だと思います。中国では販売が伸び続け、いまや中国市場はアメリカ・日本を抜いて世界最大の自動車市場となりました。今年も前年比二桁増になる可能性が高そうです。元々経済成長率の高かったアジアは他でも回復が見られます。日本でも先月7月の軽自動車を除く新車販売は前年同月比でわずか0.6%減と、ほぼ前年並みに回復しました。北米市場はまだまだ対前年同期比でマイナスですが、最悪期は脱したのかもしれません。

 とはいうものの、これは本格的な回復とまでは言えません。昨年秋からの極端な販売不振と在庫過剰によって、自動車産業株は相当に売り込まれていました。例えば日産やマツダは経営不振によって2000年前後につけた株価の下値をさらに更新するほどに下落していましたので、現在の株価はそのような行き過ぎた反応が元に戻りつつあるに過ぎません。また現在の自動車販売の回復は各国の景気刺激策に大きく依存した回復ですので、それらの政策の期限が過ぎてしまった後にはまた販売が急減する可能性があり、来年以降の販売は未知数といえます。

 一部にはこのような販売奨励策は需要の先食いをしただけで、未来の販売分を今販売しただけに過ぎないという意見を時々見かけます。例えばヤフーの産経新聞の記事で

だが、先行きへの不安材料も依然として多い。足元の販売回復は、日米ともに政府の支援頼みというのが実情だ。「いずれ買い替えよう」と考えていた消費者が、前倒しで購入しているだけという可能性が高く、こうした需要が一巡した後も、回復基調を維持できる保証はない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090812-00000531-san-bus_all

 とあります。このような意見によれば、数ヶ月先や来年に車を買おうという需要があったのを政府の補助政策によって今実現させているだけであり、そのために後々の車を買いたい人の数が減少してしまっているので、将来の販売が減少するということになります。しかしこれは必ずしも正しくないと思います。何故ならば、人々は車を買いたいのに昨今の景気悪化によって買い替えをためらっていただけです。「買い換えたいけど、不景気だからもう少し乗り続けて節約しながら様子を見よう」としていたのです。新車の販売台数が極端に減少していたのを、これらの刺激策によって、通常の景気ならばありえたであろう需要数に近づけただけということに過ぎません。将来への不安や収入減少によって我慢を強いられていた、本来存在する潜在需要が、刺激策によって表に出てきたのです。これは昨年の株価暴落後の自動車販売台数の急減を見れば明らかでしょう。需要の「先食い」ではなく、むしろ需要の「先送り」状態を通常の状態に戻したと言えるのではないでしょうか。消費税が3%から5%に上がる前に起きた駆け込み需要とは根本的に違うのです。
 もしそうであるならば、その後の需要は今先食いしたかどうかではなくて、景気の回復具合に大きく依存すると思います。これらの刺激策によって産業の利益が回復し、それらの産業の投資が増え、一般市民の所得が増えて先行き不安感が解消されるならば、消費もまた上向き経済は回復に向かうでしょう。政府は多大な予算を景気刺激策につぎ込みましたが、経済が回復するならば将来の税収増が期待できます。何もせずに企業の赤字転落を傍観するならば、企業は投資を控え一般市民は消費をしなくなります。そうするとさらに企業の収益は悪化し一般市民の所得は減少し、投資や消費もまた減少するという負のスパイラルになります。当然そうなれば政府の歳入も減少します。ばら撒きや需要の先食いに過ぎないという批判があっても、今は財政悪化を恐れず刺激策をとるべき時期であると思います。

7月の乗用車販売、0.6%減に回復 ほぼ前年並みに

http://markets.nikkei.co.jp/kokunai/hotnews.aspx?id=AS1C0300E%2003082009

                

 国内の乗用車販売が回復してき た。自動車業界団体が3日発表した7月の新車総販売台数(軽自動車含む)は前年同月比5.2%減の43万962台となり、減少幅が5月の19%、6月の 14.5%に比べ大幅に縮小。総販売台数の6割強を占める乗用車(排気量660cc超)に限ると、0.6%減の26万6173台とほぼ前年並みに戻った。 エコカー購入時の減税に加え、6月に導入された補助金制度が奏功した。

 乗用車のうち車のサイズや排気量が比較的大きい普通乗用車の7月の販売台数は11万8539台。前年同月比0.5%増となり、1年ぶりにプラスに転じた。この分類に入るトヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」がけん引した。                 

  [8月4日/日本経済新聞 朝刊]



自動車大手8社のうち5社で業績改善

8月4日20時30分配信 産経新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090804-00000630-san-bus_all

 自動車大手8社の平成21年4~6月期連結決算が4日、出そろった。世界的な販売低迷と円高の影響で5社が営業赤字となったが、エコカー減税“特需”や 中国での販売増などで、前期の1~3月期に比べホンダと日産自動車が黒字転換し、トヨタなど3社も赤字幅が縮小し5社で業績が改善した。ただ、先行きに は、米国市場の動向に加え、国内でも需要の先食いによる反動減の懸念があり、ホンダ、トヨタを除く6社が22年3月期の通期予想を据え置き、慎重な見方を 崩していない。

 8社合計の営業損益は通算で2430億円の赤字だったが、7社が赤字だった1~3月期の1兆2979億円から5分の1以下に縮小しており、業績の底入れが鮮明になった。

 中でも、日産は116億円の営業黒字を確保し前期の2303億円の赤字から一気に挽回(ばんかい)した。3月末に在庫調整を終え、6月から追浜工場(神奈川県横須賀市)で休日操業を始めるなど、生産の回復は鮮明だ。

 ホンダはハイブリッド車(HV)「インサイト」の販売が好調で、近藤広一副社長は「ほかの車種にも波及効果を与えている」と手応え十分だ。前期に唯一の 営業黒字のスズキは、ドル箱のインドが好調で前期より減ったが、黒字を堅持。トヨタ、マツダ、いすゞ自動車は固定費の削減などで赤字幅を縮小させた。三菱 自動車と富士重工業の2社は国内外の販売減を補えず、赤字幅が拡大した。

 一方、先行きには「底を打ったと言いたいが、不透明感が残る」(トヨタ幹部)と慎重な声が多い。国内のエコカー減税や今年度で終わる買い換え補助をはじ め、各国の支援策による販売増が一時的に終わり、「反動が業績に悪影響を与えかねない」(マツダの尾崎清専務)と懸念する。

 中国やインドなど新興国はいち早く回復しているが、各社とも依存度がなお高い米国市場は底入れの兆しが出ているものの、依然として2けたのマイナスだ。「本格的な黒字転換は北米が回復してから」(ホンダの近藤副社長)というのが実情だ。

米新車販売台数7月 新車助成制度の効果でフォードは増加

8月4日9時24分配信 産経新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090804-00000516-san-bus_all

 【ワシントン=渡辺浩生】米調査会社オートデータが3日発表した7月の米新車販売台数は前年同月比12・2%減の99万7824台となった。21カ月連 続で前年実績を下回ったが、減少率は6月の27・7%から縮小。前月比では16%増だった。7月下旬に導入された新車買い替え助成制度の恩恵が大きく、 フォード・モーターがプラスに転じたほか、他メーカーも軒並み下げ幅を縮小。年換算でも昨年12月以来7カ月ぶりに1000万台の大台を回復した。

 ビッグスリー(米自動車3大メーカー)で唯一公的支援を受けていないフォード・モーターは1・6%増と2007年11月以来1年8カ月ぶりにプラス転 換。米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を終えたゼネラル・モーターズ(GM)は6月の33・2%から18・9%減へ、クライスラーも 41・9%減か9・4%減とそれぞれ大幅に縮小した。

 トヨタ自動車も新型ハイブリッド車プリウスの好調な販売などを受けて11・4%減と6月の31・9%から縮小。減少率が20%を下回ったのは昨年8月以 来11カ月ぶり。ホンダ自動車も29・5%から17・3%に縮小。ただし、日産自動車は23・1%から24・6%減とわずかだが下げ幅が広がった。一方、 韓国の現代自動車は24・2%減から11・9%増と大躍進した。

 同助成制度は、燃費が向上する新車に買い替える消費者に最大4500ドルを支援するもので7月24日にスタート。各メーカーとも「予想以上に販売が好転した」(トヨタ)と同制度の効果を強調している。10億ドルの予算はすでに枯渇したため、議会が増額を検討している。

エコカー購入支援、20億ドル上乗せ 米下院可決

2009.8.1 09:25

このニュースのトピックスオバマ米大統領

http://www.sankei.jp.msn.com/economy/business/090801/biz0908010926004-n1.htm

 米下院 は7月31日、新車販売のてこ入れを狙った総額10億ドル(約950億円)の低燃費車の購入支援制度に、20億ドルを上乗せする法案を可決した。燃費効率 の良い新車に買い替える消費者に最大4500ドル(約42万6000円)を支援する制度が好評で、開始から約1週間で資金が枯渇する恐れが強まったため。

 米メディアによると、上院は来週、審議を始める方針。オバマ政権も法案を支持しているが、上院の一部には慎重論も根強いという。

 この制度は7月下旬に開始。燃費の悪い乗用車やトラックを下取りに出して金券を受け取り、低燃費車の購入代金に充当できる。(共同)


| | コメント (0) | トラックバック (2)

2009年7月22日 (水)

イラン選挙の抗議デモ

 六月に行われたイランの選挙後の混乱がまだ続いています。アハマディネジャド大統領の保守派勝利で終わったかに見えた選挙結果に対し、改革派が不正があったとしてムサビ元首相等による大規模に抗議デモを行っているものです。

 イランは親米派だったパーレビー国王が1979年のイラン革命で追われ、ホメイニ師を中心とするガチガチのシーア派イスラム主義保守派による政治体制が長らく続きました。だがその反欧米・イスラム至上主義の体制は国際社会における軋轢を招き、豊富な石油資源を持つにもかかわらず経済発展を遅らせることになりました。また他のイスラム勢力とも対立し、他のアラブ諸国の支援を受けるイラクと長期間にわたる戦争をすることになりました。
 当然イランの経済は停滞を続け、またそのような体制が諸外国からしばしば批判されることにもなっていたのですが、1997年に改革・国際協調・穏健路線のハタミ大統領が当選しました。これで国際社会での関係改善と経済発展が期待されました。しかし結局は保守勢力の抵抗が強く、改革は十分に進むことはありませんでした。
 そして改革の停滞に失望した空気が漂う中で、再びイスラム至上主義・保守派のアフマディネジャド大統領が当選します。彼は原子力発電所建設を促進するなどして外交上の緊張を高めることになります。結局イランは現実的に自国の経済を発展させるよりも、イスラム思想を追求する保守的なイスラム勢力が強い勢力を保っている国なのです。今年2009年の選挙でもアフマディネジャド大統領の再選となりました。石油の高騰が再び始まる中、世界有数の産油国がまた混乱を招きかねない強硬政権の継続となりました。

 しかしそう思っていたら、今度の選挙後のこの混乱です。大統領候補だったムサビ元首相が選挙に不正があったと抗議して大規模なデモが続き、いまだにその結果が出ていません。
 私には選挙に不正があったかどうかなどわかりませんし、あったとしても選挙の結果が覆るのは難しいのではないかと思っています。しかし強硬であったアフマディネジャド大統領に、改革を求め抗議する人々がこれほど多いというのは意外でした。イスラムの思想を掲げることを最優先するよりも、現実的な発展を望んでいる国民がこれほどにまで多いということなのです。特にこのような人々は若い人や女性に多いと言われています。
 そうなると、たとえ今年ではなくても、いずれはイランは保守から徐々に現実的な政策をとる国になってくる可能性があります。都合のいいことにイランは民主主義国家であり、選挙に不正があったり保守派の抵抗があったとしても、国民の意思が政治に反映されやすい国です。そしてそれは日本や世界全体にとって、巨大な産油地域の安定といういい結果をもたらしてくれる。そんな日の到来が思ったよりも近いのかもしれないと感じさせてくれるニュースでした。


<イラン>改革派が政権への国民投票提案 最高指導者は反発

7月21日19時46分配信 毎日新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090721-00000073-mai-int

 【テヘラン春日孝之】イラン大統領選の開票不正疑惑に伴う混乱を巡り、改革派ハタミ前大統領は19日、保守強硬派のアフマディネジャド政権の正統性を問 う国民投票を実施すべきだと表明し、これに対して最高指導者ハメネイ師は20日、「反国家的な発言だ」と認めない考えを示した。保守強硬派と改革派の対立 は先鋭化し、8月初旬に予定される大統領2期目の就任式を前に、緊張が再び高まる可能性が出てきた。

 イラン労働通信によると、ハタミ氏は抗議行動で逮捕された改革派要人らの家族との会合で「唯一の解決策は国民投票しかない」と述べた。改革派は当初再選挙の実施を訴えていたが、初めて「代替策」を提案した。

 ハタミ氏は「国民の多数派が現状(大統領再選)を受け入れるなら、私たちもその結果を受け入れる」とも述べ、国民投票が国家的危機を打開する唯一の道だと繰り返した。

 国民投票の信頼性を確保するため中立機関が監督すべきだとも主張し、選挙の最終承認機関である護憲評議会ではなく、最高評議会にその役割を求めた。

 護憲評議会は保守強硬派の牙城だが、最高評議会は、今回選挙で改革派ムサビ元首相を支援したとされる保守穏健派のラフサンジャニ元大統領が議長を務めている。

 一方、国営ラジオによると、ハメネイ師は演説で「(イランの不安定化を狙う)敵の術中にはまらないよう発言は慎重にすべきだ。敵を助けるような発言や行動は反国家的であり、社会を混乱に追いやる者は誰であれ国家にとって憎むべき存在だ」と警告した。

 これに対しムサビ氏は、ハメネイ師が「外国勢力が背後で混乱をあおっている」と主張していることを念頭に「(私たちが)外国と共謀し、国益を売り渡しているなどとだれが信じるのか。国民への侮辱ではない」と対決姿勢を崩していない。

 ある改革派評論家はハタミ氏の提案について「大統領就任式まで時間は少ない。ハメネイ師が国民投票を受け入れるか否か、イスラム体制に復元力が残っているかを占う最後の試問だ」と述べた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年6月16日 (火)

遂にアメリカでも車買い替え補助金か

 まず欧州で導入されて大きな効果をあげ、日本でも徐々に認識されて効果をあげつつある車の買い替え補助金ですが、遂にアメリカでも検討され始めたようです。

 もっとも法案自体はまだ検討段階ですので、これが通過して実施されるかどうかはまだわかりません。また内容は今のところ燃費が28マイル/1ガロンの新車に買い替えで1000ドル、32マイル/1ガロンで2500ドルの補助金が出るというものです。1マイルは約1.6km, 1ガロンは約3.8リットルですので、だいたい12km/1リッターの燃費の車を買えば補助金が出ることになり、大型のSUVやピックアップを除く多くの日本車はこれに該当するでしょう。
 この記事によると、9年落ちや13年落ちの古い車を買い替える必要は無くただ燃費のいい車を買えばいいのですから、欧州や日本よりも条件が緩いのも魅力です。去年からアメリカの自動車販売は非常に悪いので、補助金が出るとなれば買い替えする人は出てくると思います。
 しかし燃費のよい車は日本や韓国の会社が得意とする分野なので、アメリカの会社に対する効果は思ったほど大きくないかもしれません。またアメリカでは2004年からの原油高の時点で多くの燃費の悪い車が中古車市場に流れ、中古車価格が落ちました。それに2008年の金融危機によりローンの支払いができなくなった人が車を手放し、大量の車が中古車市場に流れ込んでこの流れを加速しました。このうえ新車価格が実質的に下がると、中古車市場の価格がさらに崩壊しかねません。それは自動車販売業者を圧迫するだけでなく、自動車会社のブランド価値を落として将来の収益性を下げます。特に破綻が続いてブランド価値の落ちているアメリカの自動車会社は厳しいでしょう。結局法案通過したときに一番喜ぶのは日本と韓国の会社かもしれません。

H.R. 1808, The Clean Car Rebate Act of 2009

H.R. 1808 would amend the Internal Revenue Code of 1986 to provide for consumer rebates for purchases of certain new passenger motor vehicles.

http://www.washingtonwatch.com/bills/show/111_HR_1808.html

Detailed Summary

Clean Car Rebate Act of 2009 - Amends the Internal Revenue Code to allow a refundable tax credit for the purchase of new fuel-efficient passenger motor vehicles. Allows a $1,000 tax credit for vehicles purchased in 2009 that achieve a mile per gallon (mpg) rating of 28, and increases such credit amount to $2,500 for an mpg rating of more than 32. Increases required mpg ratings in 2010 and directs the Secretary of the Treasury, in consultation with the Administrator of the Environmental Protection Agency (EPA), to prescribe mpg ratings for such credit for taxable years beginning after 2010 to achieve specified fuel economy goals by 2015. Terminates such credit after December 31, 2014.

Directs the Secretary to establish a program for making advance payments of credit amounts to individuals who purchase vehicles that meet the mpg ratings established by this Act.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年6月13日 (土)

UAWの負の貢献

 クライスラーに続いてやはりGMも破綻してしまいましたが、その破綻に大きな貢献をしたと評判なのがUAW - 全米自動車労働組合(United Auto Workers)です。自動車産業に昔から興味のあった私は、学部生だったころからUAWについて少々興味をもって調べてました。その記憶をたどりながらUAWのアメリカ自動車産業に果たした貢献について書いてみます。

 かつてあるUAWの幹部が言ったそうです。組合にとって労働者の雇い主である自動車会社とは戦うべき敵であり、協調するなど考えもしなかったと。アメリカでは自動車会社は不況時に簡単に従業員のレイオフ(一時解雇)をします。仕事がないのに従業員を雇うのは、経費を無駄に払い会社の利益を減らすからです。そのようなレイオフをすることは会社に認められた権利であり、会社の利益のために従業員の生活や立場を考えている場合ではないからです。
 当然のことながら従業員の立場は正社員と言えども不安定であるので、組合を組織して立場を強化します。組合はストライキをちらつかせながら或いは実行しながら、会社側から昇給や年金や医療費を出来るだけ取ろうとします。組合の代表は会社側からいくら有利な条件を組合員のためにもぎ取ってくるかによって評価されます。労使関係は常に敵対的であり、利益をいかに自分に有利に分配するかが焦点となります。
 このような組合の姿勢は会社の利益を減少させることになり、それによって会社は将来の成長のための開発といった投資額を減らすだけでなく、生産コストを上昇させ商品の競争力を減らすことになります。組合の敵対的姿勢は、短期的には従業員の条件を良くする事になりましたが、長期的には会社の競争力を弱め、日本の自動車会社のような競合を相手にする力が削減されることになりました。
 日本の自動車産業はまさにその反対です。日本では不況でも会社側は正社員の解雇はしない。不況時の従業員のコストは期間工を雇うことによって調整します。その代わりに労働組合側も会社側に対してあまり敵対的な行動をとったり無茶な要求をしない。それによって会社側は競争力を高めつつ将来の成長に向けての投資を行うことが出来、その競争力上昇や投資による会社の成長に伴い労働者も賃金や労働条件が良くなっていくことを期待出来る。

 アメリカの敵対的労使関係は、会社側による労働者のマネジメントにも大きな負の影響を与えることになりました。組合側は会社側に有利な人事政策がされることを恐れ、会社側に労働者の昇進や配置転換を自由にさせることを認めませんでした。
 それではどのように従業員は昇進していったのか。実は実力主義と言われるアメリカにおいて、完全年功昇給制度が採用されたのです。例えば製造ラインのリーダーが定年で引退したとき、その後を引き継ぐのは残った労働者の中から最も長く雇用されていたものがなります。その人が仕事が出来るかどうか、或いはその地位にふさわしい能力や資質があるかどうかは全く考慮されません。また不況時にレイオフされるのは、最も雇用期間が短かったものからリストアップされることになります。ここでも仕事が出来る人かどうかなどは関係ないのです。
 従業員の昇進や解雇に仕事が出来るかどうかや能力が高いかということが関係ないとなると、当然の帰結として従業員の仕事ぶりに極めて大きな影響を与えます。何せどんなに真面目に働いたとしても、不真面目だけど自分よりも前に会社に入社したものよりも絶対に昇進することが出来ないことが決まっているのですから。これは従業員の動機付けや士気を削ぐ制度です。
 UAWのいるアメリカの自動車工場では、遅刻するもの、酔っ払って仕事をするもの、工場内で喧嘩をするものが続出していたそうです。全て会議室で意思決定をして製造現場を訪問する必要性を感じることなどないスーツ姿の会社のエリートたちが、生産性向上のために導入した最新の製造ラインのロボットたちも、現場では正しく操作されたりメンテナンスされることがなく不良品を作り続けました。自分の製造した車に自分の名前を勝手に掘り込む者、フライドチキンを食べながら車の組み立てを行い食べ残しまで一緒に組み立ててしまう者、ホイールにタイヤを付けるときに他の部品をタイヤの中にいれたまま一緒に付けてしまう者。そのような事例が本やドキュメンタリー番組で紹介されていました。
 このような行為の結果としてアメリカ車の品質は極めて悪く、新車時点で正常とは言えないものが続出したのです。アメリカ車は小型の燃費のいい車を作らなかったことが敗因と言われていますが、もう一つの敗因としてよく言われる品質の面ではこのようなことがあったのです。日本車との競争に勝てなかったのは当然です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年5月30日 (土)

117億円の巨大な国営マンガ喫茶について

 麻生首相が国立メディア芸術総合センター、いわゆるアニメ美術館建設費を計上したことについて、一部で批判が寄せられています。国費で漫画やアニメを保存したり閲覧させたりする施設についての批判です。そういえば大阪府の橋下知事も、府立の児童向け施設の国際児童文学館には漫画ばかりだと批判していました。漫画というものは良くないという世間一般の認識がまだまだ強いようです。文学を大量に保有する図書館が批判されることはまずないのに、漫画ということになると途端に批判されるという傾向が未だにあります。漫画は何故悪いのでしょうか。

 昔、私がまだ小学生とかの子供のころには、漫画は良くないものだとか、漫画しか読まないと馬鹿になると言われていました。当時の私は漫画よりも文章を読むことがずっと多かったのですが、そうかといって漫画が嫌いなわけではありませんでした。それに漫画がそれほど悪いものだと決め付けられるものでもないだろうと、当時から疑問も持っていました。それというのも、歴史や科学といった教育を目的とした漫画もあったし、漫画によって得られる知識や感性といったものもあるだろうと思ったからだし、実際私は漫画からそれらを得たと思っていたからです。知識や感性を得るための媒体が、何も文字ばかりの専門書や純文学で独占されなければならない理由はありません。
 漫画は絵を多用することによって、視覚から多くの情報を読者に瞬時に伝えられるという大きな強みがあります。いわゆる百聞は一見にしかず、というものです。例えば恐竜の一つであるブラキオサウルスを知らない人でも、漫画ならば容易にブラキオサウルスがどのようなものかを映像として理解させることができます。文字だけで特定の形や風景を描写することは簡単ではありませんし、それをいちいちやっていたら文章は非常に愚鈍なものになってしまいます。そうなると重要な部分や本筋がぼやけてしまうでしょう。
 また私は小さいころ、教師から漫画というものは読者に想像力を使用させることがないから良くないということを言われました。漫画は映像をそのまま提供させるために、読者の想像力を掻き立てないというのがその根拠です。しかしこれも間違いです。例えば漫画家は、人の服装や表情一つ一つを意図を持って気を使って描くそうです。その表情からその登場人物の心情を想像し、服装からその人の身分や生活環境を想像することができます。一方的に与えられた映像からは想像力が発達しないというのならば、ピカソやルノワールの絵を見たときでも人は想像力を発揮することは出来ないでしょう。

 もう一つ漫画が批判される理由としては、漫画は良くないという決め付けや先入観があると思います。それには一般的なこととして、かつての漫画というものの質があまり高くなかったというのはあったでしょう。漫画が本格的に定着しだしたのはここ数十年のことであり、一般的なものとしての歴史はまだ長くありません。そのような短い歴史の中で、残念ながら漫画の多くは子供向けのものであったり、ストーリーが稚拙であったりして、文学と比較して一般的に質が高いとは言い難かったというのはあると思います。しかし全てがそうであったとは思いません。例えば数十年前から火の鳥やブラックジャックといった手塚治虫の一部の漫画は極めて質が高かったし、その他にも質の高いものはありました。今や漫画は単なる子供向けのものを遥かに凌駕し、大人が読んでも十分楽しめたり勉強になるものが数多くあります。例えば政治、軍事、経済、法律、医療、社会問題、文化、歴史、生命、人をまじめに扱った漫画が数多く存在します。
 漫画を批判する人の中に、これらの漫画を読んで漫画の質の高さや実態を知っている人がどれだけ存在するでしょうか。一部の質の低い漫画だけを知って、それで漫画の全てを知っているかのように思い込んでいる人ばかりなのではないかと思います。少なくとも私個人の周りではそうでした。漫画を批判する人に、私が考える質の高いいくつかの特定の漫画を読んだことがあるのかと聞けば、読んでいないしどうせくだらないものに決まっていると言うのです。漫画というものの本質を見誤り、自分の思い込みによって漫画は良くないものだと決め付けているのです。
 昔、私は小説の歴史について調べたことがあります。欧州では小説というものは中世の活版印刷の普及と共に人気を得ていったそうです。しかし小説はあくまでも庶民のための娯楽に過ぎないもので、小説を読むことは決して褒められた行為ではなく、貴族や知識層などはそれを馬鹿にしていたということでした。実際、その当時の小説は文学として質の高いものが少なかったのではないかと想像できます。また中国においても、かつては小説は歴史書や思想に比較してくだらないものだとされていたようです。しかし今や小説を馬鹿にする知識層はあまりいません。相変わらずくだらない小説がある一方、質の高いものも数多くあることが広く理解されているからです。例えばノーベル文学賞の受賞は大変な名誉であるとされています。今の漫画という存在は、欧州で小説が普及し始めたときの状況に近いのではないかと思います。

 そんなわけで、私は日本の漫画文化を支持します。幸いなことに、この分野において日本は質・量共に圧倒的な競争力を持っています。この分野を国が支持するのは日本にとって非常に合理的なことです。かつてのアメリカが映画でアメリカの立場を強くしたように、日本も漫画やアニメを世界に先駆けて普及させることは極めて大きな意義があります。今回の国立メディア芸術総合センターがどのようなものなのか、果たしてそれだけの費用に見合うものであるかは私は検討していません。しかし漫画やアニメであるから国が支持するのに反対という考えかたには到底同意できません。積極的に支持し、この分野での競争力をさらに高めるべきです。

 

117億円の「巨大な国営マンガ喫茶」が誕生か

http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090529/trd0905292254011-n1.htm

2009.5.29 22:49

このニュースのトピックス

 マンガやアニメ、ゲームを収集展示する拠点施設の「国立メディア芸術総合センター」。29日、補正予算が成立したこ とで、国立初の「アニメの殿堂」は実現に向かうが、「巨大な国営マンガ喫茶」と揶揄(やゆ)する声もあり、具体的な中身は見えない。日本のアニメやマンガ は「ジャパン・クール」と呼ばれ、世界的にも評価が高い。センターでは、こうした作品のセル画や生原稿などの資料を収集展示。実際にマンガを読んだり、ア ニメを見たりできるようにすることで、外国人観光客にもアピールする。

 文化庁は「新たなコンテンツ産業の発展につながる」と強調。構想では、4~5階建て(延べ床面積約1万平方メートル)で、東京・お台場が有力候補地。運営は民間に委託し、60万人の年間来場者を見込む。21年度の補正予算で事業費117億円を計上した。

  しかし、巨額を投じる割には、具体的な展示内容が見えてこない。これに民主党がかみついた。鳩山由紀夫代表は「巨大な国営マンガ喫茶」と評した。同党が開 いた勉強会でも「本当に計画通りに来場者数になるのか」「展示作品はどのように集めるのか」と批判が噴出。文化庁の担当者が答えに窮する場面も。

 勉強会で意見陳述した漫画家の石坂啓さんも「お上にほめられて喜ぶ漫画家はいない。ものすごくつまらない施設になる」と批判。「私の作品は展示してほしくない」と突き放した。

 文化庁は「予算成立後、できるだけ早く計画を進める」としている。

アニメ美術館は「国立の漫画喫茶」 民主・鳩山氏が批判

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090509/stt0905092001001-n1.htm

2009.5.9 20:00
このニュースのトピックス民主党

 民主党の鳩山由紀夫幹事長は9日夜、青森県南部町で講演し、平成21年度補正予算案に計上されたアニメ美術館建設費について、「アニメが好きなのは麻生太郎首相だ。首相が好きだから、官僚が作ってやろうと(いうことになった)。簡単に言えば国立の漫画喫茶だ。大変な浪費で、ばかばかしい」と厳しく批判した。

 政府の構想では、美術館にはアニメ、漫画、映画などの作品を展示。東京・お台場が候補地で、来場者数の目標は年間60万人。補正予算案には建設費117億円が計上されている。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009年5月 2日 (土)

車買い替え補助金の効果はいまひとつ

 景気対策に政府が四月から導入した25万円の車の買い替え補助金ですが、四月の車販売を見る限りあまり効果をあげているとは言えないようです。ドイツでは車齢9年以上の車に補助金が出るのに対して、日本では13年以上の車でかつ10年度燃費基準を満たした車に買い替えする場合と条件が厳しくなっています。年々日本の平均の車齢は高くなっていますが、それでも13年落ちの車を持っている人となると、流石にその数が限定されすぎてしまうということでしょうか。また特定の環境対策車への買い替えによって自動車重量税などの減免制度がこの四月から始まりましたが、どの車が対象車なのか制度が複雑でわかりにくいというのもあるでしょう。
 そもそもすぐに新車を買ってまだ動く古くなった車を手放してしまう日本において、13年落ちの車に乗っている人となると、それなりに所得の少ない人であるということは十分考えられます。となるとこの悪い景気の中で、いくら補助金が出るといっても所得の減少や職への不安があるわけで、買い替えには躊躇があるのかもしれません。
 それにしてもドイツではこの補助金政策はかなりの注目を集めて大きな話題となり、ディーラーでは販売する車を確保するのが難しいほどになっていました。その反面、日本ではドイツほどの大きな注目を集めているようには思えません。やはり条件に当てはまる人が少ないのが原因のように思えます。
 さてそれでは13年落ちの車を非常に安く、例えば一万円くらいで買ってきて、それを下取りに出せば25万円もらえる計算になります。でもここはやはり政府のほうも考えていて、そのような古い車は1年以上乗っていることが条件だそうです。抜け道はしっかり塞がれているようです。
 とりあえず三月以前は対前年度比較で3割程度減少していた新車販売台数が、四月には2割程度の減で収まっていました。しかし3割増のドイツとは大きな開きがあるのも確かです。あまり効果が出ないようならば、条件を緩和するといったことを検討したほうがいいかもしれません。もっとも今日5月2日の日経新聞によると、13年落ちの車の保有者の6割が買い替えに意欲的とのことですから、どれが対象車なのかをじっくりと検討しているのでしょうか。効果が出るのはこれからなのかもしれません。



減免税効果見えず---4月の新車総販売台数、23.0%減

http://response.jp/issue/2009/0501/article124125_1.html

2009年5月1日

日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が1日発表した4月の新車販売速報によると、総台数は前年同月比23.0%減の28万4035台となった。前年割れは昨年8月から9か月連続。

3月に比べて落ち込み幅は縮小してきたが、4月から始まった環境対応車への減免税の効果はほとんど出ていない状況だ。このうち、登録車は28.6%減の16万6365台と、9か月連続のマイナスとなった。

登録車は落ち込み幅が3割を超えた2、3月よりは若干改善したものの、依然として冷え込んだ状態が続いている。軽自動車も13.4%減の11万7670台と2ケタ減で、6か月連続のマイナスだった。            

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年4月18日 (土)

英雄毛沢東の虚像

 以下はMSNに掲載されていたものです。要約すると、毛沢東時代の中国では、公費で医療・教育が農村にもあったために農民でも最低限の生活が出来た。しかし彼の死後の改革・開放によって貧富の差が拡大し疲弊した大衆が毛沢東時代を懐かしみ、現代の政治体制を否定し過去の毛沢東時代の政治体制に戻ることを希望するかもしれない。最悪の場合は、それによって中国は毛沢東時代の恐怖政治に戻ってしまうかもしれない、というものです。

  さて毛沢東という政治家、中国では未だに英雄とみなすように教育されています。天安門広場では彼の巨大な肖像画が掲げられ、紙幣にも彼の顔が描かれています。中国共産党は彼の大躍進政策や文化大革命の失敗を認めながらも、それでも毛沢東を第二次大戦後の中国の混乱を収めた英雄として結論づけています。
 しかし実際には彼は20世紀における究極の極悪人であり、戦争で死んだ数を除いても彼が直接・間接に殺した人数は数千万人とも言われています。全く機能するわけがない大躍進政策を推し進めて無数の国民を餓死させ、その失態をそらして権力を握り続けるための文化大革命によってまたたくさんの人々が死にました。
 あまりにたくさんの人々が死にすぎたため、その数を正確に知ることは出来ません。wikipediaには、大躍進政策では2000-5000万人、文化大革命で数百万から1000万人としています。これはヒトラーが虐殺したユダヤ人や少数民族の合計をはるかに上回るものです。wikipediaによると、その数は900-1100万人程度とされています。

大躍進政策

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%BA%8D%E9%80%B2%E6%94%BF%E7%AD%96

文化大革命

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%87%E5%8C%96%E5%A4%A7%E9%9D%A9%E5%91%BD

ホロコースト

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AD%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88

 毛沢東ほどの極悪人が未だに人気があるのは、中国共産党の情報統制にあります。中国国民の多くは、毛沢東がどのようなことをしたのか、正確に知りません。毛沢東に限りませんが、中国政府はマスコミを管理し、自分に都合のよい情報しか国内に流通させません。中国国内において真実を調べるということは簡単なことではないようです。


 さてこの筆者、このようなことを書いています。

改革が進んで市場経済が広がる中、官僚の腐敗が進み、貧富の差が拡大し、労働者が切り捨てられて農村は疲弊した。毛沢東時代にあったはずの公費医療や公費教育が廃れた一方、毛沢東時代にはなかった売春や麻薬、「黒社会」などが復活し、氾濫(はんらん)しているのである。 

 私は詳しい調査をしたわけではありません。しかし官僚の腐敗はたいしたことがなく、売春、麻薬、黒社会が毛沢東時代にはなかったと書いています。本当でしょうか。私には俄かには信じられません。今でも中国では公式には売春や麻薬は無いことになっていますが、もちろん存在します。また当時の官僚は自分だけは食料を確保しつつ、多くの国民が餓死するのを容認したのではないでしょうか。また権力を持った一部の人々によって搾取の限りを尽くされたと思いますし、それ自体が政府主導の巨大な黒社会であると思います。中国南部では毛沢東時代から麻薬が栽培されていたという説もあります。
 しかし中国政府がもしそのように国民を教育しているのならば、それは大きな問題となります。国民は毛沢東時代の悪い部分を知ることなく、良かったことばかりに焦点を当ててしまいます。そして毛沢東時代は良かったと勘違いしていることになるからです。
 中国の大きな問題は、歴史的に常に施政者が情報を管理し、国民が真実を知る機会が極めて限定されていることです。結果として、国民や国家のためでなく施政者のために情報が操作され、巨大な混乱を引き起こしてきました。この筆者は毛沢東時代が酷かったことよく知っています。基本的に私はこの文章の言わんとしていることには賛成です。そして彼も、中国が恐怖政治に戻る可能性は高いとは思ってはいないかもしれません。しかしこの筆者ですら毛沢東時代の官僚の腐敗は少なく、売春や麻薬がなかったと書いてあるのですから、中国国民は果たしてどう思っているでしょうか。そして情報が自由に流通している日本ですら、毛沢東の極悪ぶりを知らない人がかなり多い。旅行者は中国に行って毛沢東グッズのお土産を買い、日本でも毛沢東の写真がプリントされたシャツが売られています。私は毛沢東はヒトラー、スターリンと並ぶ20世紀最悪の極悪人だと思っている反毛沢東派ですので、毛沢東グッズは身に付けません。


【石平のChina Watch】悪夢?蘇る毛沢東の亡霊

2009.4.16 08:06

http://sankei.jp.msn.com/world/china/090416/chn0904160808002-n1.htm

 4月4日の清明節、北京の毛主席記念堂に大勢の民衆が慰霊のために訪れた。当日の正午までに、入館者数は「4万人以上に上った」と報じられている。

 本来、先祖の墓参りをするための祭日に、数万人の民衆が、先祖でも親族でもない毛沢東の記念堂に押し寄せてくるのは、いかにも異様な光景だ。

 3月20日に公表された、「都市部住民の宗教信仰」に関する調査の結果も興味深い。北京や上海などの都市部では、11・5%の一般家庭に毛沢東の像が仏像や先祖の位牌(いはい)と同じように祭られているという。

 都会でもこのようだから、農村部はなおさらのことだ。去年2月に四川省の田舎へ帰省したとき、私も、「毛沢東崇拝」が盛んであることをこの目で確認している。

 死去してから33年目、毛沢東は相変わらず、民にとっての「神」である。

 だがこの三十数年間、中国人民は実際にはむしろ、毛沢東が示した方向とは正反対の道を、ひたすら走ってきたはずである。

 改革・開放路線の実施以来、中国は政治的に毛沢東流の「階級闘争路線」と決別し、経済的には毛沢東が警戒する「資本主義の復活」を見事に成し遂げた。この間における中国の発展は、毛沢東路線から離反した結果でもあるのだ。

 それなのに、多くの民衆が依然として、毛沢東を神様のように崇拝しているのはなぜなのだろう。

 よく考えてみれば、その理由も簡単だ。要するにポスト毛沢東におけるトウ小平改革路線の推進は、あまりにも大きな弊害も生み出したからである。

 改革が進んで市場経済が広がる中、官僚の腐敗が進み、貧富の差が拡大し、労働者が切り捨てられて農村は疲弊した。毛沢東時代にあったはずの公費医療や公費教育が廃れた一方、毛沢東時代にはなかった売春や麻薬、「黒社会」などが復活し、氾濫(はんらん)しているのである。

 こうした中で、政府や官僚や黒社会に苦しめられながら深い絶望感と疎外に陥っているのは底辺の民衆であろう。一度の病気で年収数倍分の蓄えが消え、金持ちの飲むコーヒー数杯分の金額で娘が体を売るという今の世の中は、彼らにとって“生き地獄”である。

 だからこそ、民衆は貧富の差が小さく、最低限の生活が保障された毛沢東の世に救いを求め、現在の諸悪を退治してくれるような「人民指導者」の再来を渇望するのである。

 言ってみれば、今の「毛沢東崇拝」の背後にあるのは、トウ小平路線のもたらした社会的ゆがみの深さと、トウ小平路線それ自体の行き詰まりである。

 そして、中国の左派のたまり場である「烏有之郷」というウェブサイトの言葉をみれば分かるように、彼ら左派たちは今、トウ小平路線に対する痛烈な批判を公然と展開しながら、毛沢東路線への回帰を熱心に唱えているのである。

 彼らはいまだに少数派であるが、現状不満から毛沢東崇拝に走る一般民衆は大いにいるから、潜在的支持者層は厚い。しかも、左派の掲げる「毛沢東思想」の旗印は共産党公認のイデオロギーでもあるから、政権は彼らの運動を簡単に封じ込めることもできない。

 そして今後、経済成長が落ちて失業が拡大し、民衆の不満が頂点に高まったとき、「毛主席の良き世に戻ろう」とのスローガン一つで民衆をたき付けるような野心家が立ち上がると、誰の手にも負えない一大政治勢力が、あっという間にできてしまう可能性は大だ。

 ファシズム恐怖政治の権化である毛沢東の亡霊は再び蘇(よみがえ)ってくるのか。それこそは悪夢なのである。

                   ◇

【プロフィル】石平

 せき・へい 1962年、中国・四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『私は「毛主席の小戦士」だった』など著書多数。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年4月16日 (木)

日本でも自動車買い替えに補助金

 ドイツの古い車の新車への買い替え促進の補助金が景気対策に大きな効果を得ている話、デジタル家電に対する補助金の提案を今年3月12日の日記に書きましたが、この四月には日本も同様の対策をすることに決定したようです。車に関してはドイツであれだけ大きな売り上げ増につながったのですから、日本でも同様な成果が期待されてのことでしょう。また省エネ家電に対する補助金もあり、このような政府の対応の早さを予測してなくて、少々嬉しい誤算でした。

 さて日本の車に関する補助金ですが、ドイツのものとは違うところもあります。まず燃費基準を満たした環境に優しい車への買い替えを狙っていることです。環境に優しい車が増えるということはいいことですし、また環境に優しい車は小型車が多いために、それらの車の実際の購入者である人々、それは恐らく国民の大多数である庶民への刺激という面でも効果的であると思います。庶民の生活を助け、また多くの人を対象に出きるということです。価格の安い小型車に25万円の補助が出ると、新車価格からの実際の割引率という面ではかなり魅力的です。反面小型車へ人気がさらに移り、利益率の高い大型車などへの需要は減少してしまうかもしれません。
 また、25万円の補助金が初年度登録から13年たった車の買い替えに限定されるというのはちょっと問題かもしれません。それ以外ではわずか10万円の補助ですから、あまり大きな魅力ではありません。日本での車の平均使用年数はだんだんと増加しているとはいえ、対象者は限定されてしまうでしょう。ちなみにドイツでは9年落ちの車から補助金が出ます。

 とはいうものの、ホンダのインサイトとトヨタの新型プリウスの低価格によるハイブリッド車の競争も激化するでしょうし、自動車販売の低迷が改善されることは十分期待できます。自動車各社の株価は円安とあいまって、四月になってからかなりの上昇を見せています。個人的にはこれらのニュースに気がつくのが遅れてしまって、投資のタイミングを逃したことが痛いのですが、最悪期は脱してきているのでしょう。

新車買い替え最大25万円補助 新経済対策に盛る方針

http://www.asahi.com/business/update/0408/TKY200904080161.html

2009年4月8日12時10分

 経済産業省が新経済対策の一つとして検討している自動車買い替えの促進策が8日明らかになった。新車登録から13年以上経過した車を廃車にして、10年 度燃費基準を満たした車を購入する場合、普通車で25万円、軽自動車で12.5万円を補助することを想定。同基準はほぼすべての新車が達成しており、4月 からの省エネ自動車に対する税の減免措置より対象が大きく広がる。

 登録13年未満の車の買い替えや新規に車を買う場合も、省エネ自動車を買えば普通車で10万円、軽自動車で5万円を助成する方針だ。10年度燃費基準より15%以上燃費がいい車が対象だが、新車の4割程度が該当するという。

 トラックなど商用車についても同様に20万円から180万円を補助する。

 4月から始まった自動車重量税などの減免制度と合わせれば、200万円のハイブリッド車への買い替えの場合なら、購入者の負担は約40万円程度減ることになる。政府は今回の買い替え促進策で、9万人の雇用創出効果があるとみている。

 対策には省エネ家電の普及支援策も盛り込む。対象はテレビ、エアコン、冷蔵庫。一定の環境基準を満たす製品を購入した場合、販売価格の5%を「エ コポイント」として購入者に与えて新たな買い物に使えるようにする方向で、具体的な方法を詰めている。地デジ対応のテレビの場合は、さらに5%上乗せす る。今持っている商品をリサイクルに出す場合には、リサイクル料分も還元する。

 いずれも09年度限定の措置で、自動車で3700億円、省エネ家電で2700億円程度を09年度補正予算案に計上する方向で検討中だ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年4月 4日 (土)

GM・クライスラーへの再建策の期限きたる

 GMやクライスラーの破綻の可能性についての報道が三月末に新聞紙上を少々賑やかにしました。また遂にGMのワゴナー会長も会社を追われることになりました。しかしいつまでたっても再建の道筋を示すことができず追加融資を要求する姿は、昨年秋から容易に想像出来たことです。何より自動車が売れないこの時勢に、巨額赤字を脱却する方法を見つけることはほぼ出来ないでしょう。以前にも何度か書きましたが、このままGMに融資をしたとしても、いつまでも底に穴の開いたグラスに水を注ぐようなもので、きりがありません。
 大きな問題の一つは、GMの再建がGMを危機に陥れたとの同じ経営陣によって託されていることです。そのような経営陣には、過去や感情のしがらみもあるでしょうし、会社の利益よりも会社が倒産する前に自分の利益も優先してしまうこともあるでしょう。ワゴナー会長が辞めたのは、遅すぎたとはいえ責任問題と今後の再建を思い切ってやるためには良いことです。しかし彼一人が辞めたところで、根本的な改革を出来る再建チームが機能するようになるとは思えません。
 そのような中で、GMに対する追加融資に対する政府や国民の姿勢が、少しずつ厳しくなってきているように思います。少し前にアメリカ国内のアンケート調査をニュースで見ましたが、破綻もやむなしという意見が救済策と同じくらいになっていました。このままいけば、国民はGMの破綻を認める意見がさらに増えるかもしれません。またオバマ政権もそれを固めるための時間稼ぎをしているのかもしれません。
 実際、UAW(全米自動車労働組合)との不利な契約の見直し、優良資産を残しての事業継続といったような再建策が出てきています。私ならば現経営陣には責任を取らせたうえで、政府主導のチームによる実質国有化にした思い切った再建をします。UAWとの契約は全面見直し、優良資産は残して過剰資産は売却します。また国有化にするならば、例え破綻させたとしても信用はある程度残るから破綻の影響を小さく抑えることが出来るでしょう。ただ破綻させると経済に与える影響が大きすぎるし、このままいっても赤字を累積していくだけというのならば、それが一番いいのではないかと思います。本来自由競争の資本主義社会において、政府が一民間企業を助けるのは筋違いです。しかしGMがtoo big to fail(倒産させるには規模が大きすぎる)という理由で政府の特別融資を受けている非常事態である以上、政府が出資した会社の再建に大きな権限を持って口出しするのは、決しておかしなことではない。少なくとも再建の道筋を現経営陣が示せない以上、政府から金だけとって口出しをさせないという理屈は通らないでしょう。そして世界は破綻を現実として受け入れ、それに対する備えを少しずつ進めているのではないでしょうか。

米自動車危機 大統領からの厳しい最後通告(4月1日付・読売社説)

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090401-OYT1T00043.htm

 オバマ米大統領が、政府に追加支援を要請していた米自動車大手に対し、事実上の“最後通告”を突きつけた。

 ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーの再建計画を「不十分」とし、支援するかどうかの結論を先延ばしした。現状では、昨年末に続く巨額融資は認められないとの判断だ。

 GMに60日以内の計画練り直しを求め、クライスラーには、30日以内にイタリア大手フィアットとの提携交渉合意を要求した。

 この猶予期間中は、資金を手当てし、2社の

破綻

(

はた

)

を回避する。ただ、期限内に抜本再建策を示せない場合は、追加支援に応じない。そうなれば、連邦破産法11章の適用が現実味を帯びるだろう。

 実際に破綻すれば、日本の自動車業界も大打撃を免れまい。再建の展望が開けるのかどうか、業界は

固唾

(

かた

)

をのんで見守っている。

 大統領があえて破綻の可能性も強調し、支援決定を延期したのは、2社を背水の陣に追い込むことで大胆な改革を促したものだ。

 再建への明確な見通しが描けないまま、税金による巨額支援を続けることに批判を強める国内世論への配慮もあろう。

 一方で、2社の破綻は、大量失業をもたらし、米国経済をさらに冷え込ませかねない。世界不況も深刻化しよう。大統領は、ぎりぎりの決断を迫られた形だ。

 GMのワゴナー会長は、政府の要請で辞任に追い込まれた。経営陣を刷新し、局面を転換させたい政府の思惑がうかがえる。

 しかし、GM、クライスラー両社の先行きは依然、厳しい。

 主力の北米市場を中心に、世界の自動車販売は冷え込んでいる。市場が早期に回復する見通しはたっていない。

 GMは、巨額債務の削減や、全米自動車労組(UAW)との労働コスト削減の交渉が難航中だ。

 クライスラーとフィアットの提携交渉も

(

こうちゃく

)

状態が続く。経営規模が小さい両社が提携したところで、展望が開けるか、不明だ。

 ニューヨーク市場の株価が急落したのも、残り時間が少なくなった両社の再建の道筋は険しい、と評価したからだろう。

 GMなどを顧客とする日本の部品メーカーは多く、2社が破綻すれば、業績悪化は避けられない。日本の自動車各社も、現地での部品調達が滞りかねず、生産戦略に狂いが生じる恐れがある。

 瀬戸際に立たされた2社の再建の成否は、世界の自動車業界を大きく変える可能性があろう。

(2009年4月1日01時27分  読売新聞)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月21日 (土)

ETC割引の開始と、高速道路の経済効果

 20日金曜日の祝日から、ETC装着車による高速道路の割引が本四高速・アクアラインから始まりました。週末は高速道路料金が土日祝日にはいくら走っても1000円になるというものです。世界的基準で見ても相当割高と言われている日本の高層道路料金ですが、これはかなりの劇的な割安価格です。
 今月にはETCの装着に条件付ですが補助金が出るという事もあって、オートバックス等の車用品店ではETCの注文が殺到し、どこの店も軒並み在庫切れということがニュースで度々放送されています。しかも入荷の見込みは当分立たないそうです。今回の政策によるETCの投資効率を考えれば、こうなることなど容易に想像できそうなものなのに、いったいメーカーは何をしていたのかと呆れてしまいます。これらの車用品店を展開する会社の売上が予想外の上方修正をして、株価にも反応するかと思っていたのですが、この様子だとどうやらそれほどでもなさそうです。

 実は偶然にも今週金曜日から淡路島に行ってました。淡路島には本土と淡路島をつなぐ明石海峡大橋があります。通常の中型車の通行料金は明石海峡を渡るだけの最短で2800円。垂水ICから淡路ICまでの、距離にして11.3Km、時間にしてわずか8分です(本四高速株式会社ウエブページより)。ところがこの祝日の金曜日からは1000円。しかも三連休ということで、いつも以上の車の通行があり、高速道路は相当な渋滞が起きたという話をタクシーの運転手がしていました。また島内のホテルの宿泊客数が一杯になり、予約が非常にとりにくくなったという話も現地で聞きました。これほどのことは今まであまりなかったそうです。これを見る限り、ETCの割引による経済効果が出ていると言えます。今後も週末に車で外出する人は増えるのではないでしょうか。私も実はそのつもりです。

 私が昔からおかしいと思っていることが、日本の高速道路の料金です。とにかく高い。距離あたりの通行料金では、世界でも圧倒的に高かったように記憶しています。日本は地価も建設費も高く、それが料金にも反映されるというのは理由の一つでしょう。しかしアメリカの高速道路は原則無料です。ドイツもかつては原則無料でした。それによって物流や市民の交通が活発になり、経済発展に大きな貢献をしたのは広く知られているところです。
 ところが日本の高速道路は、道路が果たす経済効果を無視しています。高速道路の建設費は、使用者の払う道路使用料金によってまかなうという考えが根付いている。道路が人や物を安く速く運ぶことによって、経済効率が飛躍的に高まり、それによって経済が発展して税収が増えるということが計算に入っていない。野菜が早く安く運べれば、消費者も生産者も得をします。会社の営業員が高速道路を安く速く通行できれば、より多くの取引先を訪問することが出来ます。考えるまでもないことです。高い高速道路はいわば貿易における高い関税のようなものです。また料金所では度々渋滞を引き起こし、通行の速度を減らします。

 数年前も、第二東名高速道路の見込み通行料金収入では建設費をまかなえないから建設反対という意見があったのを記憶しています。これもおかしな意見で、東名のような間違いなく大きな通行料が見込める道路を、通行料金だけで建設費の収支計算をするというのはかなりの異常な話です。

 とにかく期限や日にちや使用者の条件があるとはいえ、日本の高速道路が使いやすくなりました。そしてその経済効果が早くも出ています。そもそも東名高速道路は数年前に無料開放されていなければならないのを反故にされているのですから、これはいい実験です。今後その効果がはっきりと数字になって出てくれば、二年後の期限が来るときに高速道路の料金の引き下げが議論される可能性があります。そしてそれは経済を発展させるものになってくれるのではないかと期待しています。確かに道路のキャパシティの問題はありますが、今後は一般の車だけでなく、物流を担うトラックのために平日の通行にも割引料金が適用されればと思います。



ETC売り切れ続出 購入助成の期間延長へ

3月19日8時15分配信 フジサンケイ ビジネスアイ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090318-00000015-fsi-bus_all

 今月12日から31日までの期間で始まった高速道路のETC(ノンストップ料金収受システム)車載器の購入費用助成制度が、延長される見通しとなった。 購入希望者がカー用品店に殺到して在庫がなくなる店舗が続出し、助成を受けられない人が続出していることに対応。国土交通省は18日、助成窓口となってい る高速道路交流推進財団に対して、助成期間延期を要請した。同財団は19日にも延期を決定する方向だ。

 国交省の春田謙事務次官は18日の記者会見で同財団に対して「(ETC車載器が)店頭で品切れになり混乱が生じている。4月にまたがっても混乱なく助成 できるようにしてほしい」と要望した。これに対し、同財団は19日の理事会で、助成台数引き上げや助成期間延長などについて協議する。今回の制度では、予 約しただけでは助成が受けられず、期間延長を求める声が強まっていることから、国交省の要請に応えるとみられる。

 助成制度は、今月20日からETC利用車限定で始まる高速道路料金値下げに伴い、助成額は四輪車用で5250円、二輪車用で1万5750円で始まった。 助成開始と同時にETC車載器が飛ぶように売れ、国交省によると12日から17日までの6日間の四輪車・二輪車用合計の販売台数は約28万5000台にの ぼったという。

 カー用品大手のオートバックスセブンは17日、自社のホームページで「現在、商品供給が追いつかず、在庫切れの店舗が数多く発生しており、希望の商品を 当日提供できない場合がある」と、おわび文を掲載。また、車載器を購入しても取り付け作業の予約が多数入っており、「店によっては数週間以上待つ場合もある」という。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009年3月12日 (木)

効果的な景気刺激策

 麻生政権の政策の呼び物の一つとして話題になった定額給付金の交付が、今月三月から始まりました。麻生首相は元々首相になる前、今回の経済危機表面化前から財政出動による景気刺激策について言及していたのをニュースで見た記憶があるので、これもその流れの一つとなります。次期首相と見られていた当時の麻生議員が、景気回復途上にある日本において、小泉政権からの財政再建の政策をあっさり無視し、いきなり財政出動についての方針を打ち出したときは、いったい何を考えているのだろうと思いました。しかし今や世界各国が財政出動による景気刺激策を挙げているので、図らずも麻生政権の政策は世界の流れに沿ったものとなっています。

 しかしその給付前から、このばら撒き政策はかなりの批判にさらされています。その批判の中心は、たかだか二万円程度の給付をしても、景気対策に大きな影響を与えることができない、生活費に消えるだけだというものです。実際に人の一ヶ月の生活費を考えれば、二万円などあっという間に生活費として消えるでしょう。色々なメディアでアンケートがされているようですが、生活費として使うとかその分を貯金にまわすといった回答が多く見られました。例えば以下の「リアルタイム世論調査ネット」によると、約49%が貯金や生活費として使うと答えています。あるテレビニュースでも似たような結果が出ていました。

http://www.yoronchousa.net/result/6140

 このようなアンケートを見る限り、当初の縣念どおり、景気刺激策としてこの政策の効果を疑問視せざるえません。景気刺激策は、普段使っている以上の金額が消費として使用されることによって機能します。せっかく給付金を給付しても、それが生活費や貯金として使われるのならば、まったく景気を刺激していません。手続きに関する余計な手間ばかりかかっているという批判がそのまま当てはまります。アメリカのオバマ政権が減税政策を挙げていますが、給付金手続きの手間が減るだけで、減税をしても経済効果そのものは似たようなものでしょう。

 その反面、世界各国で急減している自動車の新車販売を横目に、ドイツでは景気刺激策が大きな効果を上げています。9年落ち以上の中古車を下取りに出し、新車もしくはそれに近い車に買い替えるオーナーが、2500ユーロの補助金を得るというものです。これにより、ドイツでは前年同月比で20%以上販売が伸びたということです。
 消費を先取りしただけだという批判はあるでしょう。しかしあるテレビニュースでは、車を買い替えた人が、この制度がなければまだ車を買い替えることはなかったということを言っていました。このような人は多いと思います。9年落ちの中古車でも、動くのならばまだあと1年か2年は乗り続けようかという人はいるでしょう。しかし補助金が出るのならば買い替えようかという人は必ず出てきます。現在ドイツでは、補助金の有効期間内に車を買い替える人があまりに多くて、車の供給が追いつかないのだそうです。この政策は、普段の生活費の支出以上の消費を生み出したのです。

 消費の刺激策はこのようなものであるべきです。例えば日本では、もうすぐデジタル放送に移行します。しかしデジタルテレビの需要も、景気悪化に伴い急減しているそうです。ならばアナログを下取りにしてデジタルに買い換える人に補助金をつける。あるいはマンションデベロッパーが次々に倒産しています。マンションを買い換えるときに、金利や税金の優遇をする。家を買うということは、家具や家電製品を買い換えることにもつながるので、景気刺激の副次的効果も大きいそうです。さらにマンション販売が増えてデベロッパーの倒産も防ぐことができるのならば、さらに景気に対して有効となるでしょう。麻生首相の景気刺激策には、世間の多くの人と同様に私も賛成できません。でも私は拒否することなく頂けるものは頂くつもりです。



(2009年3月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/680

旧型車の廃棄を促す政府の補助金制度のおかげでドイツの新車販売が急増し、外資を中心とした大衆車メーカーにかすかな希望をもたらす一方、ドイツ国内の高級車メーカーを苛立たせている。

 欧州最大の自動車市場であるドイツでは、2月の新車登録台数が前年同月比21%増の27万8000台となり、過去10年間で最多を記録した。

 ドイツ自動車工業会(VDA) のマチアス・ヴィスマン会長は、「第1四半期を通しても、新車登録台数は前年を上回るだろう」と話す。ヴィスマン氏の楽観的な見方は、ドイツ国内の新車受注台数が2月に63%増加したことに裏打ちされている。

壊滅状態の自動車市場で販売台数が2割アップ

 車の「スクラップ奨励金」制度は、500億ユーロ(630億ドル)規模のドイツの景気対策第2弾の一環。この種の対策が工業部門において即座に効果を上げる珍しいケースとなっている。

 伊フィアットや仏ルノー、独オペルなどの自動車メーカーでは小型車の需要が急激に拡大し、その結果、従業員の一時帰休を取りやめる企業も出てきた。

 欧州最大の自動車メーカーである独フォルクスワーゲン(VW)は、小型車「ポロ」が今週新モデルに切り替わるのを前に、現行モデルを急ぎ4万台生産した。通常、モデルチェンジの時期は、旧型モデルの需要はほぼゼロに落ち込む。

 奨励金制度が始まったのは今年1月で、9年落ち以上の中古車を下取りに出し、新車もしくはそれに近い車に買い替えるオーナーは、2500ユーロの補助金を受け取れる。

 ドイツ以外の欧州諸国も似たような対策を打ち出したが、補助金の額が小さいために、ドイツほどの販売増加は見られない。

 スクラップ奨励金を管理するドイツ当局は3月3日、これまでに15万7000台分の申請を受け付けたと述べた。同制度は、申請件数60万件、金額にして15億ユーロを上限としている。

 こうした中、ドイツの高級車メーカーのBMWとダイムラーは、スクラップ奨励金の恩恵を主に受けるのはルーマニアのダチア(ルノー系列)やプジョー、フィアットだとして、補助金制度を批判している。

補助金は「ただの需要の先食い」、輸出は半分以下に激減

 BMWのCEO(最高経営責任者)、ノルベルト・ライトホーファー氏は、「この制度は競争を歪める。やればやるほど、自由市場を損ねる結果となる」と語った。また、アナリストらは、同制度は先に予定されていた需要の先食いに過ぎないと警告している。

 ウニクレディトのシニアアナリスト、アレクサンダー・コッホ氏は、「夏休みが終わる頃には、今のような購買力は見られないだろう」と言う。しか し、ドイツ経済に対する効果はプラスだったと指摘し、「スクラップ奨励金は、ガタガタのドイツ経済にとって絶対的に必要な即効性のある下支えとなってい る」と語った。

 だが、こうした補助金も、輸出主導型のドイツの自動車メーカーの販売急減を防ぐことはできなかった。VDAによれば、2月のドイツの自動車輸出台数は20万2000台で、前年同月より半分以上も落ち込んだ。

By Daniel Schafer
.

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009年2月26日 (木)

映画の国際展開は商品と文化の輸出につながる

 2月22日(日本時間23日)の第81回アカデミー賞で、日本の作品「つみきのいえ」がアカデミー賞短編アニメーション賞、「おくりびと」が外国語映画賞を受賞しました。日本のアニメの質の高さはかねてから評価されているところですが、日本の俳優、映画作品も最近は国際的な注目が集まっているように感じます。これは日本の映画界にとってのみならず、日本全体にとってもとてもいいことです。

 かつて、国際的に評価される映画といえばまずはアメリカの映画であり、さもなくば欧州の映画でした。特にアメリカの映画の強さは圧倒的でした。アメリカの映画産業は規模も産業規模も、日本はもちろん他を引き離していたような印象があります。
 映画の強さというものは、映画産業だけにとどまりません。映画は他のビジネスのための地ならしであり、政治的意味も持ちます。まだ日本をはじめとする各国が貧しかった時代から、人々がアメリカ映画を見たとき、派手なオープンカー、広い家、ハンバーガー、コーラが登場し、高層ビルやネオンが並ぶ街を登場人物が駆け抜けます。実はこれを世界の人々に見せるというのは、大変な宣伝効果を生みます。映画を見た人は、映画の主人公と同様にコーラを飲みながら車を乗りたいと思うのです。アメリカ企業が海外に進出するにあたり、アメリカ製品が広く知られているというのは大変な優位性です。今でこそ企業が映画のスポンサーになり、企業の商品を作品に登場させるのは当然ですが、それを大昔から実行していたアメリカは強い。
 同様に、人々は映画を通じて豊かなアメリカに憧れたり、アメリカの文化や価値観を映画を通じて学ぶのです。映画のなかでアメリカ人がテロリストを退治すれば、映画を見た人はアメリカ人を応援したくなったりするのです。アメリカの映画にはアメリカ軍がよく登場しますが、アメリカ軍は映画撮影に協力的であると言われます。たとえいつもそれが機能するわけではないとしても、政治的なプロパガンダにも映画は一役買っていると言えるのではないでしょうか。

 かねてから日本のアニメ、漫画、テレビドラマはアジアをはじめとする国々で一定の人気を持っています。それらに親しんでいる外国人は、日本に対してもいい印象を持っている人が多い。私はあまりドラマを見ないのですが、そういったアジアの人のなかには私よりもはるかに日本のドラマや俳優について知っている人がいて、私の無知ぶりをからかっていました。そして実際そのような人は親日家でした。直接会った人ばかりではなく、そういった人が多いということを雑誌やニュースでも間接的によく聞きます。フランスをはじめとする欧州にも日本アニメ・漫画のファンは多いと聞くし、反日教育を受けた韓国や中国の人でも、漫画等を通して日本の文化は好きとか理解を深めたという人々が存在するようです。
 同様に、韓国のドラマは日韓関係の改善に寄与しました。韓国では国内の市場規模が日本のように大きくないので、早くから海外に輸出することを前提として努力していたといいます。ビジネス上での関係が順調でも、日韓両国民の間ではあまり親近感が醸成されなかった日韓関係において、韓国ドラマの流行は両国間の改善に役立ち、ヨン様一人で多数の外交官に匹敵すると言われました。
 その意味で、日本の映画界は遅れをとっていました。評価されていたものの多くはサムライ映画だったでしょうか。しかしアニメだけでなく、日本の現代劇が評価されてきているのは大きい。しかもアメリカで、です。今までの日本は、文化の輸出というものに対する考えにあまり積極的でなかったように感じます。最近は政府も外国人観光客を増やすことや文化の輸出ということにも目を向けているようですが、取り組みはじめたのが少々遅かった。このいい流れを今後も維持してほしいところです。


【第81回アカデミー賞速報】「おくりびと」が外国語映画賞を受賞!

2月23日13時9分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090223-00000016-eiga-movi

 [eiga.com 映画ニュース] 2月22日(日本時間23日)、米カリフォルニア州ロサンゼルスのハリウッド・コダックシアターで第81回アカデミー賞の授賞式が行われ、「おくりびと」が外国語映画賞を受賞した。

eiga.com 第81回アカデミー賞特集 受賞結果速報&ノミネート一覧

 日本映画の同部門へのノミネートは12作目で、受賞は史上初の快挙。授賞式に参加していた滝田洋二郎監督と主演の本木雅弘が壇上にあがり、プレゼンターのリーアム・ニーソンらからオスカー像を受け取った。

 同作は昨年のモントリオール世界映画祭グランプリをはじめ、今月20日に発表された日本アカデミー賞でも最優秀作品賞ほか10部門を受賞。国内外での受賞は計60冠に達していたが、さらに米アカデミー賞受賞という映画界最高の栄誉が加わった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月25日 (水)

自動車会社、資金ショートの危険

 株安ですが、円安が進んでいます。サブプライム問題の影響をあまり受けていないと思われていた日本経済ですが、世界経済の減速に伴い輸出企業関連をはじめとして急減速。円も弱くなっていて、輸出比率の高い企業にとっては、少しだけいいニュースです。かなり売り込まれていた自動車関連企業にも、買戻しに加えて円安を好感した買いが入っているようです。そのなかで、マツダは10円安の122円と、上場来安値を更新する逆行安となりました。

 日経新聞の2009年2月21日付朝刊の記事に、自動車7社のフリーキャッシュフローについての記事がありました。キャッシュリッチで有名なトヨタは、予想通りかなりの余裕があります。しかし、なかには苦しい会社がありました。以下はその記事を基にしたグラフです。

       
 FCF08/12月末の
手元資金
手元資金/FCF
                                                                                                                                             
トヨタ-3,550 22,606 6.4
 -8,932 4 2.5
ホンダ-8,383 7,394 0.9
 -5,594 -30 1.3
日産-1,925 4,846 2.5
 4,746 -19 -
スズキ-1,844 2,627 1.4
 -218 -45 12.1
マツダ-1,967 1,440 0.7
 102 -36 -
三菱-1,093 2,705 2.5
 1,394 -25 -
富士重-470 1,017 2.2
 624 -14 -
08年4-12月期のキャッシュフロー計算書
と手元資金
単位億円、下段は08年3月期一年間実績
手元資金欄下段は08年3月期比増減率%
出典は日経新聞   2009/2/21付朝刊より

 一番右側の「手元資金/FCF」の欄は、手元資金をキャッシュ・アウトフローで割ったものです。上段は08年4-12月期のキャッシュ・アウトフローで手元資金を割り、下段は一年間のキャッシュ・アウトフローで手元資金を割っています。

 キャッシュ・リッチで有名なトヨタは、年間ベースのキャッシュ・アウトフローを使って計算した場合、このままの金額のキャッシュ・アウトフローが続いたとしても、2.5年は手元に資金があることになります。言い換えれば、このままの赤字が続いたとしても、2.5年は資金ショートが起きないということです。
 日産・マツダ・三菱・富士重は、年間のキャッシュは黒字です。しかし前半の経済危機以前で黒字を稼いでおり、後半は大幅な赤字です。来期は前期のような黒字分が消える可能性が極めて強く、そうなった場合はFCFの上段の赤字額が大きな意味を持つことになります。リストラや対策によってアウトフローの額をある程度抑えることは出きるでしょうが、基本的に来期は年間ベースで赤字になると考えるべきでしょう。仮に今期の08年4-12月期のキャッシュフローが来期の年間のアウトフローと同額だと想定した場合、マツダとホンダは1年足らずで資金ショートが起きることになります。特にマツダは9ヶ月もたないということで、これはかなり深刻な問題です。

  このキャッシュ・ショートの大きな原因は、製品が売れていないことです。実はこの日経新聞の記事には、在庫の増加のデータも同時に掲載されていました。車を製造することで資金を使っているのに、車が売れないから現金化できない。在庫だけが積みあがっています。現在はどの会社も在庫削減のために、極端にまでに大幅な減産をしています。減産によって在庫が削減できれば、キャッシュ・アウトフローは食い止められるでしょう。ニュース記事によると、「ホンダは21年3月期見通しで営業黒字を見込んでおり、赤字に転落するトヨタや日産自動車に比べて“深手”を負っていない」ということです(下記ニュース参照)。

 そうはいっても、余裕のあると言われているトヨタですら、もしものためにすでに今月20日に2000億円の社債の発行を決めました。日産は米政府に低利融資を申請しています。この状況では何が起こるか予測はできません。そうなると、フォードも危機のなか、大きな支援企業をもたず規模も小さなマツダの資金繰りの悪さが際立ちます。マツダの逆行安は、倒産リスクを織り込もうとする市場の動きでしょうか。早急に資金繰りを安全にするための融資枠の設定や社債の発行といったことを、マツダは発表する必要があるでしょう。


ホンダ新社長に伊東氏 若返りで立て直し

2月23日21時23分配信 産経新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090223-00000604-san-ind

 ホンダは23日、福井威夫社長(64)が退任し、伊東孝紳専務(55)が社長に昇格するトップ人事を内定したと発表した。福井氏は取締役相談役に就く。 6月の定時株主総会終了後の取締役会で正式決定する。未曾有の自動車不況の中、新工場の建設延期や自動車レースのF1世界選手権からの撤退などリストラに ついては一定のめどが立ったと判断し、経営陣の若返りを図り、販売回復など抜本的な経営の立て直しを目指す。

 伊東氏は主に乗用車の開発を担当し、スポーツカー「NSX」など数多くの“名車”を手掛けたほか、社長への“登竜門”とされる本田技術研究所の社長も経験。4月に研究所社長に再び就任し、本体の社長就任後も兼務し、商品開発重視の姿勢を鮮明にする。

 福井氏は平成15年に社長就任。国内外で生産体制を強化したほか、燃料電池車の開発や太陽電池の事業化など環境分野に注力した。

 トヨタ自動車で創業家の豊田章男副社長が社長に昇格するのに続くホンダのトップ交代は、苦境を乗り越え、勝ち残るためには「加速力と成長力」(福井氏)が必要と判断したためだ。

 またホンダは21年3月期見通しで営業黒字を見込んでおり、赤字に転落するトヨタや日産自動車に比べて“深手”を負っていない。すでに福井氏がF1撤退など“大ナタ”をふるったこともあり、最大の課題は眼前のリストラから、再成長へ向けた土台作りに移っている。

 命運を握るハイブリッド専用車「インサイト」は6日の発売から10日間で受注が月間目標の2倍にあたる1万台を超えた。「顧客が求める商品をいかに素早 く投入できるかが大事だ」と伊東氏。素早く二の矢、三の矢を放つことができるのか。新社長に課せられた責務は十分に自覚している。

【伊東孝紳(いとう・たかのぶ)】 京大院修了。昭和53年ホンダ。取締役、常務などを経て平成19年6月から専務。静岡県出身。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009年2月14日 (土)

巨大化している車

 不況のあおりを受けて売れない自動車ですが、軽自動車は比較的堅調です。日本の自動車市場が減退を続ける中でも、軽自動車はここ数年間売上は増加傾向でした。

                   
19981999200020012002
1,551,3301,880,7711,874,9151,853,5201,830,700
                       
200320042005200620072008
1,804,7551,891,1501,923,7162,023,6191,919,8191,869,893

出典 社団法人 全国軽自動車協会連合会
http://www.zenkeijikyo.or.jp/index.html

98年の規格改定以降、軽自動車の規格サイズは

  • 長さ3.40m以下
  • 幅1.48m以下
  • 高さ2.00m以下

となっています。

 軽自動車の代表格であるスズキのワゴンRのサイズは、全長3395mm、全幅1475mm、全高1660mm。さて世界一のベストセラーカーのトヨタカローラの登場は1966年。当時のモデルのサイズは全長3845mm、全幅1485mm、全高1380mmとなっています。軽自動車はトランクがないぶん全長は随分と短いですが、車の後ろいっぱいまで室内空間として使用しているため、室内の長さはむしろカローラより長いくらいでしょう。後席をスライドさせれば、大人が足を投げ出せるほどの前後空間があります。現代の車は衝突の際の安全対策のため厚いドアを採用しているため、室内幅は少し狭いかもしれません。しかしあまり大きな差はないものと思われます。エンジン出力にもあまり大きな差はありません。かつてのエンジン出力はグロス表示で現在はネット表示であるので、実際には昔のエンジンの出力は実質的にさらに低い。さらに現在の軽自動車にはエアコン、オーディオ、パワステ、パワーウィンドゥも普通についています。むしろ現在の軽自動車は、初代カローラよりも豪華で高性能です。

                               
 全長(mm)全幅(mm)全高(mm)出力
ワゴンR339514751660 64馬力(ターボ車)
初代カローラ384514851380 60馬力

私たちは時代に関係なく軽自動車という分類を単純にしてしまいがちですが、実は軽自動車はいつの間にか巨大化、高性能化しています。これは軽自動車に限った話ではありません。古くから存在するブランドは、日本経済の成長と共にほぼ例外なく巨大化しています。小型車の代表格である現行型のカローラは、1969年型ハコスカのスカイラインGT-Rより全てのサイズで既に大きく、1981年型の初代ソアラや1987年型のクラウン・ロイヤルサルーン(2000CC)よりも全長で短いだけです。同じく小型車の代表であったシビックは、もう3ナンバーサイズです。大型車の代表格のクラウンだって、昔は5ナンバーサイズの車でした。
 かつての基準で考えると、現在の小型車や軽自動車は十分に大きい。実用性だけで考えるならば、軽自動車や小型車で十分に事足ります。ガソリンが高くなり景気が悪くなったうえに、自動車が社会的地位を示したり見せ付けるものであった時代ではなくなっている現在、普通の消費者から見ればこれらの車で十分ということでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009年2月 9日 (月)

保護貿易主義の後退

 1929年の世界恐慌のとき、各国は保護貿易によって自国経済を守ろうとしました。自国で生産された製品を自国で消費し、他国からの商品を買わないようにする政策です。他国から製品を買えばその国へ自国のお金が流れますので、自国の経済を弱くすると考えられていました。自国の製品を買えば、お金は生産された自国の産業を潤します。お金は自国内を循環するため、資産の流失がないというのがその理論です。

 幸いなことに、これは正しくありません。貿易は一般的に貿易に参加をしている全ての国の経済を潤します。競争力のある分野で輸出をし、競争力のない部分で輸入を相互に行うことは、強みを生かし弱点を補完することです。例えば日本は農業の生産性が良くありません。日本は自国で非効率に農作物を生産し、それに高い金を払うよりも、外国から安く買ったほうがいい。その反面、競争力のある機械・電気・自動車などを輸出することにより、他国から外貨を稼ぎます。また日本ほど機械・電気・自動車に強みを持たない国は、日本の高品質・高性能の製品を輸入することによって自国の弱点を補完できます。

 もし日本が保護貿易をしたならば、非効率で高い農業生産物に多額の金を払い、国内需要分のみの機械を生産したならば、日本経済は壊滅します。多額の貿易赤字を毎年計上しているアメリカにすら同様のことが言えます。もしアメリカが品質・性能・価格で必ずしも競争力の高くない自国製電気製品を買うのならば、その負担はアメリカ国民が結局支払うことになります。貿易とは両者両得の関係であり、貿易によって参加国全ての経済は、貿易をしないよりも発展しえるのです。
 さらに保護貿易は、相手国から同様の対策をされてしまいます。他国から輸入をしないのに、自国の製品だけを輸出することはまず無理です。自国が貿易障壁を設ければ、相手国も同様の貿易障壁を設けるのです。結局のところ、全ての国が貿易によって得られる経済の発展部分を失うだけということになります。

 世界は既にそのことを歴史から学びました。外国からの輸入の脅威にさらされている国が、感情的に保護貿易に走ろうとするのはわかります。しかし今は多くの知識人や政治家が、自由貿易の強みを理解しています。今回オバマ大統領が感情論になびくことなく、保護貿易に警戒感を表し自由貿易を守るということを表明したことは、この経済危機を克服する時間を短縮してくれるものと思います。

バイ・アメリカン条項を修正=国際協定遵守を約束-米上院

2月5日11時40分配信 時事通信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090205-00000060-jij-int

 【ワシントン4日時事】米上院は4日の本会議で、景気対策法案の一部として公共事業に米国製品の調達を義務付けた「バイ・アメリカン条項」の修正案を全 会一致で可決した。保護貿易主義的色彩が強いとして、オバマ大統領や各国が見直しを求めたことに配慮したものとみられる。
 修正案は、同条項について「米国の国際協定順守義務と整合的な方法で適用する」との一文を盛り込む内容。ドーガン上院議員(民主)が提出したもので、下院で可決した景気対策法案にも同じ文言が盛り込まれている。 

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2009年2月 3日 (火)

北米自動車版サブプライム・ローン

 2月2日放送のNHKスペシャル「アメリカ発 世界自動車危機」なんてのを見ました。いくつか面白い部分がありました。

 それによると、昨年のアメリカ国内のローンの未払いによる車の没収は190万台だそうです。2008年のアメリカ国内の販売台数は1324万台 で、実に7台に1台が没収された計算になります。没収された車が大量に中古車市場に流れ込み、中古車と新車の販売価格を暴落させていることでしょう。
 なんでこんなことになったかについても説明していました。まあ説明などされるまでもなく、無茶なローンを組んで販売していたことは昔から度々指摘されていたのですが、その実態について具体例がありました。GMのローンの申請用紙には、顧客の収入や職業を尋ねる欄すらないのです。払える見込みがない客でも、顧客が申し込みさえすれば、簡単にローンを申し込んで豪華な新車を買うことが出来たのです。番組内でのあるディーラーのインタビューでは、定職を持たず空き瓶集めをして生活しているような人も、ローンの申し込みをした中にはいたのではないかということでした。何でも借金して買い物をするのが一般化しているアメリカらしい話ですが、それにしてもかなり出鱈目な話です。
 そのローンの多くはGMの金融子会社であるGMACが担当していました。GMACはそのローンを金融工学を使ってまとめて証券化し、金融機関を通じて投資家に販売しました。しかも格付けは最高のトリプルAです。たとえローンの不払いが出ても、GMACではなく投資家が損をするような仕組みを作 り上げていたのです。これでGMとGMACは、リスクを他の投資家にまわし、短期的には自分たちの売上のかさ上げをすることが出来ます。自動車版のサブプライム・ローンです。
 GM側の経営者や関係者からみれば、自分が引退するまでこの仕組みが持てば、業績を上げたということで多額の報酬を得ることも出来たでしょ う。番組内では、GMACでこの仕組みを開発した人が登場していました。現在はこの問題にからんで会社を解雇されていましたが、それまでには相当の報酬を受け取ったと思います。私が予想するに、彼は最低でも年間数千万円、あるいは億単位の給与はあったでしょう。恐らく最初からその人は、いずれは破綻することがわかっていたのだと思います。ある意味、詐欺のようなものです。

 そんなわけで、アメリカの一時期1600万台を超える年間販売台数は、このような最初から返す目処のない信用供与によって無理やり膨らまされて いたということです。適正水準がいくらかわかりませんが、今までの需要を先取りした反動も出るでしょうから、かなり減少することは間違いありません。来年の2009年の市場規模は、ピーク時より4割近く減少した1000万台くらいを予測する専門家もいるようです。
 今はローンの審査が厳格化されているが、もっとローン審査が通るようになり、かつてのような信用供与が出来れば自動車販売は回復するという専門家がいます。しかしサブプライムの実態が判明しているなか、今後はもうこのような詐欺まがいのローンを組むことは出来ないでしょう。例え景気が回復しても、ローンの問題を考えれば、かつてのような1600万台という年間販売台数は適正とは言えません。結局、販売した車を、ローン未払いで没収しなければならなくなるだけです。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2009年2月 2日 (月)

格差を生む社会は負の連鎖を生む

 去年、「ウォルマートに呑みこまれる世界」という本を読みました。安売りで知られ、世界最大の小売業であるウォルマートが、社会に与える影響について書かれた本です。取引継続のために常に値下げを始めとする厳しい要求を突きつけられる納入業者、ウォルマートに対抗出来ずに消えていく地元の商店街、ウォルマート側から見て都合のいい供与・勤務条件しか受けられない従業員。そしてその強大な力についていくことが出来ず、破滅への道を進む多くの商品製造会社や町、あるいは貧困すれすれのラインで生活する従業員。ビジネス的視点においてウォルマートについて書かれた本は多い。しかしこの本はその意味でちょっと異なります。
 ウォルマートは買い物客に安く商品を提供し、社会に多大な貢献もしました。しかしその一方で、ウォルマートの成功は、納入業者や従業員に対する大きな負担の上に築かれたものでした。ウォルマートの出店した周辺では失業者が増え、多くの従業員の生活も楽ではありません。ほんの一部の地位の高いものだけが、良い待遇を受けられます。強いものがその力を利用して弱いものを自由に支配する。弱いものはその力に逆らう術を持たず、支配を甘受せざる得ない。ウォルマートは格差社会を作り上げる原動力の一部であるという見方をすることも可能です。
 別にこれはウォルマートに限ったことではありません。ウォルマートに認められて商品を販売する機会を得て、大きな成功を実現したものもいます。ウォルマートが悪の権現だという気はさらさらありません。しかし同じように大学を出ても、投資銀行で働き30歳程度で数千万円の年収を得るものが一方、努力をしても死ぬまで1/10以下の年収で事務員として働かざる得ないものがいる。アメリカは確かにチャンスのある国です。アメリカン・ドリームをかなえたものは数多くいるでしょう。しかしながら同時に、アメリカはちょっとした差でチャンスを掴めなかった者に対して、非常に厳しい国でもあると感じるのです。そしてそのようなものが大部分を占めているのが現実ではないでしょうか。
 アメリカは誰でもチャンスがあるといいます。でも実際はそうでもありません。例えばスラム街の貧乏な家庭で生まれ、十分な教育を受けにくいけど悪への誘惑には不足したことがない環境で育った者に、将来の希望はあまり持てそうにありません。確かにその環境でも本人が猛烈に勉強したり努力すれば、成功への道は開かれています。しかしそれは現実的には難しい。かくして富める者はさらに富み、貧しいものは貧しいままの連鎖が続いていくのです。

 日本でも格差社会というものが進んできています。かつての私は、能力のあるものや努力をするものが大きな社会的報酬を得ることは当然であると思っていました。今でもある程度そう思っています。しかし最近の傾向はもしかすると行き過ぎなのかもと思うのです。正社員を雇わない企業が増えた結果、労働者は不安定な地位に甘んじざる得ない。人件費の調整弁として、自由にいつでも派遣従業員を雇い或いは期間満了とともにさよならを告げる。短期的に見て、雇用調整によって会社の利益率を変更することが出来るのは、会社にとって便利なことです。
 しかしこれはバブル崩壊以後不景気が長かった日本において、人を雇う側という立場と力を持った会社にとって、一方的に都合のいい制度のように少々感じます。正社員になって頑張って働きたいという希望を持ったものがいても、そのための道があまり開かれていません。悪い待遇ですごく一生懸命働いても、どうしても貧乏から抜け出せないなままの人がいます。
 私は市場原理主義がそれほど嫌いではないし、少なくとも資本主義が好きです。社会主義・共産主義では世の中はうまくいきはしないと信じています。だがある程度の規制を設けないと、明治から昭和初期のように資本家だけが富める社会になり、社会不安が増大していくのではという危惧を持っています。特にこのようなひどい経済状況では、末端の労働者にもある程度の希望と機会を与えるような舵取りが必要とされると思います。長期的にみて、格差の大きくない社会は安定した消費者と優秀な労働者を供給することとなり、企業側にとっても悪くない話でしょう。

ウォルマートに呑みこまれる世界 「いつも低価格」の裏側で何が起きているのか [本] ウォルマートに呑みこまれる世界 「いつも低価格」の裏側で何が起きているのか [本]
販売元:セブンアンドワイ ヤフー店
セブンアンドワイ ヤフー店で詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

消費者の地位の不安定さが、車への興味を失わせる

  物が売れないと言われている時代です。よく取り上げられる代表が自動車です。人々は自動車購入に最早強い興味を持とうとしません。

 今回は日経ビジネス・オンラインに面白い記事がありました。記事には車が売れない理由として「若年層は、生まれた時から大体家庭にクルマがあり、すでに日用品化しているクルマから得る感動が少ない」「携帯電話という新たな消費品目が定着した」「自動車メーカーが魅力ある商品や使い方を提供しきれていない」がまず挙げ られています。以上のような理由とは別に、将来に希望が持てないしお金がないから買えないということを主に述べています。また記事では、給与所得者数の変化を挙げています。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20090109/182410/  

図、20~24歳の給与所得者数と人口の推移

http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20090126/183820/

図表、パート労働比率(20~24歳)と大学進学率の推移

 データは、若年給与所得者数の減少傾向を示しています。車はかなり値段のはる高い買い物です。多くの人はローンを使って買うでしょうが、正社員でなければローンを組むことは出来ません。また現金を貯蓄するにも、安定した給与がなければ簡単ではありません。仮に十分な貯蓄があったとしても、地位が不安定で将来に希望が持てないものが、高額の買い物をすることは簡単ではありません。車を買うよりも、将来のため・何かのために準備して貯金を置いておくということになるでしょう。昔のように、学校を卒業してすぐにローンを組み、学生時代から憧れていた欲しかった車を買うということが出来にくい世の中になっています。

 私の友人の30代男性のインド人は、車にあまり興味がなく、車のことについて殆ど知識がありません。「普通20-30代の男ならば車に興味があるものだろうし、車雑誌くらい読んだりするものではないのか」と彼に言った事があります。しかし彼はこう言いました。「自分は本当に貧乏な田舎で育った。だから車を買うなんてことは、全く現実味のないことだった。現実に買える見込みがないのに、どうして興味が持てるんだ?」
 今の車に興味を持てなくなった人達にも、似たようなことが言えるのかもしれません。生活は楽ではない、将来もどうなるかわからない。しかも幸い日本では公共交通機関が発達しており、都市部では無理して買う必要性がない。そんな中で、無理して買う必要性のないものに、どうして興味を持たなくてはいけないのかと。物心ついたときには景気の悪いニュースばかりが流れ、不安な社会情勢の中で成長。そして就職したときにも実際に苦しい生活が待っていた。そのような中で、多額の出費を伴うものに強い関心を持てないのも理解出来ます。

 幸い車がなくても、周りから馬鹿にされることもありません。周りもそのような環境で育った人達ですから。車が乗る人の地位を表したり、見栄を張るための道具であったりする時代ではないのです。どうしても車が必要な人でも、安くて燃費の良い小型車で十分。また車がない人が車が必要なときには、車を持っている人に頼むとかレンターカーを借りるという、実に現実的な道具としての利用法があるのです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月23日 (金)

フィアット、クライスラーと提携

 イタリアの大手自動車会社のフィアットが、アメリカのクライスラーとの資本提携するというニュースが出ています。フィアットはクライスラーの35%を小型車の技術支援と引き換えに取得、その後55%まで取得する権利まで持っているということです。

 フィアットはイタリア最大の財閥であり、度重なる合併の結果、フェラーリ、マセラティ、ランチャ、アルファロメオ、フィアットというブランドを持っています。欧州ではフォルクスワーゲン、プジョー・シトロエン、ルノーと並ぶ自動車会社の大手です。小型車を得意としていますが、ランチャ、アルファロメオといったちょっと値段の高めの中型者などもそれなりの販売台数があります。欧州が一番強いですが、南米等でも製造をしているようです。
 クライスラーは北米ビッグ3の一つで、ミニバン・SUVに強みがあります。セダンや小型車のラインアップも豊富ですが、残念ながらその分野ではあまり競争力があるとは言えないようです。北米がもちろん強く、南米にも進出しています。しかし世界展開では出遅れています。
 まとめると、北米に進出したい小型車・ちょっと高級な中型車メーカーと、アメリカに強い大型車を得意とするメーカーです。これだけをみると悪くない組み合わせです。しかしながら、クライスラーはダイムラーとの合併でも理想的組み合わせと言われていました。それが見事に失敗しているのですから、あまりあてにはなりません。

 それではフィアットにはこの赤字製造会社との提携で何が得られるのでしょうか。
 現在、世界最大の自動車市場である北米において、フィアットの主力ブランド車は販売されていません。ダスティン・ホフマンの出世作となった映画「卒業」では、彼はアルファロメオのスパイダーを乗り回していました。しかしかつてのイタリア車の品質は非常に低くて顧客を満足させることができず、結局販売不振で北米販売から撤退することになります。フェラーリとマセラティという高級車は販売されていますが、その価格ゆえに販売台数は非常に限定されています。
 昔、個人的にはフィアットのレガータという車を運転したことがあります。恐らく製造されたのは80年代の車です。しかしながら、まるでトラックを運転しているかのような性能の悪さと、オーナーから聞いた故障履歴には驚いたものです。これはイタリア車の販売不振もやむをえないだろうと納得しました。アメリカに住んでいたとき、ダスティン・ホフマンと同モデルのアルファロメオのスパイダーを見たことがあります。恐らく40年近い古いものですが、それがアメリカで見た唯一のアルファロメオでした。
 フィアットはかねてからアルファロメオ車で北米市場に再参入する意思があることが幾度も報道されています。日本車ほどではないにしても、現在のフィアット車は過去に比べて大幅に品質が向上しており、またデザイン・性能ともに魅力のあるものになっています。世界最大の市場でもっと数を売りたいというのは、フィアットグループにとっても悲願でしょう。

 この提携によって、フィアットはクライスラーの拠点をそのまま使うことができます。2008年12月のクライスラーは、販売台数が前年同期比で約半分となっており、工場等の施設稼働率が下がっています。この工場を使って製造すれば、北米再進出のための膨大な初期投資を抑えることができます。
 さらにクライスラーの販売拠点をそのまま使うことができます。ビッグ3系自動車ディーラーは、販売不振によって経営が行き詰っています。元々アメリカ車のディーラーは、販売台数に比べて数が多過ぎて、過当競争にあったと言われています。クライスラー系のディーラー網を使えば、比較的簡単に全米にアルファロメオをはじめとするフィアット車を販売する体制が築けます。
 しかもこの提携によってフィアットがクライスラーの株式を取得するにあたり、フィアット側の支出はありません。クライスラー側に小型車の技術を供与するだけです。ニュースの伝えるところの契約だと、既にある開発済みの技術を提供するだけで、製造拠点と販売網が手に入ります。フィアット車製造のための最低限の投資はいるとはいうものの、事実上無料です。最悪クライスラーが倒産したとしても、元々無料で仕入れた株券ですから減損処理をする必要はありません。たとえ倒産したとしても、必要な工場や販売網だけを本体から切り離して手元に残すことも可能です。またもしもクライスラーが再生すれば、莫大な利益を手に入れることも可能です。その可能性は低いですが、アメリカ政府の支援と良い再生計画があれば、全く無い話ではありません。

 一方のクライスラー側としては、提携先が現れたということ自体が大事です。巨額の累積赤字に加えて、全く将来の再建の計画すら立たない現状において、これは大きな前進です。記事によると、両社の合併効果は30億~40億ドルだそうです。北米でフィアット車が製造・販売されれば、費用ばかりかかっているクライスラーの施設が有効利用されることになります。それに加えて、フィアット社の持つ小型車の設計・製造の技術が手に入ります。クライスラーの株式の35%を無償譲渡するとはいえ、既にクライスラーの株価なんてゼロです。実際にクライスラーの株式約20%を保有するダイムラーは、クライスラー株の評価額をゼロにしています。ゼロ評価の株式をもって、代わりに小型車の技術や製造の注文が入るということです。
 そうはいっても、提携したからといって早急に小型車が開発・製造できるものでもないでしょう。またそれが利益に貢献してくるのはさらに後になってからです。やはり提携による改革・再生案がうまく機能しない限り、延命策にしかならないかもしれません。
 問題なのは、クライスラー側にはあまり選択肢がないことです。クライスラーの赤字を考えれば、他社がクライスラーと合併するとか株式を有料で買い取るということは考えにくい。他社から見れば、クライスラーのために金を払うくらいならば、クライスラーが倒産するまで待ってもいいわけです。クライスラー側に有利な交渉がまとまることはなかったでしょう。

 それでこの提携話はうまくいくのでしょうか。やはりフィアットに一方的に有利な提携に思えます。フィアットには、フィアット車を北米で売るための努力しかしないという選択肢もあるわけです。フィアットは、クライスラーが倒産してもあまり懐が痛みません。それでもフィアットはクライスラーの再生のために、危険を冒して多額の投資をするでしょうか。政府の動きもどうなるかわかりませんし、フィアットの計画もまだよくわかりません。だがクライスラーの行く末は、この提携だけではまだまだ不安だと思います。



フィアット・クライスラー提携…アルファロメオの北米参入など検討

http://autos.goo.ne.jp/news/industry/article_119328.html

フィアットとクライスラーグループは、戦略的提携を締結、フィアットのプラットフォームを使って、クライスラーの小型車の開発やクライスラーの米国工場で、フィアットグループのアルファロメオの生産を検討する。

戦略的提携は、フィアット、クライスラーとクライスラーの筆頭株主であるサーベラス・キャピタル・マネジメントの3社で合意した。フィアットはクライスラーの株式35%を無償で取得するほか、オプションで20%の株式を取得する権利を持つ。

提携によってクライスラーは、フィアットの小型車用のプラットフォームやエンジンを活用して小型車を開発するほか、フィアットの販売店を活用して欧州で販 売ネットワークを構築する。また、フィアットは、稼働率が悪化しているクライスラーの米国工場で、アルファロメオを生産し、アルファロメオの北米市場参入 を果たすことなどを検討する。

フィアットは一時期業績悪化が深刻化したものの、GMとの資本提携解消後、経営再建に乗り出し、これに成功した。クライスラーの経営再建のサポートも検討する。提携の実現には、米国財務省を含む監督機関のデュディリジェンスと承認が必要だ。

フィアットグループのセルジオ・マルキオンネCEOは、「この提携は急速に変化する自動車業界において画期的で、フィアットとクライスラーがその世界的な 流れの中で重要な役割を担い続けようとする意欲と決意の表れ。この合意で両社は関連性の高い自動車市場への参入が可能となり、フィアットが世界の牽引役と して知られる革新的な環境対応型の製品分野で製品を提供し、より高いコスト相乗効果を享受できる。この関係は、フィアットが過去5年間、提携先の成長や増 産を支援するために主要な自動車メーカーやサプライヤーと構築してきた業務提携や協力関係に続くもの」とコメント。

また、クライスラーのロバート・ナルデリ会長兼CEOは「フィアットとの提携により、強力な世界的競合企業となる可能性を秘めている。クライスラーの現在 の製品ラインナップを補う製品や北米外での販売網を活用でき、設計、エンジニアリング、製造、購買、マーケティングにおけるコスト削減など、数多くの戦略 的メリットをクライスラーにもたらすもの」としている。

さらに全米自動車労働組合(UAW)のロン・ゲトルフィンガー委員長は「UAWのクライスラー・チームにとって素晴らしいニュース。クライスラーの長期的存続に向け、UAWは支援、協力を惜しまない」とコメントしている。(22日 14:41)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月11日 (日)

ガソリン下落でも軽油は高い

 原油価格の下落に伴いガソリン価格が下落しています。このまえ友人と会った時、そんな話をしました。そしてガソリンと軽油価格の差についての話になりました。

 かつて日本では軽油は安く、ガソリンと軽油には20円くらいの価格差がありました。しかしガソリンと軽油は、原油から精製する際のコストに差はありません。価格差はほぼガソリンと軽油にかかる税金の差でした。

ガソリン
揮発油税 48円60銭、地方道路税 5円20銭、計53円80銭
軽油税
軽油引取税 32円10銭

 軽油を燃料とする燃費の良いディーゼルエンジンを普及させるため、トラック・バスなど物流にかかるコストを下げるため、物流業界からロビー活動があったから、といったような理由が言われています。真実はわかりませんが、どちらにしろ政治的判断みたいです。

 でも今は両者の小売価格には殆ど差がありません。これは税金を除いた軽油価格が、ガソリン価格よりも高いことを意味します。なんでこんなことに なるのかというと、これまた色んな理由があります。しかし根本的には、ガソリンの需要はたいしたことないけれど、軽油の需要は大きいということです。人気があって需要が大きいから、価格が上がっているのです。既に欧州では販売されている車の半数がディーゼルです。欧州のディーゼルエンジンは大変進化しており、出力・静粛性・環境性能含めて非常にいいです。私も体験 しましたが、言われなければディーゼルだと気がつかないくらいです。かつてのように、エンジンをかけた途端に大きな振動とガラガラという音と黒煙を吐き出 すようなことはありません。そんなわけで今までより大量の軽油が消費されています。だから大量の軽油が輸出され、その量は増加し続けているようです。

輸出入量(2006年度)  (単位:千kl)
          生産   輸入    輸出    国内販売
ガソリン     57,678  2,261     317     60,552
軽油       40,574   247    4,950     36,605
(データは下記ウェブより)

 今まではディーゼルエンジンは燃費が良いからという理由で買われていました。しかしこれだけ軽油の価格が高くなってくると、ディーゼルの持って いた優位性が一つ失われています。既に欧州では軽油価格がガソリンよりも高くなっているみたいです。元々ディーゼル車はガソリン車よりも価格が高いので、 燃料代の安さでトータルコストを抑えるということがより難しくなってきました。ディーゼル車の普及を戦略的に進めてきた欧州勢には不利なニュースです。

詳しくは

http://www.eneos.co.jp/binran/part02/chapter04/section03.html

1. 製品輸出入の現状

 我が国の石油政策は従来から消費地精製主義を基本としてきたため、精製設備は国内需要の最大規模に見合う能力の確保を前提に整備されてきた。その ため、石油製品の輸出入は、石化原料用のナフサ等の一部の油種を例外として、主として需要の季節変動や気象変化、景気変動等による需給ギャップを調整する ために行われてきた。

 規制緩和後は製品の輸出入も増加してきているが、現状は国内生産量および需要量(国内販売量)に対し小規模にとどまっている。表 2-4-5 は2006年度における主要石油製品の生産、輸出入量および国内販売実績を示したものである。

表 2-4-5 石油製品の生産・輸出入量(2006年度)
(単位:千kl)
生産 輸入 輸出 国内販売
ガソリン 57,678 2,261 317 60,552
ナフサ 21,827 28,855 23 50,078
ジェット燃料 13,318 99 7,887 5,453
灯油 24,718 560 499 24,498
軽油 40,574 247 4,950 36,605
A重油 24,327 79 165 23,961
C重油 31,876 3,169 9,409 22,696
合計 214,317 35,270 23,250 223,843
出所:資源・エネルギー統計より作成

 輸入量の過半をナフサが占めており、国内販売量の約60%が輸入ナフサであることが特徴的である。ナフサは大部分が石油化学の原料として使用され ており、厳しい価格競争が展開されている内外の石化製品市場に対し、低廉な輸入品によりコスト競争力を高めるとともに原料の確保を図っている。

 ジェット燃料やC重油において比較的高い輸出実績が示されているが、この内の大部分は、日本国内において外国航空機や外国船舶に対して供給された燃料油(輸出扱い)によるものである。また軽油の輸出は近年増加しているが、今後の動向も含めて次項で述べる。


2. 製品輸出入の今後の見通し

 我が国の石油製品の国内需要は緩やかな減少傾向にあり、さらには国内の人口減少もあって長期的に精製設備能力は余剰となるため、石油各社は更なる 設備の集約化を検討するほか、燃料供給の多様性を維持する企業努力として余剰設備の有効利用を図り、設備稼働率の低下による製造コスト上昇を回避すべく、 各種石油製品の輸出を積極的に行う道も模索している。

 今後、世界的な環境対応として急速に低硫黄化が進むと思われるガソリンおよび軽油の輸出増加が期待されている。日本のガソリン、軽油は世界に先駆 けて既にサルファーフリー(硫黄分が10質量ppm以下)を達成しており、特に軽油は品質面での優位性から、表 2-4-6 に示すように、北米、欧州、オーストラリア向けを中心に急速に輸出量を伸ばしてきている。

表 2-4-6 軽油輸出先および輸出量の推移
(単位:千KL)
輸出先 2004年度 2005年度 2006年度
アジア 1,121 1,275 905
米国 0 451 1,710
欧州 0 855 977
オーストラリア 191 919 801
その他地域 213 587 557
合計 1,525 4,087 4,950
出所:資源・エネルギー統計より作成

 現在、欧州全体では約3,000万KL/年の軽油が不足しており、世界各地からの輸入で対応しているが、2009年にはEU(欧州連合)加盟国を 中心に軽油のサルファーフリーへの移行が見込まれることから、既に環境対応が可能な品質の軽油として、日本からの輸出が大幅に増加する可能性も考えられ る。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月 5日 (月)

派遣切り報道

 派遣社員の首切り問題がよく話題になります。経済の急速な悪化によって真っ先に職を失うのは、このような派遣社員になります。そして企業が悪者扱いされ、職を失った派遣社員は同情を集めています。

 しかしそもそも最初から派遣社員とは、仕事のないときに職を簡単に失うような立場なのです。企業は仕事がなくなったときに簡単に人員調整をするために、正社員ではなくて派遣社員を雇用しています。派遣社員になるものは、最初からそれを理解した上で派遣社員になっているはずですし、なっていなければなりません。それが嫌ならば、努力して正社員になっておけばよいのです。
 テレビのニュースを見ていると、派遣期間が終了していないのに一方的に契約を解除するのは法律違反であるみたいなことを、ある弁護士が言って いました。私は法律問題はそれほど知りませんが、多分それはそうなのでしょうし、解雇するにしてもある程度の事前通告や補償金がいるでしょう。でも正社員でも正当な理由があれば事前に通告して解雇することは可能です。 派遣社員はそうされるであろうことを最初から覚悟し、それに対して準備をしておかなければなりません。
 そもそもずっと長期間派遣社員をやっておきながら、急に解雇されても行くところがない、住むところがないというのはおかしな話です。安いなりにも給料を貰っているのだから、多くの派遣社員はその気になれば少なくともいくらかの貯金は出来たはずです。20万円の月収があったならば、10万円以上貯金すれば1年で120万円貯まります。アパートを借りてゆっくり職探しするくらいの余裕はあるはずです。
 それが出来てないというのは、リスクをとって自分のために無駄遣いをし続けたということです。飲みにいったりとか、パチンコに行ったりとか、 買う必要のない服を買ったりとか、趣味に使ったとか、本来ならば我慢すべきことをしてこなかったゆえの結果なのです。私も昔、そのような金遣いをしている 派遣社員やフリーターの人達を何人も直接見てきました。貯金があれば安アパートを探すことは出来たでしょうし、その間に次の職を探すことも出来たでしょ う。しかし彼らは自己責任で「貯金をしない」ことを選択したのですから、本来ならば自己責任で危機を乗り越えなければなりません。税金を使ったり公共機関が彼らを救う必要はない。結局それは最終的に、まともに働いている国民への負担となる。

 そうはいってみても、理屈通りにはいかないのが現実です。自分の収入にあった生活を営み、将来への計画性がある人は、最初から貯金もないまま派 遣社員を続けてはいません。今更彼らに正論を説いても、問題は解決しません。また、やむをえない事情のあった人もいるでしょうし、そういう人を一人一人判別することは出来ません。結局のところ、彼らを救済する必要があります。
 彼らを救済するべき理由としては、社会不安が増えるということです。自己責任であるとはいえ、それを理解せずに犯罪に走る人はどうしても出て きます。仕事がなくなれば犯罪者が増えるというのは、世界共通の現象です。治安の悪化によって被害を受けるのも、多くの場合は一般の国民です。一般国民は 自分達が被害に会ったり、安全のための負担増を防ぐための予防措置への負担として、彼らを救済するほうがいい。そうでなければ町の一部がスラム化しかねません。



「派遣契約切られた」六本木ヒルズで男が刃物振り回す

12月31日1時18分配信 読売新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081231-00000002-yom-soci

30日午後8時30分ごろ、東京都港区六本木の六本木ヒルズの付近を、刃物を持った男がうろついていると、通行人から警視庁麻布署に届け出があった。

 同署員が駆けつけたところ、男は六本木ヒルズの正面玄関付近で、「刺すぞ。この野郎」などと叫び、刃物を振り回したことから、同署組織犯罪対策課の男性 巡査部長(35)が上空に1発を威嚇発砲し、男を銃刀法違反と公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕した。男は逮捕される前、「派遣社員の契約を切られた」など と叫んでいたという。

 逮捕された男は、杉並区天沼3、自称無職椎名賢次容疑者(28)。同署副署長によると、椎名容疑者は同8時35分ごろ、六本木ヒルズの正面玄関近くで、洋包丁(刃体約16センチ)を所持していた疑い。椎名容疑者は威嚇発砲の後、包丁を地面に置いたという。

 現場は、地下鉄六本木駅近くの広場付近。年末ということもあり、買い物客らが多数行き交っていた。

 映画を見に来たという30歳代の女性は、広場のそばにある映画館の前で、パーンという銃声のような音を聞いた。何人かが広場の方から逃げるように走って きたといい、広場の方へ歩いて行くと、男性が取り押さえられ、わめいていたという。女性は「映画のロケかと思った」と、驚いた様子だった。同署の阿多孝治 署長は「適正な執行と考えている」とコメントしている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月 2日 (金)

日本の食料自給率の向上は意味があることなのか

 最近は日本の食料自給率を向上させるべきだという報道がよくされます。日本の食料自給率は最低レベルです。実際、政府も現在約40%の自給率を、10年後を目処に50%に引き上げたい意向を持っているようです。では食料自給率を上げることは何故必要なのでしょうか。

 現在は数々の問題によって、食料の増産に対する限界が囁かれています。有効な耕地を開拓するには限度があります。肥料や品種改良、機械化によって大幅に向上してきた面積辺りの収穫量にも、今後は以前のような効率化を出来ないとも言われます。さらに環境問題によって、一部の農地はかつてのような収穫が出来なくなるという説があります。それにもかかわらず、人口は増え続けています。さらに発展途上国の人々が、肉といった、より手間のかかるものを食べるようになってきています。近年のバイオエタノール生産の増加は、本来食料であるものを燃料として消費するため、実質的な食料の消費増となっています。食料の供給は限られているのに、消費量は増加するということです。
 これは将来の食糧危機を示しており、食料自給率の低い日本にとっては危機的状況に見えます。実際、冷戦時代にアメリカはソ連に対する食料輸出を外交カードとして使用したと言われます。冷戦下でソ連はアメリカの最大のお得意様でした。アメリカは戦争などしなくても、食料輸出を止めるだけでソ連を屈服させられたということです。もし世界が日本に食料を売ってくれなくなれば、単純な計算上は40%の国民しか生き残れないことになります。もし食糧危機が起きたとき、あるいは戦争その他何かの大きな出来事が起きて日本に食料の供給がなくなったとき、日本はこのままの食糧自給率では大変なことになる。

 でも本当にそうでしょうか。日本は食料自給率を上げることで、そのような危機を回避することが出来るのでしょうか。しかもたかだか40%が50%になることに、大きな意味があるのでしょうか。
 私はそうは思いません。例えば食料の生産には、肥料を使うことが欠かせません。しかし日本はそれを大きく海外に頼っています。輸入肥料がなくなれば、40%の自給率は20%に低下するという試算もあります。さらに決定的なことは石油です。石油を使わなければ、トラクターもコンバインも動かないのです。鍬を使った手作業で田畑を耕し食料自給率を上げることが出来るわけがない。そして石油の殆どは輸入しているのです。
 肥料や石油を大量に海外から輸入しておいて国内の自給率を上げたところで、日本にいったいどのような利益があるのか。休耕田を再利用し農業従事者を増やして食料の自給率が上がったように見えても、肥料や石油の輸入が止まった途端に自給率は暴落します。既に輸入しておいた数か月分の在庫の肥料や石油がなくなれば、途端に日本は飢餓状態になります。例え日本が食料自給率100%を達成したとしても、そんなものは幻に過ぎません。
 基本的に資源のない日本は、常に海外から物資を輸入しなければ、国体を維持できないということを忘れてはいけません。そのためには日本は強みのある製造業・サービス業を発展させて外貨を稼ぎ、海外の国家と良好な関係を築き、食料・物資を安定的に輸入出来る体制を維持することに力を注がなければなりません。

 そもそも自給率が下がったのは何故なのか。原因の一つは、日本の農業に国際競争力がないということです。多くの規制に縛られ、大量の小規模農家ばかりが存在し、儲からないビジネスです。第二次大戦後、小作農を解放し封建的社会を解消したという意味において、かつての規制と大量の小規模農家の存在は意味がありました。しかし時代は変わりました。地主から小作農を解放し、自立した生活が出来る人々を作るという時代では最早ありません。これからの農業は、国際的競争力を高めて儲かるビジネスとして自立できる産業になるべきです。そのための規制緩和といった農業改革には大いに賛成します。
 しかしそれは自給率を上げることと混同されてはなりません。自給率を上げるために、他から予算を取ってきて助成金をばら撒いて自給率を上げても意味がありません。それは名目の自給率を上げるために、他の産業の競争力を削ぐことに過ぎません。日本の農業は大規模に改革されるべきです。しかしそれは強い魅力のある産業になるよう、規制緩和によってチャンスを与えつつも厳しい競争に直面するようになるべきです。それがうまくいけば、結果として自給率が上がることもあるでしょう。

 それでも日本が物資の輸入なしで食料の生産が出来ないという構図に、何ら変化はありません。では何故食料の自給率にこんなに注目が集まっているのか。
 詳しく調べたわけではありませんが、農水省の権益保護のためではないでしょうか。彼らも本当は肥料・石油の輸入なしで食料の生産が出来ないのはわかっているはずです。食料自給率の低さを理由に危機感を煽れば、農水省やその他農業関連の権力者は予算を獲得出来ます。それは彼らの新たな権力の獲得に過ぎません。食料自給率の上昇によって最も得するのは彼らであり、国民全体のためではない。食料自給率の問題の裏には、どうもそのような意図が隠されているように思えます。


食料自給率10年後に50% 米粉生産50倍、小麦倍増

12/02 22:36

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/201050/

 石破茂農水相は2日、閣議後の記者会見で、現在40%の食料自給率を約10年後に50%に引き上げる政府目標を達成するための工程表を発表した。コメ消費の拡大と小麦増産が柱。農林水産省は来年の通常国会に、企業の農地賃借規制の緩和で、耕作放棄地など未利用地の有効活用を図り、自給率向上を目指す農地法改正案を提出する方針だ。

 コメ消費拡大に向けての具体策としては、パンなどに新規需要が広がりつつある米粉の生産量を、平成19年度の1万トンから50万トンへと、50倍に拡大する。新規需要米に具体的な目標を政府が示したのは初めて。

  このほか、国際的に高騰したトウモロコシの代替として期待される飼料米の生産は、19年度のゼロから26万トンに拡大、小麦生産も裏作を促して91万トン から180万トンにほぼ倍増させる。大豆も23万トンから50万トンに拡大を図る。このほか、牛乳・乳製品の増産も盛り込んだ。

店頭から国産野菜が消える?
米・中が肥料の輸出を実質禁止

http://diamond.jp/series/inside/06_14_004/

 国産の野菜がスーパーの店頭から消える可能性が出てきた。

 化学肥料の原料であるリン鉱石の世界最大規模の輸出国である中国が実質的な禁輸措置に踏み切ったのだ。

 今年4月、中国は化学肥料の輸出関税を100%と大幅に引き上げ、翌5月にはリン鉱石の関税も100%に引き上げた。

 13億人という世界最大の人口を養うべく自国の農業向けにリン鉱石を活用するように方針を変更したためで、実質的には禁輸措置に近い。

 肥料の3大要素といえばリン、窒素、カリウム。この3つがなければ日本の農業は成立しない。にもかかわらず、日本はリン鉱石の全量を輸入に頼っており、その多くを中国に依存。もともと、危うい立場にあった。

 国際的な資源獲得競争のなかで、日本では原油や食料価格の高騰ばかりに目が向いているが、国際的には肥料も同じように重要視されている。

「米国地質調査所が戦略的物質として位置づけた8つの資源のうち、6つは金や銅などのメタルだが、残り2つは肥料に必要なリン鉱石とカリウム」と、資源問題に詳しいジャーナリストの谷口正次氏は説明する。

 中国に限らず、中国に並ぶ世界最大のリン鉱石の生産国である米国はすでに輸出を禁止している。ロシアなどでも産出されるが、国際的に品薄状態が続いており、すでにリン鉱石、窒素、カリウムは、ここ数年で2~5倍も価格が上昇している。

 今後、さらに入手困難になれば、中国や米国以外の国も自国の農業のために禁輸措置に動く可能性もある。そうなれば、日本の農業は窮地に立たされる。

 40%以下と先進国のなかで最悪の食料自給率を少しでも高めようと、農林水産省は、後継者不足の解消、減反政策の見直し、企業への農業の開放などさまざまな政策を打ち出そうとしている。だが、肥料がなければ国内農業生産増大は望むべくもない。

 中国産ギョーザに農薬が混入されていた事件以降、安全性を気にする消費者のあいだでは国産の食品に対する人気が高まっていた。

 しかし、中国からの肥料がなければ、食べるもの自体がなくなるかもしれない。それが日本の現状なのだ。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 清水量介)

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2008年12月21日 (日)

ビッグ3はUAW(全米自動車労組)と手を切る機会

 アメリカの自動車産業の中でも、アメリカ資本であるビッグ3の競争力が低い原因の一つに挙げられるものがUAW(全米自動車労組)です。非常に強い力を持ち、会社とは敵対的関係を持つ攻撃的組織として知られています。会社からいかに金や良い条件を引き出すかばかりを考えていて、会社と共に発展しようという視点を欠いています。常に短期的な視点で会社に多くの要求をし、それが通らなければストライキをちらつかして脅しをかける。
 逆に協調的関係を持っているのが日本の労働組合です。日本的経営の強みを考えるときに、長期雇用(終身雇用)・年功序列と並んで三種の神器と通称されるものの一つです。労働組合は会社に多くの待遇を要求しない代わりに、企業は簡単に労働者を解雇したりしない。結果として企業は労働組合との交渉・対決に力をあまり注ぐことがなくなり、競争力が上がります。それによって会社の規模・業績は拡大し、その恩恵が従業員にもまわってくるという、Win-Winの関係を築きます。
 簡単に言うと、アメリカの労働組合のやり方は短期的利益を追求し、ゼロサム・ゲームの中で相手からいかにより金を分捕るか。これに対して日本では、長期的視点から双方にとっていかに最大の利益を追求するか。言い換えると、アメリカの労働組合は会社から今1ドルを分捕ることばかりを考えている。その結果として会社の競争力がなくなり、将来自分が2ドル失うかもなんて最初から考えない。日本では今会社から100円を無理にもらうことを考えない。その代わりに将来会社が300円儲かったときに、その利益を分配してもらって150円もらうことを考える。そんな感じでしょうか。

 記事によると、GMの従業員の賃金は時給78.21ドルとトヨタよりも4割近く高いそうです。しかしこれは医療費・年金などの負担を含んでおり、実際のGMのベテラン労働者の平均時給は28.12ドル。GMの福利厚生の負担見込み額は56億ドルで、この額を生産する自動車一台当たりでみると、 GMは約1,500ドルになります。当然それは販売する自動車の価格競争力を削ぎ、会社の利益を減少させます。ちなみにトヨタは一台あたり約200ドルだそうです。
 GMの再生のためには、UAWとの契約を見直し、この負担を無くす必要があります。会社が倒産しそうな今、UAWも強気ではいられないでしょう。契約を守ることを強く要求して会社が倒産したならば、契約自体も消滅するからです。

 しかしトヨタ・ホンダ・メルセデスといった、UAWと関係を持たないアメリカ国内の外国資本の自動車工場の労働者と比較すると、UAWの存在自体がやはりやっかいです。
 日本の労働者は年功序列制であり、実力での評価がされていないという意見があります。だがこれは間違いです。アメリカ国内でUAWの強い自動車工場こそ、実は年功序列制なのです。例えば昇進は、ある労働者が会社を辞めてポストが空いたとき、最も長く会社にいるものが自動的に昇進します。不況になって会社が労働者をレイオフ(一時解雇)するとき、最も会社に後に入った勤務年数の短い労働者からレイオフされます。仕事の能力や実力など全く関係ないのです。
 何故こんなことになるのかというと、強すぎるUAWとの交渉の結果です。UAWが人事に関しても強い力を持っているのです。仕事の能力や真面目さなど昇進には関係がありません。そうなるとどうなるか。もちろん労働者は真面目に働いたりなどする動機がありません。どんなに一生懸命に働いても、昇進するのは先輩労働者と決まっているのですから。逆に言えば、どんなに適当に不真面目でも、同じ給与・待遇が得られます。私が学生時代に調べたとき、工場での遅刻・喧嘩・飲酒・仕事中の飲食といった例がたくさん出てきました。中にはわざと車に傷をつけるようなことすらありました。そんな労働者でもポストが空くと昇進します。しかし企業はUAWのせいで労働者をクビにすることが出来ません。企業側に人事権がないのです。
 アメリカ国内の外資系企業はこれを知っていましたから、UAWと距離を置くために彼らの影響のない中南部に工場を建設したのです。そのためUAWの悪影響を受けるのはビッグ3ばかりとなりました。ビッグ3は今回の危機をUAWと交渉するための絶好の機会とし、全面的に関係を見直すべきです。


 

1. GMが2万5000人の大規模リストラへ

独立行政法人 労働政策研究・研修機構より
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2005_7/america_01.htm

 経営不振が続く米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)社は6月7日の株主総会で、2008年までに北米におけるいくつかの工場閉鎖と、北米GMの全従業員数の13.8%にあたる2万5000人の時間給労働者の人員削減を行うとする大規模なリストラ策を発表した。

  GMでは、工場閉鎖と、91年の7万4000人以来となる大規模な人員削減により、約25億ドルの年間コスト削減を見込んでいる。これに対し全米自動車労 組(UAW)幹部は、「規模縮小だけでは再建はおぼつかない」として、コスト削減を優先する経営側の姿勢をけん制。消費者ニーズに合った車の開発が先決と 反発している。(注1)

 そもそもGMの経営不振の背景には、1)日本車の攻勢などによる販売不振、2)従業員・退職者のための医療費負担の増大、3)レイオフした労働者への賃金支払い(注2)――があるとされる。このうち医療費負担に関し、GM側は07年まで有効の労働協約を前倒しで改定するよう組合側に迫っている。

医療費負担問題
 公的な保険制度を持ないアメリカでは、民間保険会社が販売する医療保険が中心となっている。GMは福利厚生の一環として、従業員・退職者の合計110万 人に対し、屈指の好条件で医療保険を提供していると言われ、今年の負担見込み額は56億ドルに上る。ちなみにこの額を生産する自動車一台当たりでみると、 GMは約1,500ドルで、トヨタの約200ドルを大きく上回る。ワゴナーGM会長はこの差異が両社の価格競争力に大きな影響をもたらしていると述べてい る。

揺れる労使関係
 GM側の説明によると、非組合従業員が医療費の約27%を負担しているのに比べ、組合従業員は約7%しか負担していないとして、この医療費負担の格差を 縮小させたい考えだ。UAWは協約の範囲内を条件に、医療費支出の削減に協力する姿勢を見せているが、協約の改定には応じない方針。現在、GMとUAWは 医療費の削減について集中的に協議を重ねているが、経営側が協約の一方的破棄の可能性についても言及しており、労使関係の悪化が懸念される。ちなみにGM は98年に54日間にわたるストライキにより、35億ドルに及ぶ損害をこうむった苦い経験がある。ウォールストリートジャーナル紙によると、この件につい て結論が出るのは、工場の夏季休業があける7月中旬になると見られる。


参考: 1米ドル=111.57円(※みずほ銀行ホームページ2005年7月5日現在のレート参考)
注1: 生 産量で全米2位のフォード社でも、6月下旬、売上予測の下方修正を受けて、人員削減の規模を予定より拡大するとの発表を行った。フォード社では、北米の工 場における生産ラインの定額給労働者の人員削減(1000人)を今年4月に発表したばかりであるが、今回、それに加えて定額給労働者の5%に当たる 1700人の人員削減案を発表した。
注2: レイオフ期間中は、賃金補償は行われないのが通例であるが、GMとUAWの間に結ばれた現行の協約では、時間給労働者は短期のレイオフ期間中にも給料や手当の大半を支給される。現協約が有効なうちは、雇用削減がコスト削減に結びつかないのが現状である。


GMの倒産を恐れるトヨタ 支援する際のネックは「時給7000円」の高賃金

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081213-00000000-sh_mon-bus_all

12月13日13時0分配信 MONEYzine

 自動車メーカー3社(ビッグスリー)に対する最大140億ドル(約1兆3000億円)のつなぎ融資を柱とする救済法案について米上院は11日夜、妥協案で合意に達せず、事実上、議会での救済法案をめぐる協議は打ち切りとなった。

 GMはつなぎ融資を受けなければ実際に破綻する危険性が高まるが、このまま破綻へ向かった場合に気になるのがその後の展開だ。トヨタ自動車など日本の自 動車メーカーにとってはビッグスリー(米自動車3大メーカー)にとってかわり北米でのシェアを大幅に広げるチャンスでもあるが、それ以上にデメリットも大 きい。なぜならビッグスリーと日本メーカーは同じ米国内の部品メーカーに依存しており、もしGMが破綻するようなことがあると同社の取引先の部品メーカー まで連鎖的に倒産してしまう可能性があるからだ。とくに米国依存の強いトヨタやホンダは深刻なダメージが懸念されている。

 またビッグスリーが破綻した場合には、その後の従業員の雇用など日本のメーカーに支援を求めてくることも予想される。たとえばトヨタがGMの工場や従業 員を丸ごと引き受けるような依頼もあるだろうが、トヨタも08年11月の米新車販売は前年同月比33.9%減と大幅に減少しており、自分のことで手いっぱ いの状況だ。

 とくにGMの従業員の高い賃金はトヨタにとっては頭の痛い問題。米自動車業界団体の調査によると年金や医療費負担も含んだGMの従業員の賃金は時給 78.21ドル(7000円)とトヨタよりも4割近く高い。金融危機と円高の影響で08年9月の連結中間決算では、北米の営業利益が米国会計基準を導入し た98年以来初めて実質赤字(346億円の損失)に転落し、かつてないほどの苦境にある今のトヨタに大量の従業員をGMから引き受ける余裕はないだろう。


GM offers buyouts to 74,000

Auto giant aims to replace much of U.S. workforce with lower-paid new hires, dangling $140,000 buyouts to UAW members to stem North American losses.

http://money.cnn.com/2008/02/12/news/companies/gm/index.htm

By Chris Isidore, CNNMoney.com senior writer

NEW YORK (CNNMoney.com) -- In an effort to shave ongoing losses, General Motors offered lucrative buyouts Tuesday to 74,000 employees - its entire U.S. hourly workforce.

The nation's largest automaker announced the latest round of buyouts as it reported another loss on its core auto operations in the fourth quarter, which combined with charges taken earlier in the year left GM (GM, Fortune 500) with a company-record $38.7 billion net loss for 2007.

To try to stem automotive losses that have dogged the company since 2005, the company is making a range of offers, up to cash payments of $140,000 to the remaining 74,000 GM workers represented by the United Auto Workers union.

The goal is not to reduce headcount but rather to bring in new workers at a lower cost.

About 46,000 of the GM employees are eligible to retire today and they can take pension incentives worth between $45,000 to $62,500 to retire.

In addition there are inducements for those who are within five years of retirement to leave early and receive benefits.

Those who leave and agree to sever all ties with the company - including giving up lucrative pension and health care coverage - will receive a lump sum of $140,000 if they have 10 years of service. They will receive $70,000 if they have less than 10 years of service.

"We've worked with our UAW partners to ensure our employees have a variety of attractive options to consider," GM Chairman and CEO Rick Wagoner said in a statement. "The special attrition program is an important initiative that will help us transform the workforce."

The savings GM is likely to see with this offer are substantial. The Center for Automotive Research estimates that by 2011 GM's hourly workforce will be only 8% smaller than current levels - but more than four out 10 of those workers will be new hires being paid a lower wage rate.

The current veteran UAW member at GM today has an average base wage of $28.12 an hour, but the cost of benefits, including pension and future retiree health care costs, nearly triples the cost to GM to $78.21, according to the Center for Automotive Research.

By comparison, new hires will be paid between $14 and $16.23 an hour. And even as they start to accumulate raises tied to seniority, the far less lucrative benefit package will limit GM's cost for those employees to $25.65 an hour.

Lucrative buyout packages are not new at GM (GM, Fortune 500) and rival U.S. automakers Ford Motor (F, Fortune 500) and Chrysler LLC. GM offered similar deals to all its U.S. workers in 2006. That package helped it pare U.S. hourly employment by nearly 40,000 in the past two years.

Ford and Chrysler also have the provision in their new contracts to pay new hires less in salary and benefits. But their workforces are not nearly as old as the UAW membership at GM, so they may end up seeing less turnover in their hourly staff.

Ford has its own buyout offer out to all its remaining 54,000 hourly U.S. workers. The proposal was announced last month when the company reported a fourth-quarter loss. Privately owned Chrysler has offered buyout packages to hourly employees at targeted plants, but has not make a companywide offer.

Fourth-quarter results

GM unveiled its latest cost-cutting moves as it reported a narrow profit of $46 million, or 8 cents a share, excluding special items, in the fourth quarter.

The adjusted earnings were far better than the loss of 54 cents a share that analysts surveyed by earnings tracker Thomson First Call had forecast, but worse than the year-ago result of a $180 million profit, or 32 cents a share.

But the profit in the most recent quarter was due primarily to a $1.6 billion tax benefit. GM would have otherwise lost about $2.75 a share in the period excluding items, although First Call and analysts are not likely to exclude that gain when comparing results to forecasts.

Including special items, the company reported a quarterly net loss of $722 million, or $1.28 a share. That compares to net income of $950 million, or $1.68 a share, it posted in the year-ago period.

Concerns by traders that the company's actual performance was worse than it seemed at first blush sent shares down 1.7% in pre-market trading. But shares swung to a gain of 1.5% in late-morning trading after the company's call discussing its results and outlook in more detail.

The company saw strong vehicle sales, as automotive revenue hit a record $46.7 billion, easily topping forecasts of $44.4 billion. But the company's automotive profit-loss performance took a step backwards most of its regions around the globe.

The company posted a $803 million fourth quarter pretax loss in its auto unit, compared to a narrow $8 million profit on that basis a year earlier. The worsening performance was due to its core North American operations, where industrywide sales were weak in the period. North American plants lost $1.06 billion in the period on that basis, compared to only a $129 million loss a year earlier.

The company also saw pretax losses grow in its European operations and profits decline in the Asia-Pacific region that has become increasingly important for the company's fortunes. But improved pretax profits in GM's Latin America-Africa-Middle East region more than balanced out the worsening performance in the other overseas regions. To top of page

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月20日 (土)

米大統領がビッグ3支援表明、GMなどに「つなぎ融資」

 米大統領がビッグ3の救済をするようです。しかし記事によると、これはあくまでつなぎ融資。融資によって延命を図る代わりに、2009年3月までに再建のためのリストラ案を提示することを求めています。
 記事によると、

ビッグスリーは、経営トップの巨額報酬の抑制や株主への配当禁止などの厳しいリストラを求められる見通しだ。

 とあります。しかしこんなことは最初にやるべき当たり前のことであり、厳しいリストラでも何でもありません。もう何年も前にとっくに済ませておくべきことです。これを書いたのは記事を書いた記者であり、ビッグ3の意見とは違うかもしれません。だが根本的な解決が、ビッグ3をこのような状態にした経営者に出来るとは思えません。長くそこに働いていた人は、それぞれの利益関係やしがらみを持っています。会社はどうせすぐに脱出すべき沈む船、会社の再建よりも自分の待遇や給与のほうが大事という会社役員もいるでしょう。事実、赤字が続いても、最近まで巨額の報酬を役員が受け取っていました。多くの生産拠点を含む規模の大幅な縮小、日系企業の比較して大幅に待遇が高く、ビッグ3の競争力を著しく下げている労働条件を根本的に変更するための労働組合のUAWとの交渉、製品ラインアップの大規模な変更、今回の危機を招いた経営責任の追及などなど。
 これらを現経営陣が出来るわけがないのです。通常、不振企業を再生する際には、経営陣を外部から招いた人に入れ替えて行うべきなのです。大統領がそれを旧経営陣に任せるというのならば、それは大統領の判断ミスであると思います。結局問題を先送りしただけで、再建案提出期限の三月には、資金の引き上げか追加融資の判断を再び迫られるよう可能性が十分にあります。破綻は確かに大きな負の影響をアメリカ経済に与えます。しかし破綻を恐れるのならば、ビッグ3に対して極めて厳しい態度で望むべきです。融資の実行と引き換えに、経営責任をとらせて経営陣の入れ替えやリストラ完了までの一時国有化くらいは要求してもいいのではないでしょうか。

米大統領がビッグ3支援表明、GMなどに「つなぎ融資」

12月19日23時36分配信 読売新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081219-00000064-yom-bus_all

 【ワシントン=矢田俊彦】ブッシュ米大統領は19日、米自動車大手3社(ビッグスリー)に対し、金融安定化法を活用した資金繰り支援に踏み切ることを表明した。

 米メディアによると、融資額は計174億ドル(1兆5500億円)にのぼる。ビッグスリーが破綻(はたん)すれば、金融市場を含めて米経済に大きな影響を与えるため、つなぎ融資の実施を決めた。

 米メディアによると、ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーに年末越えの当面の資金として134億ドルを提供し、その後、2月に40億ドルを追加 支援する用意があるとしている。ただ、来年3月末までに各社が具体的な再建計画を示さなければ、融資資金は回収され、破綻に追い込まれる可能性がある。

 ブッシュ大統領は、「ビッグスリーは困難に直面している。破綻は好ましくない」と述べ、支援の必要性を強調した。

 一方で、納税者保護として、ビッグスリーは、経営トップの巨額報酬の抑制や株主への配当禁止などの厳しいリストラを求められる見通しだ。

 ビッグスリー支援を巡っては、米民主党と米政府が最大140億ドルの資金繰りを支援する法案に合意したが、上院で11日、共和党の反対により廃案となった。このため、GMなどは年内に手持ちの資金がなくなる恐れが出ていた。

 米政権はこれまで、「安定化法は、金融機関向けだ」(ペリノ大統領報道官)と否定的な見解を示してきた。

 ただ、支援法案の廃案を受け、「無秩序な破綻は念頭にない」(同)とし、安定化法を活用した支援を検討してきた。

最終更新:12月19日23時44分

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月19日 (金)

麻生首相は経済音痴

 麻生政権の支持率低下が止まりません。ついに17%だそうです。この支持率で解散・総選挙となれば、自民党の惨敗はほぼ間違いないところでしょう。
 「医師は社会常識がかなり欠落している人が多い」といった、以前から定評のある不用意な発言、漫画ばかり読んでいて漢字も読めない馬鹿であるといったイメージもあります。しかし支持率の下落が止まらないのは、経済の悪化を止められないことに最大の原因があると思います。よい経済対策さえ実施されていれば、漫画を読むことは新しいメディアに対して柔軟であるとも言われたでしょうし、少々漢字が読めないことなど問題にもならなかったでしょう。
 今回の経済の悪化は何も彼の責任ばかりではないのですが、発表した対策を見ている限り、彼がかなりの経済音痴であることがわかります。首相就任前から彼にとっての経済対策とは、公共支出を増やすことでした。自民党が公共支出の削減で財政再建を掲げてきた中で、彼の政策はかつての自民党の政策を真っ向から否定し逆行するものです。このような発言には、彼の首相就任に対して私には懸念がありました。そして首相就任後に発表したのも、やはり財政出動による経済対策でした。

 経済というのは大変複雑で、絶対的な法則は存在しません。では財政出動による公共投資が何故今は批判されるのか。それは公共投資がかつてのような経済活性の効果がなくなってきているからです。
 例えばインフラが未整備の発展途上国があったと仮定し、その国の政府が、公共投資として道路・鉄道整備に多額のお金をつぎ込むとしましょう。まず第一に、その結果として物資や人の移動が容易にできるようになり、経済は発達します。例えばある地域で特産の農産物があっても、交通手段がないために産地から消費地まで輸送できなかったものがあったとしましょう。しかし交通インフラの整備により、それが可能となります。消費地は農産物を買うことができるようになり、産地は売却の代金を受け取ることが出来ます。また高速鉄道の開通によって、今まで一泊の出張だったものが日帰りが可能となれば、効率が非常に高まります。公共投資によって効率化が高まり、それが経済の持続的発展に大きな貢献をするのです。これは経済の発展させるための、ある種の投資活動とも言う事が出来ます。
 第二に、建設業界、建築資材業界、建設重機業界などは仕事の量が増えて潤います。それらの会社は利益または借入金によってさらに仕事の量や効率を上げるための投資を行います。人をさらに雇い、新規の事務所を開き、さらに効率の良い大型の重機を買い入れます。また仕事にたずさわる労働者は給与が増え、それでテレビや自動車を買うなどして消費に回します。こうして他の産業まで当初の政府支出が循環していき、経済が活性化します。
 しかし道路も鉄道もある程度整備の進んだ状況では、第一の経済効果は日本のような先進国では効果があまり期待できなくなっています。むしろ莫大な費用をかけた割には、そこから得られる経済効果が少なくなってきているのが現状でしょう。費用対効果がかつてのような大きなものではなくなっているのです。むしろ過大な公共支出は、政府の財政状態を悪化させ、経済に対する負の効果が生まれてしまう可能性もある。日本では政府がすでに約700兆円という莫大な借金を抱えており、財政状態の再建が急務となっています。
 それでもこのような急激な経済の悪化に対して、政府は経済対策をとる必要性があります。しかしそれは必ずしも公共工事である必要性はない。政府が支出したお金の循環に貢献し、経済の活性化に役立つ何かもっと効率的なものであればそちらのほうがいい。例えば資金繰りの悪化している会社に対する融資枠の設定、金融機関への公的資金の投入、ベンチャー企業創業の助成等。そういったことへ政府支出を使ったほうが、経済への貢献が大きくなっているのではないでしょうか。

 さて麻生首相が景気対策として打ち出した総額2兆円の「定額給付金」。これがどうような効果を持つか。ただ単に一人に一万円、二万円程度の金券を配布したとしても、金券を生活に必要な消費にまわし、代わりに現金を保有するだけのことになる。そうなれば公共支出によって政府の財政がさらに悪化しても、経済に対する貢献は小さいものとなるでしょう。国民の人気取りになると思ってやったのかもしれませんが、国民はそこまで馬鹿ではなかった。
 さらに郵政民営化を否定するような発言。小泉政権であれだけ派手な議論と動きがあって成立したものを、こんなに簡単に否定されてしまったならば、自民党内部や自民党支持派からも反対勢力が出るのは仕方がない。ましてこんな首相の下では、次の選挙で自分の地位が低下してしまう。
 こうなるともう彼のやることなすこと全てが批判の的となる。実際には雇用の問題、中小企業支援や金融機関への融資なども既に対策として盛り込んでいたのだが、これらはあまり話題にはならない。12月12日に雇用対策・住宅減税をはじめとする新規の経済対策を発表したが、支持率低下には歯止めがかからない。やはり駄目な対策が経済の悪化を喰い止められないことの印象が強すぎる。
 確かに首相就任どほぼ同時の経済危機は、運が悪かったといえる。しかしそれは有効な経済対策によって危機を乗り越えるための、強い指導力を示すいい機会でもあった。残念ながら麻生首相にこの危機的状況を指導する力があるようには見えません。党内や国民の支持すら失った今、定額給付金の撤回くらいはしてもらいたいものです。

麻生内閣支持、17%に激減=「党首力」小沢氏が逆転-時事世論調査

12月19日15時4分配信 時事通信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081219-00000103-jij-pol

 時事通信社が12~15日に実施した12月の世論調査によると、麻生内閣の支持率は16.7%と前月から22.1ポイントも激減、不支持は前月比 28.2ポイント増の64.7%に上昇した。「首相にふさわしい政治家」を問う質問でも、麻生太郎首相を挙げた人は23.9%にとどまり、34.8%の小 沢一郎民主党代表に引き離された。内閣支持率が2割の大台を切ったことで、衆院解散・総選挙の時期や自民党内の「麻生離れ」の動きに影響を与えるのは必 至。今後、首相は一段と厳しい政権運営を強いられる。
 調査は、全国の成人男女2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は66.3%だった。
 政党支持率では、自民党は前月比5.2ポイント減の18.6%。一方、民主党も同0.9ポイント減らして13.4%にとどまり、同党が依然として自公政 権に代わる受け皿になっていないことを示した。このほか、公明4.3%(同0.1ポイント増)、共産2.0%(同0.6ポイント増)、社民1.1%(同 0.3ポイント増)。支持政党なしの無党派層は、同6.0ポイント増えて58.2%となった。 

 

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2008年12月14日 (日)

トヨタの下期が営業赤字

 トヨタの下期が赤字見通しであるというニュースがでました。今年の自動車産業の月別の販売動向をみると、一般的に徐々に悪化しています。ですから今秋よりも冬、冬よりも春はさらに悪化するものと思われます。まだ暫く経済の混乱は続くでしょうし、来年に需要が回復するというのは期待薄です。さらに円高が進んでいます。日本経済の相対的強さが際立っている以上、円安に戻る可能性もあまり高くないように思えます。むしろ1ドル=100円が上限で、それ以上の円高というのを固めてきているように見えます。
 となるとトヨタの来期の通年での赤字はほぼ確実と言っていいでしょう。こうなると北米での売上依存が強いホンダ、海外輸出の多いマツダ、トヨタよりも競争力の弱い日産も来期はほぼ間違いなく赤字でしょう。秋くらいにはもしかするとぎりぎり黒字で踏みとどまれるかもしれないと思いましたが、環境は厳しさを増しているようです。

トヨタの08年度下期が営業赤字に、通期も計画下回る=関係筋

2008年 12月 13日 11:58 JST

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPJAPAN-35423120081213?rpc=144

[東京 13日 ロイター] トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)の2009年3月期下期(08年10月─09年3月)の連結営業損益が、赤字になる見通しであることが分かった。関係筋が13日、明らかにした。    

 円高の進行と販売の落ち込みが想定を上回っているためで、半期ベースの営業赤字は1999年に米国会計基準を採用して以降では初めて。09年3月通期の連結営業利益も、会社計画6000億円を下回る見込み。

   

 トヨタは11月上旬に上半期(4─9月)決算を発表した際、通期の連結営業利益予想を期初の1兆6000億円から6000億円に下方修正。下半期の営業利益は180億円と見込んでいた。

   

 しかし、ドル/円が12日の東京市場で13年ぶりに90円を突破するなど足元で急激な円高が進んでるほか、自動車販売が急速に悪化。緊急のコスト削減策を進めているが追いつかず、下半期に黒字を確保するのは厳しい情勢となった。

   

 トヨタは下期のドル/円レートを100円、ユーロ/円を130円で想定。1円円高が進むとドルで年間400億円、ユーロで60億円営業利益を押し下げる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月12日 (金)

北米自動車市場の数年後予測

 日本では他国と比較して車の平均寿命が非常に短かったことは知られていますが、それが徐々に伸びています。自動車検査登録協力会発表の統計によると、1975年には6.72年だった乗用車の平均使用年数が、2008年には11.67年と年々伸びています。細かなデータは覚えていませんが、外国の水準に近くなっているようです。かつては生産後10年近くたった車は国内では買い手がつかず、そのまま廃車になるものもある一方で、アジア等の途上国に輸出されていたのですが、最近は随分と変わってきました。消費者の買い控え、車の高品質化による耐久性の向上などが理由だと言われています。
 日本ではかつて車は富の象徴でもあり、単なる必需品以上に財産でもありました。自分の昇進に伴って次々に新しい車、より高くて大きな車に買い替えることが一つの慣行でした。しかしふと若い人は思います。そんなにお金を使ってまで車を買う必要があるのかと。もっと他にお金を使うべきものがあるのではないかと。あるいは買い換えなくても、今の車で必要十分ではないかと。特に都市部で車を持つ必要性を感じる人の数が減少していることを、数多くの調査や販売統計が示しています。

 一方、アメリカにいた人ならば知っていると思いますが、公共交通機関の発達した一部の都市を除き、車は移動のための必需品です。そのために、車は動く間はとことん乗られます。日本では考えられない15年落ち20万キロといった過走行車でも、堂々と中古車屋の店頭に並べられます。貧富の差が激しいアメリカでは、新車は買えないが車が必要な貧困層のための安い車の国内需要が存在するのです。そのような車は、いよいよボロボロになり、修理代のほうが中古車を買うよりも高くなるまではきっちり乗り潰されます。アメリカの自動車市場は、新車から廃車までが自己完結した市場であるといえます。
 現在の不況で、アメリカの自動車需要が急減速しています。しかしアメリカでは自動車は生活のための必需品です。車なくしては社会が成立しません。都市部に多くの国民が住み、いざとなれば公共交通機関で代用できる日本とは事情が大きく異なります。現在は将来への不安や給与面での問題に加え、ローンの審査が通らないために、新車需要が落ち込んでいます。しかし昔からアメリカでは、車はつぶれるまで使用されるものです。日本と異なり、買い替えをいつまでも伸ばすわけにはいきません。社会生活を営むための実需としての車需要があります。経済がいずれ回復すれば、車を購入しようという人は出てくるでしょう。同じ縮小する自動車市場でも、日本とは事情が異なります。
 それが何年後かはわかりませんが、例えば4年後に景気回復したとしましょう。それまで古い車で我慢していた人が一斉に新車を買いに走ります。そのときにアメリカ人はどんな車を買うでしょうか。今までのような大型のピックアップトラックやSUVを買うでしょうか。そのときにまだ原油価格が低位でガソリン価格が安くなっていれば、それもあり得るでしょう。でもアメリカ人はガソリンの高騰を経験してしまいました。かつて一時的現象で終わった石油危機と違い、新興国の台頭により原油の実需が増大していることを知っています。実際、もう石油価格が10-20ドル代で低位安定することはないと思います。そうなると、もっと燃費を意識した車を欲しがる人が増えることが予想されます。かつてビッグ3のドル箱だった大型車というカテゴリーが、今後も縮小したまま市場構造が変化してしまうかもしれません。

 さあそのとき、どこの自動車会社が強いか。アメリカ人はどこの自動車会社から車を買うのか。日本車の脅威を数十年にわたって受けながら、未だに競争力を持てていないアメリカのビッグ3がわずか数年で急に日本車に対抗できる中小型車を持てるというのは現実的ではない。また工場閉鎖や人員削減といったリストラに苦しみ、十分な供給体制をもてない可能性もある。そうなったとき、価格競争力や品質を考えて、欧州勢ではなく日本や韓国が、現在よりさらに北米市場を抑える可能性があります。数年の不況を我慢できれば、日本勢にとっては大きなシェア拡大の機会となるかもしれない。
 またこれは単なる中小型車ではなく、次世代エンジンによるところが大きい。ハイブリッド技術で先行する日本車、特にトヨタとホンダは強い。今までやや特殊なものであったハイブリッド車ですが、両社ともさらにハイブリッド車の供給を本格的に拡大し普及させる計画をもっています。しかし技術革新が進み、電気自動車や水素、燃料電池技術を実用化した会社が現れるかもしれない。あるいはアメリカ人の車の使い方にも合う長距離移動に強くて実績もあり、生産体制もあるディーゼルがアメリカでも認められるのか。
 そうなるとちょっと予測がつきません。もっとも数年でディーゼル以外で新世代エンジンを大量供給できる体制が整えられるとは思いません。となれば、何もなければやはり日本と韓国勢、特にトヨタとホンダか。その後のポスト・ハイブリッドとして、どの次世代技術が市場を掌握するのか。今は多くの候補が乱立していますが、それが今後の市場の行方を占う重要な意味を持つでしょう。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月20日 (木)

ビッグ3への政府融資

 GMとクライスラーの合併の交渉は不調に終わりました。GMはその前にフォードとの合併を模索していたようです。赤字企業が合併しても意味がないでしょうから、私はこれはいいことだと思います。クライスラーと交渉するという噂のあった日産ですが、カルロス・ゴーンはこれを否定しました。わざわざ債務や今後発生する赤字を抱え込む必要はないでしょうから、これも合理的判断だと思います。

 本日11月20日付けの日経新聞によると、7-9月期だけでビッグ3は180億ドル($1=100円として約1兆8000億円)の現金を失ったそうです。また日経ビジネス(たしか11月13日号)によると、GMはすでに約700億ドル(同約7兆円)の債務超過だそうです。本来ならばとっくに倒産しているべき会社ということになります。これだけ債務があるのに、猶も赤字を垂れ流し続ける会社。赤字額も企業自体も規模があまりに大きすぎるため、他の企業による救済というのは無理です。


 問題なのは、ビッグ3はまだ赤字を垂れ流し続けていること。しかも巨額な赤字です。このままではいくら融資を続けたとしても、砂漠に注ぐ水のように融資資金を際限なく吸い込み続けます。倒産したら大きな経済の悪化になりますが、倒産しなくても政府は融資をし続けなければならない。ビッグ3の現状の財政状況を悪化させないためだけでも、例えば三ヶ月に一度赤字分の1兆8000億円の融資をするということ。それは政府の財政を悪化させ、ひいては経済を悪化させる要因となります。どちらにしても経済を悪化させることになる。そうなるとビッグ3の経営状況を改善して赤字を出さないようにしないことには、アメリカ政府自体を破綻させることになる。

 ビッグ3は70年代から80年代、無駄に大きく燃費の悪い車を作り続けた。また品質・性能において日本車をはじめとする輸入車に太刀打ちすることが出来ず、市場シェアを失いました。その後はドル安による輸入車の競争力減や政府の支持を得ながら、SUVやピックアップなどの大型車の売上を伸ばして収益源とすることにより、経営危機から立ち直ることが出来ました。また一般の自動車も小型化や品質の向上をしましたが、それでも市場調査によると日本車ほどの燃費や品質をもっているわけではないようです。やはりビッグ3の収益は日本車などがあまり進出していない大型車でした。

 しかし2003-04年からの原油高がこのビッグ3の収益源を直撃します。原油高ゆえに燃費の悪い大型車の売上は急減し、消費者は小型車を買うようになります。ビッグ3が本来不得意である燃費・環境性能の良い小型車や次世代技術を早急に開発する必要に迫られました。赤字が続くビッグ3は、市場変化に合わせたこのような新型車を出すことによって商品構成を変更し、収益を確保するはずでした。

 けれども2008年の金融危機が、この戦略を大きく狂わせることになります。経済的に困窮した人々は、車の大きさに関係なく車自体を買わなくなります。そして車を買いたくても、金融危機に伴う審査の厳格化によってローンの審査が通らなくなり、車が買えなくなる人が続出。当初は多くの専門家が1500万台以上と予測していた今年の北米での自動車販売台数が、現実には20%以上縮小する模様です。来年はさらに縮小する模様。北米市場に大きく依存し過剰の生産設備を抱えて固定費の高いビッグ3は、ただの赤字製造会社となりました。

 ビッグ3が赤字を出さないようにするには、市場に求められている環境性能対応型の新型車の早期導入以外に、この高い固定費をなんとかする必要がある。過剰設備に加えて、労働組合との取り決めによる、労働者の高い医療費や年金基金の問題。このような問題の抜本的な解決なくして、赤字体質の改善は出来ない。

 また、政府からの資金の供給に関して、政治家、財界や国民から反対意見もある。融資は赤字企業を立ち直らせて経済を救うということを見せる以外にも、彼らを納得させるためにも、経営陣の退陣や給与・退職金の削減や返還といったことが必要かもしれない。

 でも、本当にそんな根本的な解決が出来るのだろうか。経営陣が自ら退職金なしに退陣したり、多くの従業員のクビを切り工場を閉鎖し、医療費といった労働条件を解決できるのか。ビッグ3の根本的な解決をするには、一度倒産したほうが一気に問題を解決できるかもしれない。だがそれは経済を相当悪化させる。一番の選択肢は、有無を言わさぬ大規模なリストラをして経営状況を改善しつつ、政府からの融資を受け新型車の開発をして体質改善を図ること。それが出来ないのならば、政府としては倒産もやむなし、といった強い態度を示す必要があるのではないかと思う。融資で一時国有化して大胆リストラもありかな。直接の国有化が駄目ならば、日本がやった産業再生支援機構のアメリカ版みたいなのを作って、そこを経由してやってもいいと思う。

ビッグ3:米政府に低利融資を要請…財務長官、反対を表明

http://mainichi.jp/select/biz/news/20081119k0000e020032000c.html?inb=yt

【ワシントン斉藤信宏】金融危機の影響で資金繰りが悪化し、経営難に陥っている米自動車大手3社(ビッグ3)の首脳は18日、米上院銀行委員会で それぞれの窮状を証言、米政府に低利融資を要請した。最大手ゼネラル・モーターズ(GM)のワゴナー会長兼最高経営責任者(CEO)は「我々の破綻(はた ん)は米国経済に壊滅的な打撃を与える」と強調した。

 ワゴナー氏らによると、GMは100億~120億ドル、フォードは70億~80億ドル、クライスラーは70億ドルの支援を要請する。

 また、クライスラーのナルデリ会長兼CEOは「(同社が破綻すれば、融資している)複数の金融機関や銀行が危機に陥る」と述べ、金融システムの危 機につながりかねないと指摘。フォード・モーターのムラリー社長も「1社でも破綻すれば、部品会社や販売会社に波及し、1年以内に約300万人の雇用が失 われる」と語った。ただ、資金支援の条件として「年俸1ドル」を受け入れるかとの問いに対し、「喜んでお受けする」と答えたのはナルデリ氏のみで、他の2 人は明言を避けた。

 ビッグ3の救済については、米民主党が、金融安定化法で金融機関支援に使うことが決まっている公的資金7000億ドル(約70兆円)の中から、最 大250億ドルを低利融資することを柱とする法案を議会に提出している。ただ、米政府と共和党は「金融機関向けの公的資金を自動車産業の救済に使うのは適 当ではない」(ポールソン財務長官)と反対しており、法案成立が危ぶまれている。米紙ニューヨーク・タイムズなど複数の大手紙も「ビッグ3は世論の強い逆 風にさらされる」などとビッグ3救済に批判的で、同日のGMの株価は一時、14%安の2.73ドルまで下落。1943年以来、約65年ぶりの安値をつけ た。

 上院では早ければ20日にも法案が採決される予定だが、上下両院で可決できるかは微妙な情勢だ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月28日 (火)

GM・クライスラー合併 何故この赤字企業同士が?

 自動車関連ネタをもう一つ。アメリカでGMとクライスラーの合併交渉が大詰めを迎えているそうです。

 ガソリン高に始まり金融危機に伴う消費不振で倒産の危機に瀕しているアメリカの自動車会社ですが、生き残りをかけての交渉がされています。しか しGMは毎期巨額の赤字を垂れ流しています。クライスラーは2007年に投資ファンドのサーベラスに買収されているので、もう上場もしていませんし決算の発表はありません。しかし同じくまだ20%のクライスラーの株式を所有しているダイムラーの決算発表によると、やはりクライスラー部門は巨額の赤字を出しているようです。このままだと、今後数年どころか数ヶ月で倒産しかねないほどの危機です。実際、クライスラーの株式を所有するダイムラーは、クライスラーの株価の評価額を既にゼロにしたそうです。
 そもそもそのような赤字会社二つが合併して、黒字になるなどということがあるのでしょうか。一応理由としては、合併による部品共同購買やら施設の効率化やらで経営を改善できるということでしょう。GMでは100億ドル超の相乗効果を出せると考えているそうです。

 しかし私にはこの合併交渉に疑問に感じています。同じ北米市場を主要市場とし、燃費の悪い大型車を利益の源泉としてきた両社です。今は燃費の良 い小型車が注目され、北米の市場がこれだけ冷え込んでいる状態です。根本的に商品構成の悪いこの両社が合併しても、資産を食いつぶして倒産しないほど短期 間で黒字体質になるとは思えません。
 クライスラーには日産・ルノーグループが興味を持っているといわれています。約20%の株式を取得し、提携をしていく計画だといいます。主要市場も商品構成も違い、財務内容も安定している日産・ルノーのほうがよほどいいように見えます。それでもクライスラーがGMと交渉する理由は何か。

 私はクライスラーの80%の株式を持っているサーベラスの事情なのではないかと思っています。サーベラスは経営不振のクライスラーを買収し、再生して株価を上げた後で売却するつもりだったでしょう。しかしこの経済危機によって事情が大きく変わってしまいました。先述したとおり、ダイムラーは保有するクライスラー株の価値をゼロに評価しているそうです。サーベラスもこのクライスラーへ74億ドルの巨額の投資を失敗であったと認識し、普通に再生して回収することが出来ないと考えているのではないか。このまま放っておけば、倒産して完全に価値がゼロになると思って焦っているのではないか。
 GMとクライスラーがどのような条件で交渉しているのか、私にはもちろんまったくわかりません。しかし合併してしまえば、そのまま倒産させるにはあまりに巨大すぎる会社が誕生します。この巨大企業が倒産すれば、経済の悪化にさらに拍車をかけるでしょう。実際、会社は政府に倒産回避の融資を求め ていると言われていますし、政府も無視することは出来ないと思います。
 その意味で、日産・ルノーグループによる20%程度の出資では、サーベラスにとって会社の存続に不安があるのではないでしょうか。つまりよりクライスラーを再生してくれる可能性の高い選択よりも、とりあえず目前の最悪の危険を回避する選択をとったのではないかということです。


GM/クライスラー合併案、米政府に100億ドルの支援要請=関係筋

10月28日13時34分配信 ロイター

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081028-00000689-reu-bus_all

  [ニューヨーク/デトロイト 27日 ロイター] 米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>とクライスラーの筆頭株主サーベラ ス・キャピタル・マネジメント[CBS.UL]は米政府に対し、GMとクライスラーの合併実現に向け100億ドル近い支援策を要請している。複数の関係筋 が27日、明らかにした。
 そのうちの1人によると、米政府は合併会社の優先株約30億ドル相当を取得する。
 別の関係筋は同日、財務省が両社の合併に向け直接資本注入などを含む金融支援を検討しており、早ければ週内に決定する見込みだと述べていた。
 最初の関係者は、米政府はこのほかに約30億ドルの年金債務を引き継ぐことで合併を支援するよう求められている、と述べた。
 関係者はさらに、両社は信用枠の供与を要請しているとし、短期流動性の圧力を和らげるための米政府によるGM発行コマーシャル・ペーパー(CP)の購入がこれに含まれる可能性がある、と述べた。

クライスラー、4―6月期最終赤字550億円

http://markets.nikkei.co.jp/kaigai/gyoseki.aspx?site=MARKET&genre=d1&id=AS2M2400X%2024102008

 【ニューヨーク=武類雅典】米自動車大手クライスラーの2008年4―6月期の最終赤字が約4億4000万ユーロ(約550億円)だったことが 23日、明らかになった。米投資ファンドが筆頭株主の同社は業績を公開していないが、大株主の独ダイムラーが7―9月期決算で最終損益への影響額を公表し たため、米国会計基準に基づき説明した。

 ダイムラーの決算に反映したクライスラーの最終赤字は8800万ユーロで、このうち7600万ユーロが自動車事業の損失。ダイムラーは現在、 19.9%のクライスラー株を保有しているため金融事業を含むクライスラーの4―6月期の最終赤字は約5倍の4億 4000万ユーロ程度だったことになる。

 ダイムラーはクライスラー筆頭株主の米サーベラス・キャピタル・マネジメントにクライスラー株を売却する方向で交渉中。保有するクライスラー株の評価額を9月末時点でゼロに引き下げた。

  (10/24 12:34)

日産・ルノー、クライスラー株の取得打診 米紙報道   

http://car.nikkei.co.jp/news/business/index2.cfm?i=2008102211737c0

【ニューヨーク=武類雅典】米紙デトロイト・ニューズ(電子版)は22日、日産自動車―仏ルノー連合が米クライスラーに出資を打診したと報じた。 日産がクライスラー株の約20%を取得する提案をしたとしている。ただ、クライスラーは米ゼネラル・モーターズ(GM)と合併交渉を進めており、日産・ルノー連合とクライスラーの組み合わせが実現するかは不透明だ。

 同紙によると、クライスラー筆頭株主の米投資ファンド、サーベラス・キャピタル・マネジメントから接触を受け、カルロス・ゴーン日産社長が最 近、提案書を送った。ルノーに比べ資金面で余裕がある日産がクライスラー株を取得する方向という。ただ、サーベラス側はGMとの合併が「最良の策」と見て いるとも伝えた。

[10月23日/日本経済新聞 朝刊]

サーベラス、クライスラーを74億ドルで買収
2007年05月15日 07:30更新

http://jp.ibtimes.com/article/biznews/070515/7412.html

 独ダイムラークライスラーは14日、北米クライスラー部門を米民間投資ファンドのサーベラス・キャピタル・マネジメントに74億ドルで売却する事で合意に達したと発表した。

今後持ち株会社となるクライスラー・ホールディングスを設立し、ダイムラー・クライスラーがクライスラー・ホールディング株式の19.1% を出資し、サーベラスが残りの80.1%を出資する。

 今回の74億ドルでのサーベラスによる買収では、サーベラスがクライスラーに50億ドル投資し、10億5千万ドルをクライスラー金融サービス会 社に投資する。また残りの13億5千万ドルをダイムラークライスラーに支払う形となっている。また独ダイムラークライスラーは今秋にも臨時株主総会を開催 して社名を「ダイムラー」に変更する予定。

 サーベラスは着実に自動車産業での投資に力を入れてきた。昨年にはGMの金融事業であるゼネラル・モーターズ・アクセプタンス(GMAC)の主要株式を購入する投資家組合を先導した。またGM自動車部品製造社のデルフィへの投資も計画していた。

 サーベラス会長のスノウ氏はドイツでの記者会見で「我々はクライスラーの歴史を考慮したとき、民間投資団体の参入する余地があると考えた。民間 投資会社が投資することで、クライスラーがより成長拡大を図ることができるようになり、より高性能の自動車を生産するための日々のビジネスに集中して取り 組む事ができる会社になるだろう」と述べた。

 米アナリストによると、クライスラー消費者にとってもクライスラーが売却されたことで、同社自動車生産により投資することができるようになった ため、より高性能の自動車を購入する事が期待できるなど、恩恵が期待できると考えられるという。また、サーベラスが自動車部門に参与することで、同投資 ファンドがこれら自動車会社らの取引の仲介役となることができ、フォードやGMなど他の米自動車会社にとっても有益となるという。

 サーベラスのような民間投資会社は年金基金やヘッジファンド、富裕層から資金を集めて上場会社を買収して、しばしば非公開企業にしている。また買収後再編を行ない、後に利益が出るようになってから売却を行なっている。

 ダイムラークライスラー株価は14日、2.12ドル(2.6%)の上昇を示し、84.12ドルとなった。
 合併会社の売上高は米自動車市場全体の約3分の1を占めるが、ほぼすべての事業で生じる過剰設備から発生するコストの削減を求める圧力に即座にさらされ る見通しだ。アナリストらによると11のブランド、約1万人のディーラー、およそ9万7000人の労組加盟の工場労働者がこの範ちゅうに入る。
 ただ、合併協議に詳しい関係者によると、合併手続きの完了に必要な政府支援の獲得に向けた広範な政治的支持を取り付けるため、従業員を出来る限り温存することが合併条件のひとつになる、と述べた。
 GMのコメントは現時点で得られていない。サーベラスとクライスラーはノーコメント、とした。
                           

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月27日 (月)

ユーロ高とマツダの株価

 北米依存の強いホンダに続いて、今度は欧州での売上が強いマツダ。

 本日10月27日の終値は175円と、90年代の倒産危機や2003年の日経平均安値のときをも下回る株価になってきました。なんでも2001年には145円という上場来安値をつけているようで、これが十分見えるところにまで来ました。
 北米市場も厳しいですが、マツダの場合は欧州市場に注目です。記事によると、27%を欧州に依存していて、しかも欧州に工場を持たないために全て輸出となっています。そしてユーロはドル以上に急激な円高が進んでいます。七月には1ユーロ169円までいきましたが、今は118円という急激な動き。 記事によると、1円のユーロ高で15億円の利益が消えるそうです。
 マツダの今期想定為替レートは対ドル100円、対ユーロ150円。ドルはあまり極端に想定から外れていませんが、既にユーロは32円も想定よりも高くなっています。

32×15億円=480億円

 マツダの当初の2007年度想定利益は約918億円。ユーロの為替差損だけで利益の半分以上が消える計算になります。その他にもドル高、売上減も考えれ ば、今年の後半だけ見れば赤字になってもおかしくない水準です。今年の前半までは最高益更新を期待されていただけに、この落差は大きい。来年はさらに厳しいでしょうし、通期の赤字が現実味を帯びます。
 しかも親会社のフォードはさらに危機的状況にあり、部品の共同購入や開発などに悪影響が出る可能性もあります。既にフォードはマツダ株の一部売却を発表していますので、それがどのような影響を及ぼすのか。
 個人的には、上場来安値に接近した今の株価は、既にこのことを織り込もうとしていると思います。車の評価も高いですしそれなりの技術もあるので、魅力のある会社。ですので赤字となってもフォードが手を引いても、最悪どこか支援する会社はあるでしょう。上場来安値を割り込み100円代の前半になれば、長期投資目的で保有するのならば買ってもいいかなと思います。

資料は下から。


<東証>マツダが年初来安値――円高・ユーロ安が進行

10月22日 13時12分
http://money.quick.co.jp/kabu/newsArticle.html?code=CLH6983&page=10&num=20

(13時5分、コード7261)反落。午後に入って一段安で、前日比31円(10.9%)安の253円まで下げている。16日につけた年初来安値 を更新。きょうの東京外国為替市場でドルやユーロに対し円高が進行しており、業績への悪影響を懸念した売りが膨らんでいる。2009年3月期のマツダの想 定為替レートは1ドル=100円、1ユーロ=150円。1円の変動は対ドルで27億円、対ユーロで15億円、それぞれ営業利益に影響する。特にきょうはユーロが売られ、2004年4月以来となる1ユーロ=129円台で推移している。

 マツダの広報担当によれば年間の世界販売台数計画のうち、北米と欧州がそれぞれ25%程度占めている。22日付東京新聞朝刊や同日付産経新聞は 米フォード・モーターによるマツダ株売却に関し、広島銀(8379)が最大で5%取得する方針、と伝えたが、日経QUICKニュース社(NQN)に対して は「決定したことではない」と話している。広島銀は反落で午後に入って一段安となっている。〔NQN〕

マツダ、1ユーロ120円の水準でも欧州での利益計上は可能=欧州部門社長
2007年 03月 7日 13:47 JST

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-25007520070307

 [ジュネーブ 6日 ロイター] マツダ(7261.T: 株価, ニュース, レポート) の欧州事業統括会社、マツダモーターヨーロッパのジェームズ・ミューアー社長は6日、当地で開催中の国際自動車ショーの会場でロイターのインタビューに応 じ、ユーロの対円相場が現在の価値を20%近く下回る120円となっても、同社はまずまずの利益を計上することができるとの見方を示した。

 同社長は「ユーロはかなり弱含んだ。しかし1ユーロ=120円でも依然として適度な貢献はできると思う」と述べた。

 同社が欧州で販売している乗用車の94%は日本からの輸入車で、同社はこれまで円安/ユーロ高の恩恵を受けてきた。

 2月には、円安の利益押し上げ効果を理由に挙げて2007年3月期の通期業績予想を上方修正している。

 ただアナリストらは、為替相場が逆に振れた場合に大きなリスクを背負うことになるとして、欧州での生産が必須との見解を示していた。


11日マツダが10%超の下落、ユーロ安で警戒感 [銘柄情報]

2008/9/11(木) 14:29
http://market.radionikkei.jp/market/meigara/entry-155415.html

 マツダ <7261> は下げがきつく、下落率が10%を超えている。北米市場への収益依存度が高いトヨタやホンダなど他の国内自 動車メーカーに比べ、同社は欧州や豪州などのウエートが相対的に高く、足元でそれら地域の景況感が悪化してユーロや豪ドルといった通貨も下落していること が警戒感を呼んでいる。
 同社の08年4-6月期実績における地域別の売上構成は北米29.1%、欧州27.3%、豪州や中国、コロンビアなどの「その他」が 23.3%となっていた。この日は外為市場でユーロ相場が1ユーロ=149円台半ばと07年8月以来1年1ヶ月ぶりの円高・ユーロ安水準を付け、豪ドルも 1豪ドル=85円台半ばという円高・豪ドル安水準まで下げており、同地域向け売上が比較的多いマツダには逆風が強まっている格好。「欧州などは市場環境自 体も悪化しており、収益への影響が懸念される」という声が聞かれている。(H.K

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2008年10月25日 (土)

OPECの減産による原油価格維持

 景気減速に伴って当然のごとく原油価格も下落を続けています。産油国を巻き込んだ戦争などが特に起きたわけでもないのに、あまりに急激な上昇をした反動という部分もあると思います。
 しかしそのような急激な上昇を基にした産油国の財政の予算設定を、今回の暴落が混乱させているようです。100ドルを超える原油価格を基に収入を予想し、また支出の予算を設定していれば、今回の下落で財政赤字になるのは必然です。産油国は急に収入源を半分に切られてしまったようなものですから、国内経済に与える影響は甚大でしょう。また産油国は近年の原油価格と需要の増大に対応するために、石油採掘等にかなりの投資を行っており、それによって石油採掘のコストも上昇しているという報告もあるようです。そうなれば単なる売上減となるだけでなく、利益率も下がるとみていいでしょう。産油国の財政は上と下の両方から圧迫されているのです。
 しかしそれは産油国が需要と価格の予測と判断を誤ったということであり、残念ながらこれらの国家は自己責任で混乱を回避しなければなりません。歴史的にOPECの減産合意とそれによる価格維持は、あまり機能してこなかったのが現実です。何故ならば、多数の国家が減産して価格を維持しようとしても、その間に抜け駆けをして増産をして一人利益を得ようというものが出てきたからです。

例えばもしこのままですとOPECの総収入は

2,880万バレル(一日の総生産量)×60ドル(一バレルの価格)=172,800万ドル

です。しかし仮にOPEC加盟国全てが総量で200万バレルの減産をして価格が100ドルに維持できたとします。すると収入は

(2,880-200)=2,660万バレル  ×100ドル=266,000万ドル

となり、93,200万ドルの大幅な収入上昇です。
しかし残念ながらここで誘惑が生まれます。ある国家が20万ドルの減産をせずに抜け駆けをして一人で利益を稼ごうとします。結果的に減産の総計は180万ドルと予定の9割にとどまり、価格の上昇分も仮に

(100-60)×9/10=36

と9割になるとします。そうすると原油価格は60+36=96ドルとなります。その際のOPECの総収入は

(2880-180)=2700  ×96=259,200万ドル

となり、200万ドルを全てのOPEC国家が減産したときと比較して6,800万ドルの減収です。しかし抜け駆けして減産をせず、20万バレルを売った一国は、

20×96=1,920万ドル

の臨時収入を得られます。実際は(100ドル-96ドル)×既存の生産量分の減収がありますが、それでも他国を抜け駆けすることによる利益は莫大なものになる。そして減産を忠実に守った国家は収入を抜け駆けする国家に与えることなり、馬鹿を見ます。OPEC加盟国はこの誘惑から逃れることが出来ず、減産合意の中で次々に抜け駆けをしてこっそりと増産をするのです。(上記の計算に使った数字は仮定のものであり、現実とは異なります。)
 そんなわけでOPEC加盟国による同時減産というのは、市場に対する警告を発することは出来ても実際の効果は薄いのです。だからこそ2003年から始まる需要増と投機による価格上昇まで、原油価格は10-20ドル代という低価格のまま長期間に渡り放置されてきたのです。
 ですから今回のOPECの減産合意によって一時的に価格を上昇させることが出来たとしても、需要減と投機資金の流出による価格下落傾向を止めることは出来ないと思っています。BRICSのような新興国の需要増があるのは確かなので、かつてのような10ドル代という水準まで下落するとは考えにくいですが、まだ暫くは下落するものと考えられます。


OPEC、日量150万バレルの減産決定

10月24日21時32分配信 読売新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081024-00000053-yom-bus_all

 【ウィーン=是枝智】石油輸出国機構(OPEC)は24日の緊急総会で、原油の生産目標を現行の日量2880万バレル(イラクを除く11か国)から、150万バレル引き下げることを決めた。

 11月1日から実施する。原油価格の急落を受け、大幅な減産に踏み切った。価格下落が止まらなければ、12月にアルジェリアで開く臨時総会を待たずに、追加減産を決めることも示唆した。

 減産規模は、最大産油国のサウジアラビアが最も多く日量46万6000バレル、2位のイランが19万9000バレルなど。OPECが生産目標を引き下げ るのは、2006年11月から日量120万バレルを減産し、07年2月から50万バレルの追加減産を実施して以来となる。総会後に発表された声明では、 「金融危機は世界経済に大きな影響を与えており、原油需要を落ち込ませている。供給過剰が続けば、市場の状況を悪化させる恐れがある」と減産の理由を説明 した。

 OPECが強硬策にかじを切ったのは、価格維持への強い意志を示すためだ。

 加盟国は原油収入の増加を前提に財政支出を拡大し、国内の開発などを進めてきた。ベネズエラやイランなど多くの加盟国は1バレル=70~90ドル程度でないと財政支出を賄えないといわれる。

 今年1~10月半ばまでの原油の平均価格は1バレル=111ドル程度で、足元の価格下落が直ちに財政悪化に直結するわけではない。しかし、このまま見過ごせば、OPECの存在意義も低下しかねないというイランなどの強硬意見が大幅減産の決定を後押しした。

 ヘリル議長(アルジェリアのエネルギー鉱業相)は記者会見で、今回減産しても「日量30万バレルの余裕(供給過剰)がある」と述べ、安定供給は続けてい ると強調した。ただ、原油価格はなお高水準にあり、今回の減産で急騰し、減速感を強める世界経済に悪影響を及ぼす恐れも懸念される。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月23日 (木)

今の株価はまだ割安ではない

 予想通り株価が下がってきました。23日の東京株式市場は日経平均株価大引けは前日比213円71銭(2.46%)安の8460円でした。一時は650 円安まであったらしいので、それからみるとよく戻したというところです。しかし今までの急激な下げは金融不安からきたもの。これからの下げは、金融不安を 通り越して、実体経済を反映したものになります。政策によってあるいは急激な下げに対する買い戻しによって反発はあるでしょうが、基本的には下落トレンド は止められないでしょう。
 各国の景気後退によって日本の経済の比較的な優位性を反映し、さらに欧米各国は景気対策のために利下げを進めることになり、円高が進むでしょう。それによってそうじゃなくても落ち込んでいる輸出と輸出企 業はさらに打撃をうけます。すでに米ワコビアが巨額の赤字を発表していますし、他にも業績下方修正をしている会社が相次いでいます。日本だけでなく各国の 経済と企業は今後も下方修正を繰り返すことでしょう。
 それにも関わらず、今の株価は下げすぎだとか買いの機会だという専門家が未だに多くいます。でもこれは間違いです。もう何度か日記にも書きま したが、負の連鎖によって実体経済は今の株価を正当化するのです。いえ、さらに株価を下げることを正当化します。これは負の連鎖による一時的なオーバー シュートではありません。PER(株価収益率)が10倍程度になったから、今の株価は割安だということを言っている専門家がいます。過去の見込みを基にし たPERを計算してどうするつもりなのか。将来起きる下方修正された業績を基に計算しなければならない。
 現在GMとクライスラーが合併交渉をしていますし、近いうちに結果が出るでしょう。しかし仮に合併となっても、所詮は弱者連合。マイナスとマ イナスを足してもプラスにはなりません。ビッグ3が破綻するというニュースが流れた時が、みんなが経済危機を認識するときなのかもしれません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月20日 (月)

中国も不動産バブル危機

オリンピック前の2007年後半からもう中国のマンション市場は天井をうって下落に転じたとも言われています。今は投げ売りが始まっているというニュースを時々聞くようになりました。
 私は2007年前半に学生として中国に滞在し、そこで中国の不動産デベロッパーを訪問しました。面会した社長は不動産業界に対してまだまだ強気でした。私はそのときのレポートで、不動産業は高騰しすぎた後の価格の暴落に気をつけねばならないと書いて、「何故そうなのか」と中国人の教授からは実はあまりいい評価をもらえませんでした。限られた枚数の中で何故価格の暴落に気をつけなければならないのか、確かに私は説明を書いていませんでした。
 しかしそれは書かなくてもバブル崩壊を経験した日本人ならば常識だし、そうでなくても、高騰の後の暴落は歴史上よくあることです。また私はニュースでも、買い取られた後に人が住んでいない、純粋な投資で買われたマンションが上海などにたくさんあるという話も聞いていました。実需が追いついていないのです。でも知識人も含めた多くの中国人としては、力強い成長がまだまだ続くと思って疑ってなかったのでしょう。サブプライム問題とは関係なく、それ以前から中国の不動産市況はよくないようです。倒産や損を抱えた会社は今後もたくさん出てくるでしょう。


怒りのマンションオーナーたち~安売りを始めた業者に抗議活動

要求は「値引き」「契約解除」、果ては住宅ローンの支払い停止

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20081016/174095/

2008年9月4日午後1時頃、浙江省の省都・杭州市の中心部にある“万科杭州”(正式名称“浙江万科南都房地産有限公司”)の販売展示センターに 100人以上のマンションオーナーたちが押し掛けた。彼らは「2カ月で20万元(約300万円)の値下がり、万科は血を流さずに人を殺す」「万科は建物で 我々を苦しめる」「万科のマンションを買って一家は地獄の生活」といったスローガンを書いた横断幕を掲げ、口々にマンション売買契約の解除を要求した。彼 らは前日の3日も万科杭州のマンション開発事業である「魅力の町」に数百人規模で集まって、マンション住民たちに万科杭州の不当性と契約解除を訴えていた のだった。

 9月3日、万科杭州は売れ残り物件の販売促進と「青年不動産オーナー計画」の推進という名目で、杭州市内にある同社の4大開発物件でマンション 226戸を最大値引き25%で優遇販売すると発表し、「魅力の町」では用意した80戸を即日完売する勢いを見せた。翌4日にはさらに200戸を追加で優遇 販売し、前日ほどではなかったものの販売は好調であった。この優遇販売が既存のマンションオーナーたちの不満を爆発させたのであった。

 販売展示センターに押し掛けたマンションオーナーの1人は、8月3日に万科との間でマンションの売買契約を締結したが、購入したマンションと同条 件の物件が9月3日の優遇価格では20万元(約300万円)も安くなっていることに愕然としたという。たった1カ月で20万元が消えてしまったと同じこ と、20万元稼ぐのにどれだけの時間が必要か。この消えてしまった20万元にも銀行の利子が掛かるのである。既存のオーナーたちは万科杭州に対して今回の 値引き分の返却を求めるとともに、それがだめなら売買契約そのものを解除するよう要求したのである。

 万科の決算報告を見ると、2008年3月21日に発表された2007年の通期では、売上高は355億元(約5325億円)で前年比98%増、純利益は 48億元(約720億円)で前年比111%増であり、中国不動産市場の好調を反映していた。また、2008年8月4日に発表された2008年上半期の中間 決算報告でも、売上高173億元(約2595億円)、純利益21億元(約315億円)とそれぞれ前年同期比55.6%、23.6%の増大を示していた。し かしながら、中国国内の不動産業界は金融の引き締め、非合法な外貨流入の抑制、インフレの高騰など種々の要因により2007年末から徐々に不振に転じて、 不動産物件はあっても高値の故に買い手がつかずに販売不振となり、倒産を余儀なくされる不動産業者が続発する状況に陥っている。

 深セン市の新築マンション価格は2000年から2005年までは年10%程度の値上がりを示し、6年間で1平方メートル当たりの平均価格は5275元か ら7040元まで上昇した。2006年と2007年の価格上昇は急激で、その上昇率はそれぞれ31.11%と44.85%となり、年間の上昇幅は 2000~3000元で、過去6年間の上昇幅を上回った。ところが、2008年になるとマンション価格は下降に転じ、1月に1平方メートル当たり1万 5080元(約22万6200円)だったものが、5月には1万1014元(約16万5200円)となり約27%下落した。6月以降は上昇に転じ8月には1 万2803元(約19万2000円)まで回復したが、世界的な不況の余波を受けて中国経済も先行きが不透明で、今後の価格動向がどうなるかは予断を許さな い。

本文より一部抜粋

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月15日 (水)

週明けは世界の株式市場急上昇ですが

 週末からの各国の公的資金注入決定等の緊急対策によって、月曜日の海外での市場は急上昇。火曜日の日経も前週末比1171円14銭(14.15%)高の9447円57銭と、私の予想を超える大幅な上昇になりました。七割の銘柄がストップ高って、いったいどんな相場なんだ。生きている間にもうこんなことはないかもしれない。
 今回の上昇は先月から急激に下げた反動ともいえる。金融システムに対する信用不安でパニック的に売りが出て下げ止まらなかった。しかしそれが欧米各国の今回の公的資金注入なんかの政策によって、ひとまず金融システムに安心感が出たというところでしょう。ニュースを見ていると、とりあえず危機はさったかという意見を言っている専門家も出ていました。
 しかしそれは金融システム不安が和らいだというだけに過ぎない。そして今回の急上昇は下げすぎの反動買いである。政府による救済があって倒産の危険が薄らいだとはいえ、欧米の金融機関は膨大な含み損を抱えたままの状況であることになんら変わりはない。消費も冷え込んでいる。パニック的な売りは落ち着いたとはいえ、今度は今後の実体経済の停滞を冷静にみた売りが出てくる可能性がある。
 今週の上昇はその意味で絶好の処分売りの機会となるかもしれない。日本の市場はまだましなほうだが、欧州や特にニューヨーク市場はまだ下げ余地があるように見える。金融システムの最大の危機が去ったからといって、このまま一本調子の上昇が続くようには思えない。今年前半の13,000-14,000に簡単に戻ることはないと思っている。今までのような急激な動きはなくなってくると思うが、日経は暫くはもみ合いではないだろうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月11日 (土)

ビッグ3の危機

 石油価格高騰による大型車の不振により経営危機のアメリカ自動車業界ですが、今度の金融危機でそれがいよいよ決定的になってきました。小型トラックや大型SUVを得意とするGM、フォード、クライスラーのビッグ3は、今回の石油価格暴騰でこれらの車の販売が激減して巨額の赤字を出し経営危機に陥っています。今までは政府やファンドからの低利融資や出資を受け、燃費のよい高効率の車を開発して製品ラインアップを変更、利益率を改善する予定でした。
 しかし今回の金融危機とそれに伴う消費不振が、ビッグ3にそのような時間を奪ってしまいました。夏以降の米国新車販売は前年比約三割という信じがたいほどの激減ぶり、特に大型車の不振が際立っています。利益の多くを大型車に依存しているビッグ3には厳しい状況です。

http://response.jp/issue/2008/1008/article114729_1.html

 本業では赤字で資金流出、また銀行融資や債権発行による資金調達にも通常よりも高い利子を払わねばならず、ビッグ3は今後の運営や投資に必要な資金確保に問題が生じているようです。

 マツダはフォードグループの中小型車の車体やエンジンを開発するという重要な役割をもっており、特に今後の高燃費の新車開発にマツダの技術は欠かせません。また不振だらけのフォードグループの中において、利益拡大を続ける企業としての会計上の役割も大きい。そのためフォードは再三マツダ株の売却はないといい続けてきました。しかし今回の金融危機はそれをも覆すほどの深刻な影響を与えています。マツダにとってもフォードは部品購入などにおける重要なパートナーであるので、親会社の不振はマツダの業績にも響いてきます。
 マツダ株の売却でフォードが目指す獲得金額は約1000億円ということですが、フォードは2008年第2四半期のわずか3か月間で9000億円(86億7000万ドル)近い赤字を出しており、この状況では焼け石に水。もっと根本的な対策が必要となります。緊急融資を受けてまだ食いつなげるのか、このまま倒産なのか、それとも他からの救済案が出てくるのか。

 そんななか、GMとクライスラーの合併の話も出てきています。しかし双方とも赤字を垂れ流し続ける会社。アメリカ市場で大型車を得意とし、小型車や高燃費車を不得意とするという意味でも共通しています。赤字企業同士が合併したからといっても赤字額が一本化されるだけの話であり、根本的な解決にはなっていません。もしこの合併が成功したとしても、新たな対策がいずれ必要となるのではないでしょうか。
 現在は原油価格が下がっているために、高燃費の車に対する需要ばかりが伸びる時代は終わり、また大型車の人気が出てビッグ3には優位という考えもあるかもしれません。しかし専門家も消費者も原油価格がこのままかつてのような安値で安定するとは考えていないのではないか。実際に原油価格が下落してガソリン価格に反映されても、大型車の不振は続いています。それ以上に将来を悲観した消費者の購買意欲の減退のほうが痛い。世論も倒産されるくらいならば外国企業でもいいからビッグ3を買収して救ってくれという意見が出てくるでしょうし、そういう動きが今後でてくると予測しています。トヨタによるGM救済ということもあるのかもしれません。



米フォード、マツダ株の売却を検討

10月11日15時15分配信 ロイター

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081011-00000574-reu-bus_all

 [東京 11日 ロイター] 米自動車大手フォード・モーター<F.N>が、保有するマツダ<7261.T>株の売却を検討していることが、11日わかった。関係筋がロイターに語った。米国発の金融危機などで不振にあえぐフォードは、資金繰りを改善したい考え。

 フォードはマツダの筆頭株主で、約33.4%の株式を保有する。売却の規模や、売却先は現時点で明らかになっていない。しかし開発力に定評のあるマツダはグループの中で重要な役割を担っており、フォードは大株主の立場は維持したいもよう。

 マツダは同日、「開示すべき具体的な決定事実はない」とのコメントを発表した。 

 フォードは折からのガソリン高に加え、急速に広がる金融危機を背景に、主力の北米で販売が低迷。連邦政府によるビッグスリーへの低利融資が決まった後も、市場の流動性低下で資金繰りが不安視されおり、株価は2ドルを切る水準まで落ちている。

 同じく業績悪化に苦しむゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>とクライスラーが合併交渉を進めていることも11日明らかになっており、米国の大手3社の不振が大型の業界再編に発展する可能性が出てきた。

 フォードは1996年、バブル期の規模拡大で経営不振に陥ったマツダに対し、523億円を追加出資した。出資比率をそれまでの約24.5%から約33.4%に引き上げるとともに、経営トップを送り込み、マツダの再建を果たした。 

 (ロイターニュース 久保 信博記者)

GMがクライスラー買収交渉…米紙報道

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081011-00000021-yom-bus_all

10月11日14時4分配信 読売新聞

 

 【ニューヨーク=池松洋】米ゼネラル・モーターズ(GM)が、米投資会社サーベラス傘下の米クライスラーの買収交渉を行っていることが10日、わかった。

 米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)が報じた。サーベラスとGMの間で、GMの金融関連会社GMAC株と、クライスラー株を交換し、GMが クライスラーの経営権を握ることを提案しているという。米自動車大手は経営難に陥っており、買収が実現すれば、自動車業界の世界的な再編となる。

 一方、米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は、サーベラスはGMとの交渉が不調に終わった場合、日産自動車・仏ルノー連合にクライスラーの売却を持ちかける可能性が高いとしている。

 GMはサブプライムローン問題によるGMACの経営不振も重なり、赤字に苦しみ、約1年前は40ドルを超えていた株価は、10日には4・89ドルにまで 落ち込んでいる。サーベラスは昨年8月に独ダイムラーからクライスラーを買収、06年にはGMAC株式の51%を取得したが、その後の急速な市場環境の悪 化に苦しんでいる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月10日 (金)

負の連鎖 大和生命破綻

 また今日も株式は800円以上の暴落でした。今日の夜七時のNHKのニュースによると、10日間で28兆円の個人資産が消えたそうです。今日の暴落原因の一つは大和生 命の破綻です。破綻の原因は株式の暴落によって損失が発生したことです。もしこれが100%本当ならば、今回の株式の暴落がなければ大和生命の破綻はな かったことになります。 またリートが破綻したのも金融システムがうまく働かなかったことが要因の一つです。
 今後も株式の暴落によってこのような資産の毀損が生じる企業は続出するでしょう。またこれ以上の毀損を避けるために、今のうちに資産を売却し ようとする動きも出てきます。そうするとそのような売却によってさらに株式市場は暴落していき、その暴落によって利益を失ったり破産したりする企業がまた 出てきます。消費減退や信用縮小による金融システムの硬直化も同様です。
 残念ながらこの負の連鎖が実に悪い形で素晴らしくうまく機能しています。そしてその大元は、すでに多額の不良債権が世界中で発生しているとい う事実によるもの。それを短期間で処理したり安定化させる方法が存在しない以上、まだ上昇反転するには基本的に早すぎる。今週末はG7もあるし何らかの対 策が出てくるでしょうが、取れる選択肢は限定的だと思います。長期的には当分低空飛行が続くでしょう。
 今の株価の下落があまりにも急激であるということで、一部の専門家は現在の株価の割安感を指摘しています。しかしこの負の連鎖によって、各国 のGDP成長率や企業の売上・利益は今後さらにはっきりと悪化していきます。それが今の株価の「割安感」を打ち消し、現在の株価を正当化するでしょう。現 在の株価は数ヶ月前に比べて割安に見えますが、将来の経済・業績見込みを基にするならば割安感はなくなると思っています。実体経済の悪化が数字上で確認さ れるのはこれからです。過去の数字を基に現在の株価を考えてはいけません。特にアメリカの株式はまだ下げ余地がある。

 多くの専門家は今回の大暴落を事前に見抜けなていなかったし、今後のことについても楽観しすぎているように私には感じます。はっきりいうと彼らの能力はたいしたことがないし、本来ならばそれを出し抜くいい機会なのだが。

大和生命が破綻=株安直撃、債務超過に-生保で7年ぶり、契約は大半保護

10月10日11時1分配信 時事通信

 

 大和生命保険(本社東京)は10日、一般事業会社の民事再生法に相当する更生特例法の適用を東京地裁に申請、受理されたと発表した。負債総額は2695 億円。金融市場の混乱による株価下落などで多額の損失が発生し、9月末時点で114億9000万円の債務超過に陥った。生保の経営破綻(はたん)は 2001年3月の東京生命保険以来7年半ぶりで、戦後8社目。
 大和生命の07年度末の保険料収入は業界41社中36位で、保有契約高は1兆2450億円。生命保険契約者保護機構により、支払いに備えて積み立てている責任準備金の90%まで保護される。保険金の支払いは行われるが、更生計画の策定まで保険契約の解除はできない。
 記者会見した中園武雄社長は「かかる事態を迎えることになり、心よりおわび申し上げる」と話した。同社は今後、社長以下の全取締役が辞任。更生管財人の 下でスポンサー探しを進める。スポンサーが現れない場合、同機構か、同機構が新たに設立する子会社が保険契約を引き継ぐ。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081010-00000048-jij-bus_all

上場リートが初破綻 ニューシティ・レジデンス投資法人

10月9日20時52分配信 産経新聞

 東京証券取引所上場のJリート(不動産投資信託)を手がけるニューシティ・レジデンス投資法人(東京都港区)は9日、東京地裁に民事再生手続きの開始を 申し立て、保全処分命令を受けたと発表した。負債総額は1123億円。上場リートを手がける投資法人の破綻(はたん)は初めて。

 東証は11月10日付での上場廃止を決定。同法人が発行している投資口は約18万口に上り、金融機関のほか外国人投資家、個人など広範にわたるため、大きな影響が予想されるほか、リート全体の信頼性が崩れ、投資家離れに拍車をかける可能性もある。

 同投資法人は平成16年9月に設立され、同年12月に上場した。資産運用を外資系企業に委託し、原則、賃貸住宅を投資対象として資産運用を行ってきた。 しかし、不動産市況の悪化で、金融機関からの不動産関連の融資が厳格化した影響で、資金繰りが困難となり、決済資金や借入金の返済ができなくなったと説明 している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081009-00000597-san-bus_all

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月 9日 (木)

歴史の証人

 今日も日経大暴落でした。昨日あるところで数人と話をしたとき、みんな今回のことをあまり重要なことと思っていないふしが見受けられました。専門家は来 年の半ばくらいまでは景気はよくならないって言ってるみたいだよ、などと実に能天気な話をしています。いえいえ、とてもそんな軽いものではすみません。私 たちは1929年の世界恐慌以来の経済危機に直面しているのです。好む好まざるに関わらず、歴史的な瞬間を体験しているのです。個人的にはベルリンの壁崩 壊以来の大事件を見ています。九月の米国での日本車の売上は前年同月比で20-30%程度の激減となっています。また日経新聞社によると、昨年から 2000兆円の資金が株式市場から流失しているそうです。

 世界の株式時価総額が急減している。9月末の主要な証券取引所の株式時価総額合計は、過去最高だった2007年10月末に比べ2000兆円以上 減ったもようだ。米金融危機で株安に拍車がかかり、世界の名目国内総生産(GDP)の4割強に相当する価値が目減りした。株安による家計や年金の資産減少 が消費や投資を冷やし、世界の実体経済に影を落とす懸念が広がっている。

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081001AT2D3001L30092008.html

 8日の国会で麻生首相は「普通じゃない。想像を絶するほどだ」と今回の暴落を表現しています。しかし今回の私はこれをある程度予想していましたし、その予想にはかなりの自信をもっていました。しかしながらこの世紀の機会をただ 見逃してしまったことが本当に悔やまれる。もし私にお金があったならば、プットを買いまくっていたでしょう。日経225オプションの10限月9000円の 価値は、今日一日だけで昨日の約20倍になったようです。もう就活なんて辞めてそのまま引退できるくらいのまとまった資金を得ることが出来ていたかもしれ ないだけに、本当に残念です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月 6日 (月)

不良債権買取だけでは不十分なのでは

 今日も株価は大暴落でした。よく覚えていないが二週間くらい前だったか、テレビ番組であるファンドのお偉いさんが今が買場だといって買いまくっていると 言ってました。このファンドは2003年くらいに日経平均が下がっているときに大量買いして相当儲けたのだそうです。世界的にみて日本が不景気だった当時 でも日経平均が8,000円くらいでした。今、世界恐慌の危機かと言われているときに11,000-12,000円。私はまだまだ下がると思っていたし実 際下がっているわけで、このファンドひょっとしたら大分損出したんじゃないの。今はまだ買場じゃないですよ。特に北米依存が多い会社や業種、特に自動車な んて今後暫くは悲惨でしょう。

  アメリカの金融安定化法案についてまた新聞を読んで情報を仕入れてきました。法案は不良債権を国が買い取ること、経営者に責任をとらせて給与 を制限すること、債権買い入れの変わりに政府は買い取り先企業の新株引き受け権をもつこと、しかし公的資金注入はしないこととなっています。そして五年 たっても債権価格が元に戻らない場合、政府は金融機関に補償を請求出来るそうです。
 不良債権を国が買い取るとなっても、元々の値段で買い取るわけできないようです。ということは金融機関は債権を買い取ってもらった時点で損失 が帳簿上確定します。いったいいくらの不良債権があるのか知りませんが、額がおおければ資本は毀損します。この場合は公的資金注入で資本増強をしなけれ ば、金融システムは機能しないことになります。
 不良債権処理による資本の毀損を恐れた場合、以前の日本の金融機関のように不良債権の飛ばしとか不良債権に分類しないことで隠したりすること も出てくるのかもしれません。そうなればやはり金融システムは機能不全となります。もっとも会計制度が厳しくなっているので、こういう誤魔化しは難しく なっているのかもしれません。
 とにかく不良債権の買取、これだけでは不十分のように思えます。ということは更なる追加策が必要となり、それが先行きを不安定とすることにな る。いずれ公的資金注入とか、あるいは民間による提携や買収などの話が出てこないと金融の安定化はないでしょう。しかも五年で債権価格が元に戻らないと、 金融機関は補償金を請求されるとなっています。この状況で五年でほんとに戻るのか少々疑わしい。それらがさらなる不安要素になり、資金を市場に投資できる 状況にならずにずるずると株価押し下げに作用しているのかもしれません。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2008年10月 3日 (金)

とてもささやかに昇進

 アメリカの75兆円の金融安定化法についての記事について新聞を図書館で読んだ。私は勘違いしていたが、どうもこれは日本がやったような公的資金注入に よる資本安定化ではないようで、経営危機に陥った金融機関から不良債権を買い取り資本を健全化させるというもののようだ。目的としては金融システムの安定 化と国民の将来の負担を減らすというものには違いないだろうが、税金を使っての金融機関救済というのが正面に出てしまう。これではやはり感情的反発は強い だろう。どちらにしろ大きな財政負担を強いることには違いない。株価も原油も下落を続けているが、まだ当分の間は経済はさらに悪化の方向に進むだろう。

 これに伴って就職市場もかなり悪化しているらしい。日本の転職のエージェント何人かと直接話をしてもそう言っていたし、アメリカではさらにひど いことになっているようだ。私の同級生で遅く就活を始めた人は相当ひどい目に会っているといっていた。私が苦戦しているのは、経済の問題というよりも私の 年齢としょぼい経歴が一番の理由。しかし優秀な経歴をもったクラスメイトでもさっぱり決まらないとぼやいていた。わずかの差で随分と状況が変わってしまっ た。
 さてそんな私は今日からちょっとだけ昇進して、ニートからフリーターになりました。ビジネススクールまで出てフリーターやってるのもお前だけだと言われています。とりあえず当面の生活費稼ぎです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年9月30日 (火)

公的資金注入の誤解

 さて今回の公的資金注入法案の否決だが、反対意見が与党内部からも大量に出たということである。何故勝手に危険を冒して投資をして損を出した金融会社を救うために、関係のない国民が税金を出さなければならないのかと。かつて公的資金注入をしようとした日本でも同じ議論がありました。
 しかしこれは間違っています。むしろ公的資金注入によって、国民はより大きな損をしない確率が高いということ。政府は公的資金注入によって特定の企業を救うことが目的ではなく、金融システムしいては国家や国民を救うためにそれをするのです。公的資金を注入しない場合、経済危機によって国民はもっと多くの出費を強いられる可能性が十分あります。確かに初期の出費はあります。しかしそれをしなくて経済が壊滅なれば、収入減や失業といったかたちでもっと多くの損害が発生する。簡単に言うと、今100円だすことによって将来200円損しなくて済むということです。
 次に公的資金ですが、これは恐らく企業に対して無料で差し上げるものではないということ。少なくとも日本の銀行に注入されたものについては、返済義務がありました。今はりそな銀行以外の日本のメガバンクは返済を終えたのではないかと思います。米国のケースにおいても恐らく同じでしょう。ですからその場合、これはいわば金融機関が国からする借金であって、国からの金融機関救済のための寄付金ではないのです。むしろ公的資金を新株発行の形によって注入し、財務健全化後に株式を売却すれば政府は利益を得ることもできます。

 そのあたりを誤解して、公的資金注入とは税金をそのまま費やして企業を救済することだと思い込んでいる人が多いのではないかと思います。少なくとも税金を使って破綻企業を救済するのはけしからん、何故国民に負担を強いるのかという感情論が多くあるかつて日本の危機の際、ニュースステーションの久米宏も思いっきりそんな馬鹿な意見を電波に乗せて垂れ流して、公的資金注入反対の姿勢を見せていました。公的資金注入をせずに銀行が資金の供給をできなかったりあるいは破綻した場合、経済的に見て投入した公的資金総額を上回る損害を国民に与えていたのではないかと思っています。少なくとも公的資金注入は信用不安を緩和したことは間違いないでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

株価急落

 米国で7000億ドルの公的資金を不安定な金融機関に注入するという金融安定化法案が否決されました。そんなわけで今日は世界的に株安です。これが成立すれば米国の金融システムはかなり安定化するでしょうし、信用不安といった経済に与える影響はかなり軽減されるでしょう。法案が成立していたとしても問題の規模と深刻さから景気減速は避けられませんが、減速の幅はかなり軽減されるはずです。

 それでも約75兆円という莫大な資金が必要とされるわけで、政府の財政に与える影響は巨大だと思われます。詳しく調べたわけではないので、この資金をどうやって調達するのかわかりませんが、いずれこの75兆円は返還されなければならない借金となります。さらに75兆円が公的資金として使われる以上、政府は他の財政投資を行えなくなるでしょうし、それが経済不安や社会不安になるつながる可能性は高い。そうなれば公的資金が注入されたとしても、中長期的に今後さらに経済が悪化する要因となります。米国の金融システムが維持されたとしても、企業の業績下方修正は今後次々に出てくるのではないでしょうか。どうしても世界経済は悪化する要因だらけです。影響は金融システムに限られたことではないでしょうし、もし今週フォードがどこかに身売りというようなニュースが出たとしても驚きません。

 数年前の日本の場合、注入された公的資金は約14兆円強だそうです。バブル崩壊後は米国のITブームと中国をはじめとする新興国のブームがあり、日本経済を支えました。それでも日本はこれだけバブルの後遺症とその処理に苦しみました。今回の法案で予定されていた公的資金は、約75兆円という巨大な規模。しかも米国を支える景気のよい地域はひとつもない。米国ほどでないにしても、欧州でも金融業の危機のニュースがどんどん出てきています。先行き不安によって今後はさらに危機を迎え、それが表面化してくる企業は増えてくると思います。それがさらに信用不安と経済の悪化を招き負の連鎖に突入すると、いったいどうなるのか。

 まして法案が否決されたわけですから、このまま金融不安が起きてしまうと非常に危険な状況になります。少なくとも数十年に一度という危機ではないか。このまま政府が解決策を出せないならば、世界恐慌の可能性はあると思います。そうなると100年に一度という歴史的な状況を直接体験するという、貴重な瞬間を目撃することになる。願わくは金融システムが早期に安定化して、最悪の状況だけは避けて欲しい。

 さてそんなわけで個人的には世界的に株価はまだこれでも高いと思っています。何故まだダウが一万ドルあるのかとか思っています。今後の対策次第で変わってきますが、世界的に下落の方向に行くのではないでしょうか。しかし最近の株価の変動率は凄まじい。金融の安定化策や救済策が出れば急上昇、新しい破綻や今回のようなことが起きると急降下。これだけ動きが激しい時期もなかなかなかった。

 そんなときに有効な手は、オプションの両建てです。例えば日経225オプションのコールとプットをそれぞれ100円で買います。例えば急激に日経平均が上昇すると、プットは事実上価値がゼロになりますが、コールは数倍、例えば300円になったりします。急激な下落はその反対です。そうすると片方で損をしても、もう片方が損した分以上の利益をだしてくれたりします。オプションの買いのいいところは、損は出資額に限定されるのに対し、利益は変動幅にあわせて無限に伸びるというところ。株価の乱高下の激しいときに使う基本的な投資方法ですが、今ほどいい時期もないように思います。

 それと日本の金融株は九月前半にかけて米国発の金融不安でかなり売り込まれましたが、あまりサブプライム問題の影響を受けていません。むしろそれを支えられる数少ない存在となっています。そうなれば安いところで買いの対象として検討してもいいかと思います。でも資金がない・・・・。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年9月18日 (木)

実はかなりの経済危機ではないのか

 サブプライム問題を発端とした米国金融システムの悪化が鮮明になってきました。80年代の金融危機、2000年前後のネットバブル崩壊、911テロ危機をも耐えてきたベア・スターンズ、リーマン、メリル、シティ、AIGといった大手が次々と経営に行き詰っていく。結局サブプライムがどれだけの不良債権を生み出したのか誰も計り知れないが、今回はかなり危機的状況かもしれない。金融会社はいうまでもなく、個人も行き詰った人が多く存在するだろう。投資や消費の抑制もこれから顕著になっていくだろうし、それに伴って他の産業も深刻な影響を受けることは間違いない。
 そうなれば世界最大の消費国である米国の影響を日本を始めとする他国も受けるわけで、日本の景気もさらなる減速は避けられない。米国に代わってここ数年の景気を支えてきたアジア各国も期待はもてない。中国では昨年から不動産価格が暴落する兆候があるらしいし、ベトナムの株価も今年は大幅下落。原油価格の暴落で損害を抱えたところも多いと聞くし、最近は大口投資家であった産油国の利益も損害を受けているかもしれない。米国の不景気分を穴埋め出来る存在が見当たらない。
 バブル崩壊以来リスクをあまりとらなかった日本の金融が、今回はあまり直接的な損害を受けていないのがせめてもの救いではある。それでも米国ほどではないにしても、暫くは日本の景気も見通しはかなり暗そうだ。

 ところで今回のリーマン倒産で、約1,300人の日本法人の社員が解雇となるようです。これで就職活動はさらに厳しくなりそうです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月 9日 (土)

航空会社の業績見込み

 私も海外旅行行きたいけれど、燃料サーチャージとか見るとうんざりして躊躇してしまいます。これでは絶対に航空会社は経営苦しくなるだろうと思ってたけ ど、同時テロ発生時より減少率が高いというのはきつい。座席数の減少は航空会社のリストラ策の表れなので、これでもって利益が減少すると決め付けることは 出来ません。しかし業界が好調とは言いがたい状況なのも確かでしょう。
 そんなわけで今週、長いこと持っていた航空会社の株を売ってしまいました。一時期はそれなりに含み益があったときもあったのだけど、長期で配 当と優待を狙って持つつもりだからと思って売らずにいたら、どうにも下落トレンドが止まらない。この原油高と景気後退のニュースに加えて、新型機の導入の 遅れや北京オリンピックツアーが思っていたより盛り上がっていないという話も聞く。さらには日系航空会社は燃料サーチャージを他国の航空会社よりはるかに 顧客に請求しているというニュースがありました。今はこの高いサーチャージのおかげで業績も思ったほど悪くないみたいだが、これを続けていると競争に負け るとか、今後サーチャージの値下げ要求が出るかもしれない。今売るというのはひょっとすると安値圏で手放すことになるのかもしれないが、このまま持ってい るともっと値段が落ちるかもしれないと思い、まだ利益の出ているときに売ることにしました。ここからさらに下がったら、また長期保有目的で買い戻すことに します。

旅客便:座席数累計、約6000万席減…冬の時代も

 【ロンドン藤好陽太郎】原油高騰や世界的な景気後退懸念を背景に、世界の航空会社による今年10~12月の旅客便の座席数累計が前年同期と比べ 5970万席(7%)減の約8億3000万席に落ち込む見通しとなった。英航空情報・データ会社OAGが集計した。推計通りになれば、米同時多発テロが発 生した01年(5%)を上回る減少率となる。

 OAGのキャスリー最高経営責任者は「空前の世界的減少だ。航空業界はかつて経験したよりも、はるかに深刻な事態に直面しそうだ」と世界の航空業界の冬の時代が続く可能性を示唆した。

 地域別では、アジアが前年同期比13%(3000万席強)減少する見通し。航空会社の再編が続く米国は、世界の旅客数減少のうち33%(2000万席弱)を占めた。一方、欧米間の旅客数は同2%増とプラスを維持しそうだ。

 旅客数の減少を受け、OAGは世界の275空港が路線の一部廃止に見舞われる可能性があると指摘。このうちアジア・太平洋地域は116空港、米国は32空港としている。

毎日新聞 2008年8月7日 11時07分(最終更新 8月7日 11時50分)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月 5日 (土)

ガソリン暫定税率失効

09年度からの一般財源化強調=与党若手に福田首相-租特法改正案

4月4日19時1分配信 時事通信

 

 福田康夫首相は4日午後、首相官邸で、自民、公明両党の中堅・若手議員でつくる「福田提案を支持し道路特定財源の一般財源化を実現する会」のメンバー約 30人と会談した。首相は、道路特定財源の2009年度からの全額一般化について「閣議決定や閣議了解、骨太の方針でも、骨抜きにさせない措置はやろうと 思えばすぐできる」と実現に強い決意を示した。
 この後、首相は記者団に「一般財源化はもう決めたことだ。もっとその先のことを考えてくださいという話をした」と述べた。一方、同会世話人の水野賢一自民党衆院議員は「首相の発言だから重く受け止めたい」と語った。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080404-00000127-jij-pol


 ガソリン税の暫定税率が期限切れを迎えて、社会が混乱しているようです。地方政府は予算を計上していたのに、税収がなくなって道路が作れなくなったといってます。自民党のホームページにはまだまだ日本には渋滞も多く道路が必要ですよと書いてありました。税金の廃止で2兆6000億円もの予算が消えてなくなるそうです。

http://www.jimin.jp/jimin/jimin/2008_seisaku/zeiritsu/index.html

 しかし暫定税率が今年切れることなど30年も前からわかっていたこと。そもそも期限が切れて税金が入らなくなることを想定していないほうが異常。地方政府のお役人は、高速道路の無料化が実行されなかったときと同様、どうせ政府が期限を延長するさと気楽に考えていたのでしょう。私に言わせればこれは職務怠慢です。それにも関わらず中央政府が税収を払ってくれないなどと批判しているのはおかしい。
 また自民党はホームページで道路が必要であるとばかり言っておきながら、実際にはガソリン税を一般財源化すると言っている。それは税収で道路を作るわけではないということです。しかも今までの税金の非効率な使用による道路作りを考えると余計に納得がいかない。もっと渋滞の少ない道路網が既に作られていて然るべきである。

 一般財源が必要ならば、国民に改めてどこに税金を新たにかけるか問うべきでしょう。そして道路作りに関する自民党のホームページに書かれていることと、一般財源化するという実際の国会運営との矛盾についても説明するべき。現在の状況を鑑みて、当分原油価格が以前のような水準に下落することはないであろう。それでも暫定という約束を反故にして税金をかけ続けるのだから、国民を納得させる説明を早くからしなければならなかった。恐らく自民党でも暫定税率はなし崩しに維持できるものと、たかをくくっていたのではないでしょうか。最も民主党の主張も実現不可に見えて、強力な対案になっていないのが残念です。

 とりあえず一ヶ月で税金復活しそうなので、日本においてある私の車にガソリンを入れるように頼んでおくことにします。

 下記は自民党のホームページから



(1)ガソリン税は、あなたの街と暮らしを守っています。
 ガソリン税などの道路特定財源は、真に必要な道路を整備することはもちろん、過去の道路整備の借入金返済や除雪などに使われています。さらには、暮らしの安心・安全を守るためにも有効に活用されています。
国土交通省「道路の中期計画(素案)」より
こうした事業が円滑に行われないと、みなさんやみなさんの家族の「安心・安全」を守ることができなくなってしまいます。

 

(2)大変!あなたの住んでいる街の収入がこんなに減ってしまいます!
 ガソリン税などの道路特定財源の暫定税率を廃止すると、確かにガソリンは25円安くなるかも知れません。しかし、地方自治体は国からの交付金を含め、1兆6000億円もの収入がなくなってしまい、あなたの街の財政は大打撃です。 これでは、道路整備だけでなく、福祉や教育など行政サービスへの影響も計り知れません。

 

◆平成17年度 都道府県市町村別減収金額一覧
※金額は、平成17年度道路特定財源税収の暫定税率分と
  地方道路整備臨時交付金の合算です。

  ・北海道・東北
  ・関東
  ・北陸・甲信越
  ・東海
  ・近畿
  ・中国・四国
  ・九州

 

(3)都市・地方を問わず道路特定財源の維持を求める声が続々と発せられています
 道路特定財源の維持を求める地方自治体の動きが活発化しており、その範囲は都市、地方を問わず全国的な広がりをみせています。そのなかには、国会で暫定税率廃止を主張する民主党の支援を受けた首長や民主系の地方議員も多く含まれています。

 民主党は「今や、道路だけが優先される時代は終わった」「無駄な道路をつくらなければ、もっと予算は減らせる」などと主張しています。
 しかし、実際に地方から聞こえる悲痛な声は違います。
 都道府県議会、市町村議会では道路特定財源維持を趣旨とした意見書や決議が相次いでいます。
 また、 「地方のチャンスを奪わないでください」(和歌山県)
「岐阜県における道路の現状 中部でワースト1」(岐阜県)
「(暫定税率などの廃止で)除雪費は4半世紀前の予算額に」(北海道) など、
住民への理解を訴えるパンフレットやビラが地方自治体で続々と作製されています。

 道路整備を求める声は地方だけではありません。札幌市、横浜市、浜松市などの政令指定都市も「道路整備はまちづくりに欠かせない」と、道路財源の維持を訴えているのが現状です。

 

(4)つじつまの合わない民主党の主張
 民主党は、[1]ガソリンを25円引き下げる[2]一般財源化する[3]地方には迷惑をかけない[4]新しい道路をつくる、と言っています。これらの主張は財源の計算が成り立たず、答えの出ない連立方程式。まったく実現不可能です。



平成20年度の道路特定財源の税収見通しは、5兆4,000億円です。
  本則税率分 暫定税率分
3.3兆 1.6兆 1.7兆
地方 2.1兆 1.2兆 0.9兆

民主党の言うように、ガソリンを25円値下げするためには、ガソリン税など道路特定財源の暫定税率を廃止しなければなりません。
暫定税率を廃止すると国1兆7,000億円、地方9,000億円、合計2兆6,000億円の穴が開いてしまいます。

地方では、
地方独自の歳入減は、9,000億円。国からの地方道路整備臨時交付金7,000億円弱が廃止されるほか、市町村道への補助金6,000億円の交付も難しくなるので、実質2兆2,000億円の影響が地方財政に生じるおそれがあります。
多くの自治体は、新しい道路の建設はもちろん、道路の維持・管理や除雪、古い橋の修繕なども難しくなります。また、財政難のため、福祉や教育の予算へのしわ寄せも避けられません。

国でも、
暫定税率を廃止すると、1兆7,000億円の歳入減となり、国の歳入は1兆6,000億円。このうち地方へ配分される地方道路整備臨時交付金、さらには補助金を加えた1兆2,000億円を差し引くと、残るのはわずか4,000億円です。
この4,000億円では、国道の除雪や維持管理すら難しく、新規事業や、継続事業は一切できません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

経済の授業 フリードマンと自由経済主義

 ミルトン・フリードマンとシカゴ古典経済学派に代表される自由経済主義のドキュメンタリービデオを昨日の経済の授業で見ました。以前も違うやつを見せられたことがあり、前の学校でも似たような内容の授業を受けたことがあります。ちなみにその時の教授はシカゴ大学の大学院を卒業しています。
 規制緩和と政府の介入を小さくして自由競争を促進することが、いかに経済発展にとって大事であるかということを、サッチャー政権下のイギリス、レーガンのアメリカ、さらにはボリビア、チリ、インド、ポーランドからロシアまでの具体例を挙げながら紹介しています。結果としてこれらの国は経済の飛躍的発展や年率60000%というようなハイパーインフレの収束をもたらし、経済を成長軌道に乗せることに成功したという内容です。
 私も規制による産業の保護、中央政府による経済企画、国営による企業経営というものには反対です。しかし自由競争は一見して、激しい競争ゆえに企業の倒産等による社会不安や失業率の上昇を招き、その無駄になった投資部分だけ非効率のように思えます。実際にそれはある程度事実であり、痛みや社会的損失を伴うものです。その一方で競争は産業の効率化を追及し、総合的には競争による損失を埋め合わせてあまりある生産性の上昇を獲得します。結果としていつまでも生産性の上がらない中央政府主導の計画経済を凌駕することになる。社会主義経済の下では、競争に勝ち抜くための革新や工夫というものがどうしても出ないということであり、それ故にいつまでも非効率のままに安定してしまう。
 インドではなんの商売だったか忘れたけど(確か自動車整備工場だったかな)、ある商売を始めるためにはお役所から50もの許可がいり、そのために数ヶ月から一年以上も待たされたといってました。以前に比べて規制緩和が進んだとはいえ、日本でもまだまだ規制が多く、簡単にはビジネスを始められない部分もあります。大規模小売店舗立地法などがいい例です。これらの規制は既存のビジネスに従事する人、例えば大規模小売店舗立地法は地元の商店街やそれに従事する人を守ってはいますが、その反面非効率をも定着させ、社会全体に対する効率化を妨げる結果となっています。それは自由競争に勝ち抜いてきた他国の経済に対して対抗出来ないことになりかねません。痛みを伴ったとしても、やはりもっと効率化を図るためには、規制緩和と自由競争を促進させる社会が日本にもさらに必要であると感じます。
 その反面私はまだケインズ政策を捨てきれないので、政府主導による部分がある程度必要だとも思っています。もっとも日本のように無駄な公共事業が多くて、建設業界を潤すことが主目的になっているような財政出動には疑問を感じます。財政出動は再生産を寄り多く生み出し、社会の効率化に役立つものにより多くまわされなければならない。また全ての国にいきなり自由競争を導入したら、特に発展途上国の場合、国内の産業が全て外資に負けて駆逐されるということにもなるでしょう。それぞれの国にそれぞれの事情があるので、なんでもかんでも自由にするのではなくて、事情にあった規制緩和や競争原理が必要であるのではないかと思います。例えば中国の自動車産業。関税が高いために、中国国内で製品を生産するのが基本となります。しかし生産するために、外資系の会社は基本的に中国企業との合弁でなければならず、出資は五割を超えてはいけなかったはずです。一見規制だらけですが、それはそれで中国の事情にあっているのではないかと思います。彼の通貨供給と利子による経済管理の理論は、産業育成というような視点がない。

 それにしてもフリードマンの理論は異端扱いされていて、長いこと彼は不遇だったということを知りませんでした。彼がシカゴ大学に移ったのも、どこも彼の理論を受け入れなかったからだそうです。彼がノーベル賞を取り授賞式に出たときでさえも、どこかの誰かが受賞式の会場で「Friedman, Go home!」と叫んでいる映像が含まれていました。
 私は彼に前面賛成ではないけれど、でもサッチャーやレーガン政権の結果を見る限り、ある程度ではあるがアメリカに来て以来だんだんと彼の政策を支持するようになってきました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月 2日 (水)

韓国の対北朝鮮政策の転換

 私は盧武鉉(ノ・ムヒョン)前韓国大統領が好きではなかった。彼はナショナリストであり、民族主義の前には現実から目をそらし、本来敵国であり韓国の利益を大幅に損なうかもしれないであろう北朝鮮に対して歩み寄りを見せ、同盟国であり経済においても重要なパートナーである米国や日本と対立を深めた。民族の団結こそ重要という彼の意思の元では、経済的に損が出ようが軍事・政治的にリスクが高まろうが、それは二の次であったのだろう。日本海を東海と言ってみたり竹島(韓国名独島)問題や靖国問題を拡大してみたりと、日本と積極的に対立を深めたことは記憶に新しい。
 それはまだいいのだが、私は特に彼が核開発を進め軍事力の維持に余念がない北朝鮮に歩み寄ったことを心配していた。北朝鮮は過去にも何度も約束を反故にして軍事開発を進めつつ他国からの大量の援助を騙し取り或いは脅しとってきた国である。そこに援助を継続しても、朝鮮半島の諸問題の平和的解決などが実現できるわけがない。国民を飢え死にさせつつも、平気で経済問題をほったらかしにして軍事開発に力を注ぎ続けるだろう。北朝鮮に援助を続けるということは、餓えた危険な人食い狼に餌を与えてやっているようなものである。実際90年代の合意以降、援助を受ける一方で北朝鮮はさらに長距離ミサイル等の開発や大砲の配備を進め、軍事力の強化を成功させている。
 だから今回の大統領選挙で彼が敗れ、新大統領が誕生したときは大いに期待した。北朝鮮には飴と鞭が必要である。無条件で援助を与え続けるという愚かな間違いをこれ以上してはならない。援助をする代わりに、核査察やその他地域の平和に向けての具体的な成果を獲得する必要がある。いつものごとく北朝鮮は威嚇的な対応を取るだろう。だがその威嚇に負けて無条件援助を続ければ、北朝鮮に威嚇こそ援助を得る最善の方法だと教えてやることになる。必要なことは、援助を得るためには北朝鮮も平和的解決に向けて前進する必要があると認識させることである。

 不思議なことは、北朝鮮が経済発展に対して未だに積極的ではないこと。北朝鮮に自国を支える経済力や食料生産能力がないのは明らかである。最早東西冷戦の時代ではなく、ロシアからの軍事的支援などない。軍事力による半島統一などアメリカが絶対に許さないだろう。イデオロギーや軍事力のみに頼っていける時代ではない。急激な政策転換は政治的混乱を招くから不可能としても、私が北朝鮮の指導者ならば軍事力傾倒から少しずつ経済の発展に力を注ぐ政策をとる。対立国からの援助も含めた他国からの援助なしでは国政が成り立たないという異常事態の解決方法が、未だに経済政策の転換ということにならない。
 それをしないということは、国内統治のコントロールを失ったりクーデターになったりするのを恐れているのか。それとも本当にこのままの軍事力傾倒政策で何とかなると思っているのか。いずれにしろ、北朝鮮の軍事力と暴発に警戒しつつも、米日韓は共同で、北朝鮮に従来の脅迫的・欺瞞的政策がもう役にはたたないことを教える必要がある。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080402-00000016-mai-kr&kz=kr

 【ソウル中島哲夫】北朝鮮の「労働新聞」が1日付の論評で李明博(イミョンバク)韓国大統領を激しく非難し「破局的事態」に言及したのは、危機を演出して譲歩を引き出そうという典型的な「瀬戸際戦術」と言える。問題は局地的な武力衝突の可能性を排除できないという点だ。

 北朝鮮は3月24日以降、開城工業団地内の韓国政府要員の撤収要求▽黄海で短距離ミサイル発射▽韓国軍幹部の発言をめぐり韓国側当局者の軍事境界線通過 遮断を宣言--などを矢継ぎ早に行った。30日には「我々の核基地」を狙う動きには先制攻撃で応じ、その結果は「火の海程度でなくすべて灰の山になる」と の評論を朝鮮中央通信が配信した。

 これは単に李明博政権への威嚇ではない。北朝鮮報道機関の論評には、韓国が米国、日本との連携を強め、核問題解決の圧力が強まることへの警戒感が満ちている。6カ国協議が停滞する中、核開発の実態を隠したまま利益を得ようという意図もうかがえる。

 韓国青瓦台(大統領官邸)報道官は1日の労働新聞論評について「北朝鮮の真意を分析する必要がある」と冷静な姿勢を示した。9日投票の総選挙にも、今のところ大きな影響はなさそうだ。

 ただ、北朝鮮は威嚇に効果がない場合、さらに緊張を高めようとする場合が多い。未然の防止は関係諸国の課題と言える。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年3月19日 (水)

円高・95円

 最近の為替と株式市場には正直驚きましたね。特に為替の動きにはびっくりでした。ここ数年日本の景気が回復して金利引き上げが囁かれても平気で120円